第18話 月明かり浴びて



バニラが私の前をトコトコ歩いている


ロミ「何してたんですか?」

ジャック「眠れないから読書をちょっとね。もともとあった書籍だから古いのしか入ってないけど」



ジャックさんは本を読むんだぁ

私、活字苦手で最後まで読みきった事ないんだよねぇ

読んでみたいラノベがあっても漫画化されるの待つくらいだから。あはは


しばらく歩いて噴水広場に出た。

月明かりが噴水の中央の女神像を照らしてキラキラしている


噴水の前に座って空を眺めた


ジャック「もしアレなら私は読書してるから帰りたくなったら教えて」

ロミ「あ、すみませんありがとうございます」


ジャックさんは、直ぐそばのベンチに座って読書を始めた。


私は月光浴と言っても退屈で噴水の周りをゆっくり歩きながら天体観測。


こっちの世界の月はとっても大きい。

寝る前の時よりも高い場所にあるから、もしかしたら、宿のお風呂場の前のベンチにも月明かりが当たってるかもしれない。


噴水をゆーっくりと一周して今度は寝そべり、星を眺めると、バニラがすぐに私のお腹の上に飛び乗った。


ロミ「ぐえっ」


バニラは私の魔力を吸い上げているのが感じ取れた。

バニラの頭をなでなでしながらする事がないので、結局、星をぼーっと眺める

向こうじゃ暇さえあれば、ゲームしてたからなぁ笑


なんか良いなこーゆー時間。

満点の星空と月明かりを浴びながらぼーっとするって言う、何でもない時間。

ゆっくり星を眺める事って本当に無かったからなぁ

静かに流れる時間って物凄く癒される。


しかも、向こうの世界はまだまだ夜は寒かったけどこっちの気候はちょうど良い(o´罒`o)


星座を確認しようにも星が多すぎて全くわからない。


私は鼻歌を歌った






バニラ「月の光が濁りを無くしてるお陰で、ものすごく滑らかな味わいだ」

ロミ「魔力って味あんの?」

バニラ「全然違うな。吸い取る部位によっても違うぞ」


そう言うとバニラは私の顔をじっと見つめた


ロミ「なに?」


私の耳たぶをカプリと咥えた


ロミ「痛っ」


おぉう、ちゅうちゅう吸ってる???


バニラ「うん。舌触りも違うな」


ロミ「もう(//∇//)やめてよぉ!!」


バニラがニヤリと笑って言った。

でも、月光浴をしながら魔力も食べてもらって、身体が楽になった気がする。

特に目の辺りがモヤモヤしてた感じが消えてる。


私は身体を大きく伸ばしてあくびをした


ジャック「気持ち良さそうだね」

ロミ「あ、すみません(〃ω〃)」

ジャック「君はこれからどうするか考えてるかい?」

ロミ「うーん、そうですねぇ」


私がこの世界に呼ばれた可能性がある

だから、私はここで、何故呼ばれたのか知る必要がある

だから、進むしかない。

でも手がかりがない以上、この世界を学ぶ事から始めるしかない


ジャック「無理せず少しずつこの世界を知っていけばいいんじゃないかな?」


ロミ「。。。ありがとうございます。私も同じ事考えてました。"メインストーリー"的な目的が見つかるまでは、この世界を楽しもうと思います」


ジャック「うん、それがいいね。私にも手伝わせてくれないかい」


ロミ「はい!是非お願いします」




スマフォの時計を見ると2:50だった


ロミ「あ、こんな時間まで!すみません、流石に寝たほうがいいですよね、宿に帰りましょう」


バニラがまた私の前をトコトコ歩いてくれてついて行く。






宿に戻った時には3時過ぎちゃって私達は静かに、部屋に入った。


ジャック「ロミーさんの上で寝て本当に大丈夫?(小声)」

ロミ「どうぞどうぞ(小声)」


それぞれのベットに入りベットのカーテンを閉めて私達は眠りについた










小窓から差し込む陽射しが暖かい


目が醒めると見慣れない部屋の光景に一瞬戸惑う

枕元に置いたスマフォの時計を見ると9:40


ロミ「ふわぁぁぁぁあ。」

ナターシャ「起きました?朝食できてますよ」


ナターシャがお迎えに来ていた。

みんなはもう先に起きて食事中らしい。。。

また私は一番最後か???


