第2話 目が覚めて

 意思の混濁が覚めると、腹の下に地面を感じた。

 目を開ける。

 暗い。


『今は夜なのか?さっきまでの光は本当に神だったのか?』


 周りを見回すが相変わらず暗い。上に点々と光るものが見える。


『あれは星か? 風も感じる。夜で外なのか』


 立ち上がろうとすると違和感。四肢に力を入れて体を持ち上げる。


『おいおいおい、嘘だろ。この体、人間じゃないのかよ。』


 体を見ようとしても暗くて良くわからない。指もほとんど動かない。


『これは四つ足の動物? 毛皮もあるな。犬? キツネ? 何にしても、あの神の野郎、なんてことを。どこのファンタジーだ。』


 その時、風に乗って悪臭が鼻につく。


『なんだこの匂い?』


 その瞬間、背後から草擦れの音を立てて何かが飛びかかってききた。

 一気に押し倒され、視界が反転する。


「エサ、エサ、エサ!」

「殺す、喰う、殺す、喰う!」


 咄嗟に伸ばした前肢に灼熱感。牙か何かが、掠めた。


『ヤバいヤバいヤバい。このままじゃ殺される!』


 これまで感じたことがない焦燥と恐怖を感じる。

 前肢を突っ張り、無茶苦茶に振り回すも、完全に上に乗られてしまって振り落とせない。すぐ目の前を何かの口らしき物が迫ってくる。


『暗い! こんなに暗くちゃ何もわからん! せめて光がほしい! 光、光だ!』


 その時、体の中からごっそり何かが抜ける感覚とともに、目の前を強烈な光が弾ける。一瞬辺り一面を煌々と照らし、光は俺の上に乗っている何かを巻き込み、そのまま上空へと消えて行く。


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