第6話 初陣ですが、序盤にでてくるボスじゃないと思います



ゴォォォオオオオンッッッツ!!!!



突然、鐘の音が聞こえ驚いた瞬間、視界の上の方に時間が表示され、カウントが減り始めた


「なっ、何!?2人も見えてる?」

「僕にも見えるよ」

「赤い色してるわ!何のカウントダウンかしら?」


何かのイベント的なものを知らせるカウトダウンなのか、この世界の情報が少なすぎる。

あれ?こんなのあったかな?

カウントダウンの右側に無数の白い丸と大きな赤い丸が表示されている


「二人とも、右上の丸いのが動いてるようにも見えるんだけどこれはなにかな?」

「上城君も気づいた?この林を抜けた先かな?"キング"だとこれによくにたマップ機能はあるけど」

「動き回っているのは冒険者の可能性が高いね。どうする?」

「このカウントダウンが終了するまでに倒さないと何か起こるかもしれないわね」

「え、何が起こるの?」

「"即死攻撃"とかそんな感じだと思います」

「私もロミちゃんに同意見」

「ほ、本当に!?ボスとかってこと!?」


私と桜子さんは既に敵のいるであろう方向に向かって歩き始めていた


「ま、待って二人とも!怖くないの!?」

「、、、えっと、ドキドキはすますよ、でも早く実力を試したくて」

「私も〜"キング"しかやってないからゲーマーと言っていいのか烏滸がましいけど、いちおキングでそれなりに経験は積んでるつもりだし、早く私も自分の実力を試したくてウズウズしてるのよ」


鳩が豆鉄砲を食らったよう表情の上城さん。

わからなくもない。

普通の人なら怖がるのが普通。

私と桜子さんがちょっとズレてるだけ。


でも、今ここに居るのは"キング"をプレイしている3人。

他にここに連れてこられた人達も"キング"のプレイヤーである可能性が高い。

経験者が多いとなると、手っ取り早く経験値とお金を稼ぐなら雑魚モンスターを狩り尽くされてしまう可能性もある。


あの村で武器をいち早く手に取り、旅だった人達は私たちと同じで、受け入れるのも理解も早かった人達だ。


「回復は私に任せて!思う存分、力を試して来て!上城君も取り敢えず武器を構えて」

「わ、わかったよ」

「一旦先に戦闘しているプレイヤー達を確認したら私も中衛から攻撃をしかけるから、上城ぶちょ、さんも敵との距離に気をつけながら、その銃の性能や射程距離を覚えてください」

「上城君!余裕があればどんどんスキル使ってね」

「わ、わかった」

「さぁ!林を抜けるよ!」


林を抜けると視界が明るくなり一瞬目を細めた




ワァーーーーーと言う無数の声と土煙、

冒険者が大きな魔物と戦っていた!!


「な、何あの化け物!?」


上城さんが驚いて後退りをする横で私は敵を観察する


5m?それ以上?ある魔物は

ライオンの様な体に大きな羽が生えた姿をしている

首と左足に枷がつけられており、どちらも大きな鎖で繋がれていた。


「恐らくあの姿、キメラかしら」

「うん。飛べない様に鎖で繋がれているけど、遠距離攻撃に気をつけよう!」


何か飛ばしてくる可能性もある


「初っ端から出てくる様なモンスターじゃない気がするけど、自分の実力を知るにはいいチャンス!桜子さん、行ってきます!上城ぶ、さん、も気をつけて!」


走りながら杖をモンスターの方に向けると、モンスターの頭の上にHPゲージが表示された


戦闘に参加する意思表示みたいなものかな。よし、一発ここから魔法を使ってみますか!


私は自分の今使える魔法と威力を知る為、覚えている魔法の一覧画面を開いた


あれ?ほとんどがレベルと同じよに"???"表示か。。。

うーん、とりあえず、適当に試しますかぁ



私のステータスは殆どが"???"と、不明表記のため試してみないとわからないことだらけな為適当に選んぶと、

足元が光り出し魔法陣が何重にもかさなり現れた。

魔法陣が現れると同時に"???''から表記が変わった


"ファイアショット"

"ファイアトルネード"

"アイスショット"

"ブリザード"

"サンダーショット"


適当に選んだ簡単な魔法を

一定間隔で、キメラに向け5つ放つ

自分のMPゲージの減り具合とモンスターのHPの減り具合を確認する。


ふむふむ、MPゲージはさほど減ってないけど、キメラのHPゲージは今ので2割ほど削れたっぽい。


"キング"の世界で

私は"魔法剣士"だったため、ある程度魔法で削った後は、剣士として前衛にでるところだけど、この世界での私はただの魔法使い。

前衛にでるのはちょっと躊躇してしまう。



ゴォォォオオオオンッッッツ!!!!

ゴォォォオオオオンッッッツ!!!!


今度は二回鐘がなった


「きっと何かの合図だよ!ロミちゃん気をつけて!」


桜子さんの呼びかけに気を取られた瞬間、超音波のようなキメラの咆哮にみんなが怯んだ

耳が潰れそうっ!!!


