第19話(ファンタジーゲーム・3)

バイオレットは無事に北名古屋市に着く。火の鳥は100人の大所帯だ。リーダーの名前は〝サトル〟レイピアを装備している。


「火の鳥代表のサトルだ。君がバイオレットだね? トレードした者にはレイピアを1つ持たせてある。しかし、モンキータイガーと火の鳥はギルド統合はしない」

「そう」

「名古屋城を落としたら、トレードも解除。それでいいか」

「ええ」

「じゃあ、さっさと名古屋城を落とす。皆、行くぞー!」

「おおーー!」


バイオレットはある意味、人質だ。しかし、何とか役に立とうと、迫り来るモンスターに電撃魔法を喰らわす。だが、サトルと副リーダーの〝ミセル〟がレイピアで瞬時にモンスターを撃破していく。溢したモンスターをチームで攻撃して、負ったダメージを回復しながら進む。スライムの体当たりをマトモに喰らうとダメージ100ポイントも削られる。


バイオレットは場違いな力の差を痛感していた。すると、〝ゲームガール〟という女性プレーヤーが見かねて、バイオレットに声をかける。


「バイオレットさんは本隊の中央に居て。無理しなくて大丈夫よ」

「うん。ありがと」

「金持ちのサトルとミセルが倒してくれるわ」


ゲームガールの真意はバイオレットを人質として預かる事。何せ、1000万円課金して手に入れたレイピアを持つプレーヤーとトレードしたからだ。


ーーモンキータイガーにトレードで加わった〝ロゼ〟は隊列の先頭を飛び、レイピアでモンスターを片っ端から蒸発させていく。裏から攻めてくるモンスターはキノコを中心に倒す。しかし、ダメージが蓄積してキノコの回復魔法が間に合わない。死人を出してしまう。


名古屋城の本丸まで300メートル。モンキータイガーと火の鳥は遠距離魔法で激しい十字砲火をする。堪らず、ボスの〝魔神ドラゴン〟が全方向魔法で半径1キロメートル全体を真空にした。ダメージ300ポイント。モンキータイガーと火の鳥の1割がダイになった。


サトルは火の鳥を鼓舞する。


「弘前城は楽勝だったが、名古屋城は一味違うようだ! 俺とミセルが突撃してボスを倒す! 全員、回復して待機しろ! いざとなれば、サーバーに負荷をかけてダウンさせるんだ!」

「おおーーー!」


サトルとミセルは北から。ロゼは東から名古屋城本丸に攻めいる。3人ともレイピアを装備してる。そして、天守閣でボスの魔神ドラゴンと対峙した。デビルの体にドラゴンの頭。禍々しいボスだ。


3人が先制攻撃。ズギャギャギャギャ! 魔神ドラゴンにレイピアの無数のレーザー光線をめり込ませる。魔神ドラゴンは崩れ落ちた。


「楽勝だったな」


サトルが勝ちを確信した瞬間。ザン! ザン! ザン! 魔神ドラゴンはランスを的確に振り回し、サトル、ミセル、ロゼの首を跳ねる。一撃死だ。


状況を察知したスマートタイガーは、カーマインに撤退を進言する。だが、カーマインは諦めない。


「天守閣まで行けば、レイピアが3つも転がってるんだろ? 俺が突撃する」

「死ぬぞ、カーマイン…………待て。ボスの魔神ドラゴンは倒され、愛知県は解放された」

「誰にだ?」

「…………プレーヤー名、〝アール〟」

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