第88話【餓鬼の断壁と奈落への道行きその4】
後方から迫り来る猿の大群を確認せず、荒れゆく岩場を苦戦しながら、走り抜けるバルクス。
石ではない何かに
流れ出る自らの血など気にせずに、直ぐ様立ちあがり周囲を見渡す。
躓いた位置で岩猿が擬態を解き、腹を抱えて笑っている姿が視界に入る。
逃げ惑う獲物を壁まで追い詰め、歩みを止めた兵隊猿は一定の距離を保つ。
バルクスの出方を
現時点においてバルクスは初の実戦であり、命のやり取りを常時行う戦場での経験は勿論ない。
絶体絶命に見える状態だが、まだ生への光を瞳に灯す中、
『良い!!実に良いぞ君達――――洗練された
攻撃の銃、反射の鏡、擬態の岩、迫り来る無数の兵隊に対し……
バルクスの魔力【
突然の大声に猿達は唖然としていた――――
が、一匹の猿が手に持っていた〝肉片〟を、両手を大きく広げ演説の様に声を出すバルクス目掛け、勢い良く投げつける。
それは、何の障害もなく自慢の大胸筋へ直撃する。
余程可笑しかったのか、猿達の手からは次々と宙を舞う〝肉片〟が、バルクスと岩壁に血を撒き散らしながら放たれた。
反撃や避ける素振りもなく、白い歯を露出させながら腰に手を当てるポーズで、涼しい顔つきで猿からの
『君達――――チップは、もう結構だ。お返しにこれを見るが良い!!フンッ!!』
上半身を
それが相乗効果となって黄金比で形成された、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます