トライアングルラブ

美乃坂本家

第1話 波乱の卒業式

大樹とあすかとしのぶは、この日に卒業式を、終えた。三人は、同じクラスだった。



あすかは、生徒会長を務め上げた。大樹は、特に、これといった役には、ならなかった。しのぶは、病弱であったが、頑張って、克服した。


卒業証書をもらった後、しのぶは、校庭にいた。そして、大輝とあすかは、教室の3年A組の教室に、いた。二人以外、誰もいない。


チャンスだと、あすかは、思った。第2ボタンをもらおうと、考えていたからだ。一方で大輝は、あすかは、どこに行ったのだろうと、考えていた。


「ねえ、良かったら、記念に第2ボタンちょうだい?」勇気を出して、あすかは、大樹に迫った。


校庭にいた、しのぶは、このまま三人の関係が、高校でも続くといいなと思っていた。大樹とあすかが、いたから、ここまで、来れた。


ずっとずっと、いっしょにいたい。そう考えながら、3年A組の教室のドアを、そっと開けた。


すると、夕日の逆光があり、よく見えなかったが、「大樹とあすかがキスしている」ように、見えた。


大樹は、しのぶの方を、振り向いた。しのぶのほおを涙が、とめどもなく、溢れていた。


「えっお前、いたの」トンチンカンな返答である。あすかも、しのぶを見ていた。


「ごめん」しのぶは、そう言って、ドアを閉め、出て行った。


大輝は、すぐに、しのぶを追いかけた。あすかは、置き去りだ。しかし表情は、何か考えていた


「まてよ、どうしたの」大樹は尋ねた。

「私は、邪魔者なんだ、ごめん、勘違いしてた。」しのぶは言った。


「何言ってんだ、俺たち三人で、頑張って、来れたじゃないか」


「もう、それも、お終い」

「なんで?」

「あなたが、あすかに、キスしたから。」

「誤解だ、第2ボタンをせがまれただけだ」

「優しい嘘だね?」

「よく見てみろ、第2ボタンは、この通りある」


「本当だ」でも、しのぶは、あすかのように、第2ボタンちょうだい?」と言えなかった。三人の関係が終わりそうな気がしてた。


「これ、やるから、機嫌なおしてくれ」そう言って、ボタンをしのぶの手に握らせた。


嬉しいはずなのに、素直に喜べない。あすかが、気になる。そして、私でいいのという気持ちもある。


一方のあすかは、ひとり残された教室の上から、二人のやりとりを見ていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る