第21話(ファーストクラス)

ギルド、モンキータイガーはアールが再加入し、名古屋城で亡くなった者を引き、48人から44人に編成された。


モンキータイガーの皆にアリガトポイントが入った。平均1万アリガトだ。アールの戦績、アリガトポイントはリセットされずに続けられる。アールはちゃっかりとレイピアを拾ってきた。


モンキータイガーの皆は、次にプレーするゲームを何にするか相談をする。すると、スマートモンキーにスマートフェニックスから通信が来た。


「スマートモンキー。うちのレイピアをアールが拾ったな? 返してもらおうか」

「ちょっと待つでさあ。……アールの旦那、そういう訳で。どうします?」

「17番フィールドまで取りに来れるならいいよ」

「こちらは9999番フィールドに居る。どうだろう、ルクソール・オンライン三本柱のスーパードライブで、既に解放されてる都道府県の旅客機に乗れば、楽に引き渡しが出来るが」

「それなら、名古屋空港から行こう」

「名古屋空港だな。名古屋発青森空港行きの便を手配する。モンキータイガー全員で来るといい。ファーストクラスでリラクゼーション出来るからな」

「そいつぁ良いな」

「決まりだな。10分以内に登場してくれ」


モンキータイガーは皆、スーパードライブにログインして、解放された愛知県の県営名古屋空港に出発ロビーに降り立つ。パッと飛行機の機内にワープした。


アールは取り敢えず、ファーストクラスの窓側に座った。シートをリクライニングさせて、ぐぅ~っと伸びをする。他のメンバーも席に座り各々の楽しみ方をする。スマートモンキーも来た。


「アールの旦那。ストレッチをしてる場合じゃないですぜ」

「火の鳥のメンバーは?」

「機体後方にいやすぜ。全員は来てないでさあが」

「ところでさ。アールって俺の本名?」

「えっ?」

「いや、だから」


アールとスマートモンキーの間に齟齬。


「アールの旦那…………今更ぁ?」

「アールって名前、しっくり来るような来ないような。ずっとモヤモヤしてたんだよな」

「ハンドルネームですぜ。何故、モコロと会った時に聞かなかったのか」

「それどころじゃなかったからさ。俺の来世を半導体にするとか。で、俺の本名は?」

「アールの旦那。分かってるとは思いますが」

「言語統制か?」

「ビンゴ」

「使えねえな」

「まあ、仕方ないでさあ。案内AIは万能ではないでさあから」


『アテンションプリーズ。当機はまもなく離陸致します。シートベルトをしてください』


ググッと旅客機が滑走路に入り加速する。プレーヤーに、グーっとGがかかる。そして、フワッと機体が浮く。


「本格的だな」

「アールの旦那。飛行機が巡航に入ったら、火の鳥の代表者がレイピアを取りに来るそうでさあ」

「まあ、息抜きしてゆっくり飛行機旅を満喫するよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る