第4話 カテゴリー2
カテゴリー2の重大性を理解するためには、まずエリュシオンについて知らなければならない。
エリュシオンとは、太古の昔からこの世界と隣り合って存在する、無数の異世界群のことである。世界には数千を超えるエリュシオンの入口があると言われている。
多くは
そこで採取できた素材――特に、モンスターを討伐して得られた素材は、物理法則をねじ曲げるほどの強い力を秘めている。
これをマテリアルと呼ぶ。
人類は長い時をかけエリュシオンに足を運び、マテリアルを研究し、社会の発展に役立ててきた。今やマテリアルは、現代社会になくてはならないものである。
だが、
それが腐界――世界を腐らせる猛毒の空間である。
一度発生すると、有機物、無機物問わずあらゆるものを腐食し、消滅させてしまう。
だが、腐界の真の恐ろしさはそこではない。
腐界は機械で探知できない。人の目で『見る』ことによってしか、存在を認知できないのだ。
しかも取り除くことができない。
防御することもできない。
発生した腐界は、まるで物理法則を完全に無視するかのようにそこに在り続け、この世を
つい最近まで、腐界が発生したときの対処法は『隔離』と『時間経過』のたった二つしかなかった。それほど恐ろしい現象だったのだ。
人類は腐界の研究を進めてきた。その成果のひとつが、ものさし。
現在、腐界の危険度は『レベル』と『カテゴリー』でランク分けされている。
発生数の九十九パーセントを占めるマテリアル由来の腐界。これがカテゴリー
残りの一パーセントはマテリアルの有無に関係なく、突如として発生する腐界。発生源が不明で、いつどこで発生するか予測がまったくできない。これがカテゴリー
カテゴリー2はいわば、人智を超えた災いなのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます