たぬき無双
御手々ぽんた@辺境の錬金術師コミック発売
第1話 プロローグ
真っ暗な闇のなか、何か光る物が近づいてくる。
大きい。
周りに一切比較できる物がないから一層大きく感じる。
光が届いても周囲には何も見えない。
自分の体さえも見ることが出来ない。
虚空に浮いている?
光る何かが目前まで迫ってきた。
その時、自分の物ではない概念が思考に滑り込んできた。
『機械仕掛けの神が汝を救済しょう』
『欠けたる魂を補完、祝福を授ける』
「えっ、なにいってるんだ。機械仕掛けの神?デウスエキスマキナのことか?あれはギリシア悲劇だろ。魂が欠けてる?」
『汝の欠けたる魂を、祝福にて補完する。欠けたる魂は、二ヵ所』
「意思の疎通ができている?一体ここはどこなんだ?俺はどうなっているんだ?」
『此処は魂の裁定場なり。汝は魂の裁定を受けし者。汝の欠けたる魂の一は、死の凌辱を受けし傷である。最弱の称号を授ける。そに対する祝福にて、滅龍のブレスたる、終焉の光を授ける。その二は』
「なんだなんだ、どういうことだ。俺は死んだのか?話を進め過ぎだよ。終焉の光ってどんな中二名称だよ。」
『孤独のうちに死した者、孤独者の称号を授ける。そに対する祝福にて、全翻訳受話機能を授ける。』
「また勝手に話を進めてるよ。孤独者?ボッチの称号ってことか?余計なお世話だよ! 俺は生前ボッチだったのか? 思い出せない……。全翻訳ってどういうことだ。それがないと、言葉の通じない状況にこれからなるってことか? 受話ってことは聞くだけ? それってコミュニケーション取れないだろ。所詮ボッチにはお似合いってことかよ。」
『汝、魂の敵対者なる存在あり。そと汝、互いに滅するのみ。融和は能わず。汝が先に滅するを叶うことを望む。敵を滅せよ。敵を滅せよ。心にとめよ。心にとめよ。汝の新たな生に、幸あらんことを。』
「えっ、敵? 滅する?」
そこまで考えた瞬間、目の前にあった光が急速に離れていく。
俺の意識も朦朧としてきた。
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