見ちゃった

見ちゃった


「片づけしてくるからここで待っていて。」言われるままに玄関口で待機するポーと夜未に暫く経って声がかかって、

「入ってくれよ。」

玄関をくぐると

「バン! バン! バーン!」トキが指で銃の形を作って発砲する真似をした。

「応戦だ! このやろう!」

「ドドドドドドドド!」

「ドュュルルルルルルルルル!」

「ドュクシ! ドュクシ!」


三人は居間でゲームをしていた。熱中している子どもたちの傍で扉が開き、床に散らばったプラスチックや紙のゴミが押し出されて音を立てた。ポーがそちらの方向に首を回し目を丸くした。トキが気まずそうな顔をしている。

「こんちはー。」夜未が挨拶をした。女が上階の自室から降りてきたのだった。彼女の目は座りその下には濃い隈が染み付いている。夜未には応えず、真っ直ぐ台所に向かいコップにミルクを注いで、来た経路を無言で辿り戻って行った。

「あれ、お姉ちゃん?」夜未がトキに尋ねた。

「ああ、ちょっと引篭もっててな。」

「そうなのか。」

「励ましに行こうよ! 綺麗だし、ともだちになりたい!」ポーがゲームを放り出し、ドアを開いて階段に足をかけた。

「おい! そっちは。」トキが静止したが、手遅れだった。ポーは瞬く間に階段を上り終えドアノブを掴んで引いた。彼は立ち止まり固まった。


ああああああ!あしがとろけてる!あああああああ!あははああああうぅううううん!!!!ううううううううううう!!あ!あ!あ!!!!!!!あっあっああっああ!あはぁ!!!!!

⋯⋯はっ部屋が!部屋が大きくなっ⋯⋯てるよどんどンっうぷっバシャバシャあは

手をかき泳いでいるように体を動かしている。

ああぁあいっコーヒーに入れやがったな

ハッピー!!ハッピーー!ハッピー





セロファンで色を赤に変えられた蛍光灯が頭上に設置されていて、それを怯えた目で見た。

こわいいいいいいあいあああああああばぁ

ジュル

火がぁん!!!!!!

(潜水艦???)

彼女は窓から斜向かいの家を凝視している。

そうぢゅうたのちでけふねだざ。ぷ



みっ みわたすかぎり ひろしまどぇぇぇす


騒ぎの途中から駆けつけたトキと夜未が、ポーの後ろで肩を落としていた。トキは静かに扉を閉めてポーの肩に手を回し、階段を下りた。夜未も従った。

「お姉ちゃん、どうしたの?」

「アブナイモノをやってるんだ。」溜息をつきながら彼は答え、トキ以外の二人は息を呑んだ。

「だけど警察にも出頭させられないし。俯いたトキは暗い面持ちだった。それは他の二人も同様だった。

「悪いけど、今日のところは帰ってくれ。」

客たちは素直に従った。

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