第46話【子育て日記二日目】(アイナ回想編その1)

 私は幼い頃から、部隊で活躍していた父に尊敬と憧れを抱き続けていたの。


 いつかこんな強い人になって、〝世界を――――そして家族を守るんだ〝って意気込んでた時期もあったんだ。


 だけど、強く大きな背中を夢見ていた1人の女性の幸せな家庭は、予兆や音もなく突如として崩れさったの。

 ある時、長期間の特別任務に在籍してた時の頃。

 任務から帰る度、傷だらけになりながらも笑顔で帰ってきていた父。

 だけど、その時は違った――――まるで体温を持たないお人形さんみたいに、色とりどりの花で覆われたひつぎに入っていた。


 そして、いつもの様な温かさはなく冷たい体で、私たち家族の元へ帰ってきました。


 大きな体ながらも、心優しい父が大好きだった……だけど、目の前の父は白い小さな箱に入っていて、その温もりもいつもの優しさも、あふれんばかりの愛も今はない。

 悲しみで涙がこぼれ、もはや生きる気力が徐々になくなっていく妻と娘には与えてはくれなかった。


 死因に繋がる直接の原因は、仲間によると言われていて、の身元は、母でさえ知らされていなかった。


 ただ唯一気がかりなのは、〝炎魔法〟を得意とした父の胸にはが有り、それが致命傷となったみたい。


 それに、私が幼い頃父の日にプレゼントした、星形のペンダントも何故か奪われ今は行方もわからない。

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