第24話 第5層 仲間の死

みんな、ハグしたり握手したり、無事を笑顔で語り合う。


私も、バニラが顔面に降ってきたときには、ダメかと思ったくらいだから。。。


あはは、ふぅ、





ネコッチ「あ、あの、待ってください、ヨーコさんの姿が見当たりません」



!?


桜子「え!?そ、そう言えば、休憩の時って居た!?いつから居ないの!?」


ソルト「休憩の時、水を貰ったぞ」

ナターシャ「確かに居ましたね」


みんなのヨーコさんの目撃情報が飛び交う。

嘘だ、置き去りにした?

いつ!?


私は必死に休憩の時からの記憶を思い出した!!!


たしかにみんなに水を分けたりお菓子をくれたり、していた!!!

その後は???

集中すればするほど、ズキン、と目が疼く





天眼のスキルで自分が見ていた光景を記憶してもう一度見ることのできる特殊なスキルを使った


視界に見えていても、意識がそこになければ記憶には残り辛い部分をもう一度映像や写真のように再生できるスキルだ。



私が橋を途中まで渡って、岩場の上にケンタウロスが見えて、意識がケンタウロスに集中していた場面。

岩場の下のみんなと休憩していた光る植物があるあたりに、ヨーコさんが忘れ物を取りに一人で居るところが見えた。


私はスキルで見えたままをみんなに説明した直後、







ドンっ!グチャ!ドサっ!



私のすぐ後ろに複数の何かが落ちてくる音がして振り返った。


ネコッチ「キャーーーーー!!!」

アカギ「おい、これって!?」

ソルト「うぷ、(嘔吐)」

桜子「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

ナターシャ「ひ、ひどい。。。」



信じられない光景に

私は震えが止まらなかった。



バラバラになったヨーコさんの身体がそこにはあった。




















ヨーコさんとはあまり話してない。

だからそんなに振り返るエピソードは無い。

名前以外に好きな食べ物とか、趣味とか、好きな異性のタイプとか、誕生日とかそんな情報すら知らない。


そんな関係だったけど、でも仲間だった。


目の前の無残な姿を成り果てたヨーコさん。

よく分からない。。。。

震えが止まらない。。。


目が熱くなる。




ロミ「違う、違うよみんな!これはヨーコさんなんかじゃ無いよ!」


ジャック「ロミーさん、」


桜子「そう思いたい気持ちはわかるわ」


ロミ「違うって!ヨーコさんは多分先に進んだんだよ」


上城「ロミーさん。。。」


一同「。。。」


ロミ「私が橋を落とす前にもっとちゃんと確認していれば!!!!」


ジャック「私も最後尾に居たはずなのに、ちゃんと確認していなかったから、ロミーさんだけの責任じゃないよ」


ロミ「ヨーコさんきっとまだこの辺にいますよ!探しましょう!ヨーコさん!ヨーコさん!」




上城さんがヨーコさんの遺体が見えないように私をギュッと抱きしめてくれた


上城「ロミーさん、、、君の責任じゃ無いよ」


ロミ「違う、みんな、一緒に、逃げ切れたじゃ無いですかっっっ」


上城「うん、そうだね。そうだね。。。」


ロミ「ちがう、ちがうんですっ。。。」





涙で視界が見えなくなった。。。。。











<hr>






足取りが重く、空気も重い。


誰も喋らない。


ネコッチ「ぐすん、ぐすん」


白バラさんがネコッチさんの肩を抱きながら慰めている


桜子「ロミちゃん、大丈夫?」


ナターシャ「ロミー?気を落とさないで。。。」


なんて答えたら良いのかわからず、私は黙ったままだった。


早く外に出たい。

こんな場所もう懲り懲りだ。


誰もがそう思っている。



モンスターが現れても沈黙は変わらない。

みんな気力が無い。


ドンドンドン!

無言のままジャックさんがモンスターを倒す。


そこにはなんの感情もない。

ただ、ただ、敵をロックオンして、攻撃を繰り返すだけ。


冷たく重い。何もかもが重い。

さっきから目の奥がドンドン熱くなってる。。。

頭が割れそうなくらいに



バニラ「おい、おい!聞こえてないのか!?ダメだなコイツら」


バニラがロミーに話しかけても返答がない。

周りを見渡しても皆んな下を向いて歩いていて、誰も反応がない。

冷たく暗く重い重い空気がバニラは我慢ならないようだ。

このままでは、ロミーの精神が不安定になり過ぎて、暴走し兼ねないと、判断した




バニラ「おい、桜子、月の癒し魔法持ってるか」

桜子「え?精神魔法ならあるけど、、、」

バニラ「全員にかけろ」

桜子「。。。あ、そうね、わかったわ!!!。。。。"moonlight"!!!」


桜子さんが魔法を唱えるとシフォンスカートがふわっと風に舞い、光る

まるで天使のように。



月光がみんなを照らす。

キラキラと光が降り注ぐ


心がスーッと軽くなる精神系の癒し魔法。

闇属性のモンスターを弱らせる効果もある。


バニラ「忘れろとは言わない。今は少しでも早く外に出ないと。完全におかしくなっちまうだろ」


バニラの言葉に意識がはっきりと戻って来たような気がした。


ロミ「バニラ。。。」


バニラが私の肩に飛び乗り顔をスリスリしながら私を励ましてくれた。

私だけじゃなく、みんなの心も軽くなるように、気を使ってくれたんだよね。。。


ロミ「バニラ、、、バニラのクセに生意気だぁぁぁぁぁあ!!!」


バニラをぎゅううううっと抱きしめバタバタと暴れるのも愛おしい


ロミ「ありがとーーー!!」


今は進むしかないんだ!!!










