登らない太陽

 世界は闇に閉ざされ、いつしか人は光を忘れた

 暗きに紛れ、闇に乗じ、夜目を利かせて夜に蠢く

 人はこの光無き世界を歓迎し、その中で悪逆非道を平然と行った

 殺人 窃盗 誘拐 強姦

 人はもはや理性無き獣、弱者を喰らう餓狼と化した

 オギャー、オギャー

 新たな命が泣いている

 懸命に声を出し泣いている

 その涙は歓喜故か、あるいは悲嘆故か

 生まれたことへの喜びか、それともこの生への絶望か

 嗚呼、居るのならば神よ どうか教えてほしい

 かつて人類を照らし導いた真実の光、希望の灯は何処へ消え去ってしまったのか

 返ってくる答えなどあるはずもなく、私はため息とともに静かに目を閉じた。

 ……もっとも、目を開けようが閉じようが、何も変わりはしないのだが

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