すかさずキメラが後ろ足で立ち前足をバタつかせている


「クールベット!?」


"キング"では大型モンスターがこの動作を見せた時、中衛〜後衛のプレイヤーへのクリティカル攻撃が放たれるのがお決まりなため、私はとっさに上城さんの元へ走った


「上城君へのシールドが間に合わないわ!逃げて!!!」

「こんな、序盤に即死攻撃があってたまるかってのおっ!私が!なん、とかっ!!!!」


ボコボコの地形を必死で走る


その時キメラは鉤爪で地面をえぐり大きな岩を後衛のプレイヤー達に飛ばした!!!


ドゴォォオオン!!!


上城さんが諦めその場にかがみ込んだ瞬間にキメラの方に振り返り、ものすごい速さで飛んでくる大きな岩を手にした杖を振りかぶり魔法を使った


ギィィィィィィィィィインンン!!!!


杖の数センチ手前で岩を食い止め今できる全力でこの岩を押し返してやる!!!


「こ、の!くっそばばぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!」

「ば、ばばあ!?」












ヒュゥゥゥゥゥゥ











ゴッ!!!!



根性と日頃の恨み辛みで私はその場をしのいだ





「え!?"ゴッ!!!!"って頭直撃してるよね!?ロミーさん!」

「あー前衛の人達がこっちみてるわねぇーwww

「って桜子さん!その腕!」


左腕から血を流す桜子さんが私たちに合流した。


「だ、大丈夫?三日月。。。」

「かすり傷だよ!大丈夫」


本物の血を見て私はマリカさんが火傷した時の事が頭によぎった


「桜子さん、回復魔法をかけるんでちょっと待ってください」


本物だと思い知る。

この世界は甘くない。

序盤にしてはたしかにキメラの様なモンスターがでてくるなんてありえないけど、それはゲームの中の話。

今この世界は現実なんだ、私達はこの世界で生きているんだ


「ありがとロミちゃんもう大丈夫!キメラが眼を覚ます前にトドメを刺しに行こう」

「うん、、、」


気を失ったキメラの周りにあの村で一緒だった冒険者達が居た

私達がキメラに近づくと道を開けてくれた


「おい、これあんたがやったのか?」

「なんでそんなに強いんだ?」

「俺をパーティに入れてくれ!!!」


いろいろ声をかけられたけど、今はカウントダウンもまだ止まってないしこちらを優先させたい


「他の怪我人を治療してくるわね上城君はロミちゃんと一緒にいて」

「了解」


キメラの周りを観察していると鎖がだいぶボロボロになっているのがわかる

鎖には何らかの禍々しい魔力が感じられ、簡単には壊せない様だった

首輪の様につながれてちょっと可哀想になってきたな


首にある傷から魔力が溢れ出しているのがわかる

この首輪を破壊すれば魔力放出により、自動的にこのキメラは戦闘不能になるのでは???


私はもう一度、周辺を観察した

祭壇のような場所、

鎖に繋がれたキメラ、




鎖は祭壇の真ん中から伸びてて

鎖に手を触れると、魔力がどんどんキメラに流れているのが感じられた



うーん

魔力を無理やりキメラに流し込んでる?

苦しくて暴れてた???


「おい!カウントダウンがまだ止まってない!どーするんだ!」

「トドメを刺そう!」


冒険者達が嫌立ち始めていた。


「桜子さん、私、この鎖と首輪を破壊したいんだけど。。。」

「。。。わかったよ。野次馬は任せて!みなさーん危ないので下がってくださーい!」


すぐに私に協力してくれる桜子さん、本当天使!本当結婚してっ!




"キング"の世界ではより多くのダメージを与えた者、トドメを刺した者に沢山の経験値とレアアイテムをドロップしやすくなっている。

だから、経験者ならトドメを刺したくてウズウズしているのだろけど、見た感じ一撃で致命傷を与えられるプレイヤーはいない、かな??


カンッ!ガンッ!

キィィン!!

高音が鳴り響く

キメラの皮膚は固く、今もずっと冒険者達が攻撃を加えているけど、ほとんどHPは減っていない


「私が鎖のゲージを削るので最後の一撃は上城さんがお願いします!」

「鎖を?モンスターの方じゃなくて??。。わかったよ何か考えがあるんだね。何をすればいい?」

「首輪に銃口を向けてみてください。そうすれば、キメラのHP以外に首輪自体のHPが表示されます!あとは首輪の一番劣化している部分を集中的に狙って撃ってください!」

「う、うん!わかったよっ」



他の冒険者達が首と足のそれぞれ一箇所に集中攻撃をするように桜子さんが誘導してくれて冒険者達が

地響きとともにワーーーーー!!!と一斉に動いた


私は鎖が繋がる祭壇の中央を破壊すべく

杖を振り上げ魔法による集中攻撃を始めた






「大分疲れてるみたいね、」

「み、三日月、なんで、銃を撃っただけでこんなに身体が疲れるのかな???」

「ガンナーは自分の持つ魔力を弾の代わりにしてるの。だから魔力が低いうちは、ある程度休憩しつつ様子を見ながら攻撃しないと。でも、今回は私の魔法で回復してあげる。」


上城さんの足元に魔法陣が光りだした


「回復と魔力のアシストしたから、気にせず撃ちまくっちゃって!」

「了解!身体がすごく軽くなったよ!ありがとう三日月!」




キメラ 残りHP 15000

首枷 残りHP 3500

足枷 残り HP 1200

祭壇 残り HP 9800

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