休日のトモダチ

Len

休日のトモダチ

智也(ともや)

直樹(なおき)

拓真(タクマ)


休みの日の待ち合わせ

SE:人混みのガヤ 車の行き交う音


智也:「ごめん、遅くなった。電車一本見逃してさ。」

直樹:「あ、いいよ。オレも今さっき着いた。人が多くて歩きにくい。」

拓真:「ちこくは遅刻だよー。言い訳おつ。」



智也:「で、とりあえず会ってからどうするか決めようって。」

直樹:「うん、せっかく休みだしどっか行きたいなーとは思ったんだけどさ。」

拓真:「どこもつまんないだろーなー。」



智也:「どうしようか。何か食いに行く?俺は食ってきたけど。」

直樹:「あー俺も食べてきた。今どこも混んでる時間だしな。」

拓真:「食べてくるとか、シラケるなー。」



智也:「じゃカラオケ?」

直樹:「うーん、良いけどいきなりはなー、どっか寄ってからかな。」

拓真:「そりゃね、急にテンション上がんないよ。」



智也:「服でもみる?すきなショップ巡りとか?」

直樹:「そうだなー、そんな持ち合わせないけど、見るだけでもいいか。」

拓真:「巡りって、そう知らないでしょ。」



智也:「どこの店から寄ってこうか。」

直樹:「ホントに休みは人多いな。とりま近くでパッと見ではいる?」

拓真:「結局、知らないからねー。」



智也:「ああ それでいいや。フラフラするでもいいし。」

直樹:「だな。歩き疲れたら、テキトーにどっか休んで。」

拓真:「会って決めきれないパターンか。」



智也:「あ、あっちよさげじゃね?見に行かね?」

直樹:「うー俺の好みじゃないな。店員ウザそう。」

拓真:「センス疑うなー。」



智也:「じゃ あっちは?」

直樹:「うわー何か変な女どもいる。うるさそー。」

拓真:「やっぱりセンス悪。」



智也:「お前、いい加減にしろよ!人が話ふってるのに。」

直樹:「うわ、びっくりした。急にキレんなって、ごめんごめん。いちいちケチつけて。」



智也:「ちげーよ、直樹じゃない。拓真の方だよ!」

直樹:「タクマ?」


智也:「そうだよ。もう待ち合わせ合流してから、いちいちうっさいんだよ。」

直樹:「はぁ?何言ってんの?」


智也:「だから、拓真がさ、あれ?いなくなった。もー、今度は はぐれたのかよ。」


直樹:「智也...。誰だよタクマって。待ち合わせ場所いたの、俺だけだよ?」


智也:「は?からかうなよ。」


直樹:「いや、よく思い出せって。電話で2人でどっか行こうって言ったろ。」


智也:「え?お前が誘ったんじゃないの?」


直樹:「誰をだよ、タクマって。去年同じクラスだった みぞぐち たくまか?」


智也:「そうそう、お前けっこー絡んでたから今日よんだのかなって。おかしいな、あいつどこ行ったんだよ。」


直樹:「智也、冗談ならもうやめとけよ。怒るぞ俺も。」


智也:「は?なんでだよ。マジでさっきまでいただろーが。」


直樹:「いねーよ!いるわけねーだろ。」


智也:「だからさっきまで...」


直樹:「あいつ死んだんだよ!」


智也:「は?何言ってんの?」


直樹:「お前覚えてねーのかよ、追悼式までしただろ。...いじめられてて、それで俺、心配で声掛けてたけどさ。...ダメだったじゃん。」


智也:「あ...。」


直樹:「やっと思い出したか?で、改めて聞くけど、タクマってその拓真か?」


智也:「...うん。あいつだよ。ずっと待ち合わせ場所からいた。けど、今はいない。人混みではぐれたかと思ったけど…。」


直樹:「じゃもう 探すなよ。何かヤベーよそれ。俺についてるのか、お前にかわかんねーけど。俺は何も聞こえなかった。」


智也:「え?じゃ俺って事かよ?やめろよ、その言い方。」


直樹:「だったらなおさら、もう気にするな。もうこの話やめようぜ…。」


智也:「ああ...。」


直樹:「何か気分悪くなった。そこのトイレ借りてくる。ちょっと待って。」


智也:「俺も何か...あのベンチで休んでるから。」


SE:イス(木のきしむおと)にもたれる


智也:「なんだよコレ。なんで俺だけ聞こえてたんだ?何もしてないのに…。」



拓真:「みーつけた。」


智也:「...た..く...ま...?」



拓真:「うん、何もしなかった。僕が飛び降りるの、ワクワクした目でじーっと見てたね。」


智也:「あ....。俺...なのか...。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

休日のトモダチ Len @norasino

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る