第5層のモンスターはケンタウロスに呼び寄せられたのか、深層の何かの封印が解かれたせいなのか、わからないけど、割と少ない。

モンスターが少ないうちに住居区画にたどり着いておきたい。






何時間か歩いき続けた時


なんか、この辺空気が変わった???

獣臭がしないというか。。。


上城「ここって、居住区間じゃないかな」


上城さんが指をさした通路の向こう側に家の窓らしきものが見えた。

頑丈な柵に大きな鍵がしてあった。


桜子「鍵開けのスキル習得してる人いる???」


"鍵開け"これは盗賊固有のスキル。

盗賊のクエストをクリアすれば、"盗む"の次くらいに覚えるやつ


ソルト「俺持ってる!やっと役に立てる感じ!?」



ロミ「ここが、入り口なら念の為に、モンスターが入ってこないようにこの入り口ら辺にカモフラージュした方がいいよね?」

ジャック「うん。良いアイデアだね。私も協力するよ」


居住区間の入り口辺りにジャックさんとカモフラージュを施した。




ソルトさんが鍵を開けている間に、私は天眼のスキルで、この居住区間にモンスターがいないか調べた。

いちお、モンスターが寄り付かない。とは聞いているけど、念のため。

おと、ポータルの場所も分かれば、と。


。。。。。。。。。今にも消えそうな反応が二つ???

一つは生命反応???

一つは、ポータル!?見つけた!


ロミ「生命反応のようなものがあります」

桜子「人???」

ロミ「うーん、それがよくわからないんだよ。。。」


ガチャ、


ソルト「あいた!」






中に入ると、そこには横長に家が並んでいた。

ずっと使われていない感じだった。


ソルト「よくわからないけど、割と新し目の足跡がある」


地面を見てみると、大きめの足跡とその横に獣の足跡があった。

でも、所々、黒っぽい塊が落ちてる???

なんだろうこれ、、、




時刻は19:35

お腹が空いてきたとみんなが話している。


ロミ「えぇっと、生命反応があった場所を先にいいかな?」


誰も反対はしなかった

たくさん家が並んでいて、窓から中を覗くとどこのお家も、キッチンとベットとテーブルと椅子。と言ったシンプルな似たような作りだった。



ロミ「生命反応はここの家みたい」


先ほどの足跡は、この小さな家の中へと続いていた。


家の中は暗くてよく見えない

"Light drifts"〈漂う無数の光〉を使った


するとガタガタと部屋の中から、何かが飛び出してきた!

生命反応はこのモンスターだったの?!


火の玉を私たちに向かって飛ばしてきた!!!!


ロミ「わ!!!、、アレ?そんなに熱くない???」


狼のような出で立ちのモンスターは最後の力を振り絞ったようで、はぁはぁと苦しそうにその場に倒れ込んだ。


上城「みて!この人!」


入ってすぐの椅子の影に鎧を着た男性が息絶えていた。。。


一緒についてきていた冒険者がその男性を知っているという。

1ヶ月ほど前から見かけなくなったと。。。

彼は獣使いで、この狼のようなモンスターと一緒に冒険をしていたそうだ。。。


主人を守るために最後の力を振り絞ったんだね。。。

苦しそうにしているモンスターの頭を私は撫でた。

足跡の横の黒い塊は、傷を負ったこの鎧の冒険者の血だったんだ。。。



桜子「この子たすけれない???」

冒険者「助けたとして俺たちが襲われないか?」

桜子「私の魔力をこの子にあげれば助けられるかな!?」

ロミ「私がバニラにしたように、魔力を流す事は可能だと思うけど、どうなるかはわからないよ?でも、私も桜子さんと同じだよ!助けたい」


桜子さんが狼のようなモンスターの身体に触れ、魔力を流し始めた。。。


桜子「ぅぅうん、私の力じゃ足りないかも。。。」


ロミ「私がアミュレットを通して桜子さんの体内に魔力を流せば、桜子さんの力としてこの子に注げないかな!?そうすれば、桜子さんに懐くかも!」

桜子「ロミちゃん大好き!お願い!」


早速、桜子さんに魔力を送った。


すると、モンスターの表情が和らいだ


桜子「よかった!大丈夫そう!でも、やっぱりこれ時間かかりそう。。。」


上城「ここは僕がみてるから、ロミーさん達はポータルを探してきてくれる?」


ロミ「そうですね!桜子さんごめんね、行ってくる!」





私はジャックさんと共にポータルの元へと向かった。



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