目が覚めて僕は死ぬ

綿麻きぬ

目覚まし時計が鳴り響く

 朝七時、目覚まし時計がうるさく鳴り響く。窓からは光が目一杯に降り注ぐ。そんな毎日の朝。


 僕は薄目を開けて、目覚まし時計を止める。


 そして、絶望する。


 朝が来てしまったことに、またつまらない繰り返しの毎日が始まることに。機械に成りきれず、心が潰されかけて、それでも這いずるように生きている自分に愛想がつきて。


 もう一度寝たらこんな現実が夢に変わっているのではないかと思いつつ、そんなことはないとわかりながら僕は意識を手放した。


 意識を手放したのに意識はまだあり、僕の毎日がフラッシュバックする。


 朝起きて、日々の変わらぬ毎日を送り、夜には朝に怯えて寝付けない。そして、疲れて寝たらもう朝が来る。


 夜に早く寝ればもう少し朝が楽に起きれるのだろう。でも、寝たくても寝れないのだ。寝てしまったら朝は来る。朝がくれば毎日が続く。


 あぁ、朝が来なければどれだけ、どれだけ良いのだろう。


 と願っても朝は来る。それは世界の摂理。変わらないこと。


 でも、僕が本当に怯えてることはこれじゃない。


 本当に変化しない毎日ならいいのかもしれない、だが現実は少しずつ少しずつ変わっていく。反対に大きく変化する毎日ならいいのかもしれない。


 でも現実は大きく変わらないし、変化しない訳でもない。


 そんなことを思いながら、僕はやっとの思いで体を起こす。そして外へ出る支度をする。

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目が覚めて僕は死ぬ 綿麻きぬ @wataasa_kinu

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