むにゃむにゃと寝ぼけ眼で昨日買ったマスクを顔につけ、ナターシャに手を引かれながら下に向かった


桜子「ロミちゃーんおはよー」


みんなに挨拶されて私も挨拶を返す。

ナターシャに席に座らされると目の前にパンとスープと目玉焼きが出てきた


アイマスクしてても見えるようになってる。

これならもう一人でも大丈夫そう


ロミ「いただきまーす。むにゃむにゃ」

上城「ロミーさん、朝弱いんだね」

桜子「そうよーロミちゃんの朝はいつもこんな感じぃ。すみませーんスープのおかわり貰えますか」

ナターシャ「ロミー、こぼしますよ!」

ロミ「もう少し寝るぅぅう」

桜子「うふふ。」

上城「食べながら寝ちゃうの?はは」

ジャック「これは、お世話してあげたくなるなぁ」

桜子「そうなの!お世話してあげなくちゃ!ってなるのぉロミちゃん本当可愛い♡」





5分ほど経って私は覚醒し、むくりと起き上がる


桜子「ロミちゃんのこの行動を"二度寝からの華麗なる生還"と呼んでるわ」

ロミ「みなさん、おはようございます( ・`ω・´)キリッ」


上城「完全に起きたの?」

ジャック「おはようロミーさん(ニコニコ)」

ロミ「いただきまーす。もぐもぐ」


バニラが私の隣に座って俺にもくれと、催促する


ジャック「バニラくんスープ飲むかい?」

バニラ「おう!ぺろぺろ」


バニラが待ちきれなくて、慌ててる様子が可愛い。


桜子「私、今から朝風呂にみんなと行ってくるけど、ロミちゃんどーする?」

ロミ「あーやめときます」

桜子「オッケーじゃー11時くらいに出発でいいかしら?」

上城「そうだね」


もぐもぐ、やっぱり、司祭様に施して貰った術式で、マスクしてても、目が見えるようになってる。

これなら、もう支えなくても一人で歩けそうかなぁ


ジャック「上城くんは朝風呂は?」

上城「僕は大丈夫です」

ジャック「では私もお風呂に行こうかな。また後で」



ナターシャがハンター協会まで案内してくれるみたいで、

アカギさん達男性四人は朝食を済ませて、街を散策してから向かうらしい


私も本当は早く行きたいけど、睡魔には勝てなくてつい、ね。あっははー


スマフォを取り出して、ステータスを確認した

パーティだけかと思ってたけど、友達登録してれば、友達のステータスも確認できるのはとても便利。



そうだ、昨日のナターシャの件を聞かなくちゃ。

ナターシャは今いないね、マリアさんがカウンターにいる!よし!

私は食べ終わった食器をカウンターに運びマリアさんに話しかけた


ロミ「マリアさん、ナターシャについて聞いてもいいですか」

マリア「あぁ聞いたよ。枷を外すって言ってくれたんだってね」

ロミ「あ、はい。。。失礼だったみたいで、すみません」

マリア「そんな事ないよ!あの子ひどい事言ったんじゃない?すまないねぇ、でもあの子はあれで喜んでたよ。あの子はねうちのキースが仕事で寄った村で餓死寸前の状態で、道端に倒れていたのを見つけ連れて帰ってきたんだよ。前のあの子の主人はロクに食事も与えなかったみたいでね」




ナターシャの前の主人は子供のナターシャに大人と同じように労働させていたようで、食事も調理もしない生の物や傷んだ食材しかもらえなかったらしく、ここに連れて帰ってきた時、食事も噛む事すら出来無かったらしい。

流動食を少しずつ食べさせて、普通に歩けるようになったのは1ヶ月も後だったとか。

それから、助けてもらった恩を返すためだけにキース夫妻に尽くしているんだとか。。。


マリア「私もキースもあの子を本当の娘のように可愛がってるつもりだけど、あの足枷がある限り、あの子の心もずっと囚われたままなのよ。だから、心を開いてもらえなくてね。もうここへ来て、9年になるんだけど、未だに納屋の二階のハンモックで寝てるのよ。部屋を用意してあげても、なにをあげても『私は奴隷ですから』って言って何も受け取らないのよ」


ロミ「キースさんに私達の案内を申しつかって、凄く、丁寧に私達を案内してくれてましたし、最高司祭様と謁見の間もずっと外で待っててくれたし、今朝だってわざわざ私を起こしに来てくれたし、本当に仕事熱心で偉いなぁ」


マリア「キースがナターシャに言ったのは貴方達が市場でお買い物する手伝いだけなのに、あの子、いつもなら、それ以上はしないのだけど、よっぽど、貴女の事が気に入ったみたいで、昨日の夜も嬉しそうに貴女にジュースを買ってもらった事も話してくれたのよ。あの子が他の話を自分からする事なんて無かったから本当に嬉しかったわ。ロミーさんありがとう」


ロミ「え?私は何もしてません」


マリアさん目がちょっと潤んでる???

要するに、ナターシャは私に心をほんのちょこっと許してくれてるって事でいいかな???

うんうん

足枷を外してあげられれば、キース夫妻の本当の娘になれるって事だよね!?

よし、俄然やる気でた


私は部屋に戻る途中で上城さんに話しかけた


ロミ「上城さん、私の今後の目標、1つ決まりました」

上城「うんナターシャちゃんだね?」

ロミ「はい!ナターシャの足枷を何がなんでも外してキース夫妻と本当の親子以上の幸せになってもらいます!」

上城「うん。僕も手伝うよ!」



私達は部屋に戻り

ベットを直して2人が帰ってくるのを待った、


上城「目の調子はどう?」

ロミ「もう抜群です!アイマスクしててもほぼほぼ見えるようになりました」

上城「それはよかった!昨日の司祭様の魔法のおかげかな?」

ロミ「はい!あれのおかげてすっかり見えるようになったんで、上城さんの表情もバッチリ見えてますよ!」

上城「それはそれで、何だか照れるなぁ」


外から女性達のキャッキャする声が聞こえてきて、桜子さん達が帰ってきたのがわかった。


ガチャっと部屋の戸があき最初にジャックさんが入ってきた。

もう昨日揃えた装備に着替え終わってる。


上城「おかえりなさい」

ジャック「ただいま。」


ニコッと笑ってただいまって言う姿、素敵です。

私、ほんとにダンディなおじ様に目がない。。。



桜子「ただいまーそろそろ時間かな?」


時計を見ると10:50だった。


上城「まだ早いけどみんな揃ったし行こうか」


ゾロゾロと階段を降りるとナターシャが待っていた


私が笑顔でナターシャに手を振ると、照れくさそうにお辞儀をした

うーんガードが固い


マリア「行ってらっしゃい」


一同「いってきまーす」




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