第18話(ファンタジーゲーム・2)
バイオレット達は愛知県春日井市からスタートだ。名古屋城までの距離は11キロメートル程。ギルドは守りを固めながら進む。
次々とモンスターが襲いかかってくる。バイオレットは電磁バリアを張り、プテラノドンみたいな空中モンスターにぶつける。ズギャン! 一撃で落とせた。カーマインは大剣を振り回し、ザン! ザン! ザン! スライムを真っ二つにしていく。
「楽勝だな」
旧キノズから居るギルドメンバーの武者願仏はボソッと言う。
「まだ雑魚モンスターしかエンカウントしてない。気を引き締めて行こう」
スマートタイガーにダウンロードが来た。
「カーマイン、他のギルドも愛知県に攻めいってきた。青森県を落としたギルドだ」
「ありがたい。協力を呼び掛けてくれ」
「分かった。向こうの案内AIとコンタクトを取る」
スマートタイガーは弘前城を落としたギルド、〝火の鳥〟の案内AI、スマートフェニックスに協力を打診する。返ってきた内容を戦闘中のカーマインに伝える。
「相手サイドは協力の条件として、〝記憶が定かなら〟とのことだ」
「記憶? 俺とバイオレットは宇宙船の中からログインしている。記憶は定かだ」
「どこ行きの宇宙船だ?」
「どこ…………? 火星だったと思うけど」
「本当か?」
「状況が錯綜してる。絶対とは言えない」
カーマインは襲いかかってくるゾンビ犬を真っ二つにする。
「死んだアールは記憶喪失だったと聞いている」
「バグか? 向こうのギルドは何故、記憶に拘る?」
「おそらく、プレーヤーキルやフレンドリーファイアを警戒してるのだろう。記憶喪失は鉄砲玉に変わりやすい。どのプレーヤーも命が懸かってる。ギルド火の鳥はレイピアを3つ持ってる重課金チームだ。簡単に死にたくないだろう。レイピア1つで1000万円だからな」
「なるほど。使者をトレードしよう。それで向こうの警戒心を解く。伝えてくれ」
「分かった」
スマートタイガーはまたスマートフェニックスと協議をする。
モンキータイガーの前にベヒモスが現れた。ヤバい奴だ。全高10メートルはある。これでも、成獣じゃない。カーマインとバイオレットは合体技で、剣に電撃属性の魔法を纏わして、ベヒモスに対し先手を打つ。
「ガーーー!」
ベヒモスが炎を吹きながら、モンキータイガーに突進してくる。カーマインはジャンプして、ザキン! バチバチ! カーマインは魔法剣でベヒモスの首を跳ねる。
「スマートタイガー。火の鳥は何だって」
「使者にバイオレットを寄越せとのことだ。火の鳥からは中心メンバーだそうだ」
「痛い所を突くな。仕方ない。バイオレット、行ってくれるか?」
「兄ちゃん、任せて」
「危険を感じたら、すぐに逃げろよ」
「分かってるよ~」
スマートタイガーは周りのモンスターが居ないことを確認して、バイオレットの元へゆっくり歩く。
「バイオレット。火の鳥は今、北名古屋市に居る。魔法で空を飛んで行くといい」
「うん。じゃあね」
バイオレットは魔法で空を飛び、北名古屋市へ行く。
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