冷たい子

 あたしが七歳のとき、ばあちゃんが死んだ。


 ばあちゃん子だった四歳上のお姉ちゃんはずっと泣いていて、涙ひとつ流さないあたしを冷たい子だと罵った。


 明るくて活発なお姉ちゃんはばあちゃんにとてもかわいがられていたけれど、人見知りでうまくしゃべれないあたしは、かわいくない子と嫌われていた。


 そこにいるだけで怒られて。

 気持ち悪いガキだと怒鳴られて。

 怖くてなおさらしゃべれなくなって。


 そんなばあちゃんが死んで、どうしてあたしが悲しむの?


 べつにうれしいとまでは思わなかったけど。

 気持ちがスッとしたのは否定できない。


 これって冷たいのかな。

 そうなのかもね。



 成長しておとなになって。


 お姉ちゃんが事故にあってもなにも感じないくらいだから。

 きっと、冷たいんだろうね。


 だけど、ねぇお姉ちゃん。

 妹の恋人を横取りするのも結構ひどいと思うんだけど。



 このままお姉ちゃんが死んだら、すっきりするのかな。



 ためしてみようか。

 ねぇ、お姉ちゃん。



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