第12話(ウォーゲーム・4)

アールはレールガンを持ち、母船に銃口を向ける。レールガンの口径は50ミリメートル。全長が2000ミリメートル。バレルは1200ミリメートル、15キログラムのゴツいライフルだ。


「何発で落とせる?」

「判らねえでさあ。母船を落としたプレーヤーはまだいねえでさあ」

「1000万円は大金だもんな。アサルトライフルで落とせる代物とも思えない」

「ゲームに1000万円も課金するバカはいねえでさあ。ガシャで出る確率は1000万分の1でさあからね」

「スマートモンキーは仮にも、ルクソール・オンラインの差し金だろ。商売っ気がねえな」

「そろそろ始めましょうや」

「ああ。…………行くぞ!」


アールはレールガンのトリガーを引く。カチッ。ズキューン! ドカーン! 母船のど真ん中にヒットしたが、一発じゃ落とせなかった。代わりに小型UFOが母船下部のハッチから大量に飛散し、襲いかかってくる。


アールは左手にファマスを持ち、小型UFOを撃墜していく。リロードはスマートモンキーがやる。


ズキューン! ズキューン! 小型UFOがレーザー光線を放ってくる。


「アールの旦那、あの光線が体にヒットしたら一撃死でやすからね」

「やべーな。森に隠れるか。いや……」

「どうするおつもりで?」

「突撃あるのみ!」

「もうファマスの弾がありやせんぜ。……おや~? インフィニティになってやす」

「スマートモンキー、ファマスで小型UFOを頼む」

「合点!」


アールは驚異的なスピードで動き、UFOの猛攻に対しレールガンで更に上を行く猛攻を仕掛ける。レーザー光線の雨を掻い潜り、 レールガンを撃ちながら、母船の真下まで来た。小型化UFOをハッチから追加放出しようとした時、アールはレールガンの弾丸を母船内部にぶち込む。ズキューン! ズキューン! ズキューン! ドカーン! ゴゴゴゴーー! 母船は傾き、墜落コースに入る。アールはまた驚異的なスピードで動き、待避する。音速を超えるスピードだ。


ドッカーン! 母船は墜落して、小型UFOも全て行動不能となった。


ピコン。アールの視界にインフォメーションページが映る。


『アール様、レベル52となりました。長野県のエネミーを一掃し、長野県を解放しました。残り46都道府県です』


「アールの旦那。一旦、ゲームから出やしょう」

「ああ。近くのコンビニはどこだ?」

「国道19号沿いでさあ」

「…………」

「アールの旦那? どうしたんで?」

「俺、ここに来たことある。黒色の松本城…………デジャブ……既視感……記憶……」

「旅行でさあかね」

「取り敢えず、スマートモンキーのバージョンアップだ。フィールドへ戻ろう」

「合点!」


アールは無事にコンビニへ入り、スーパーガンユニコーンを一時離脱する。フィールドはプレーヤーでごった返していた。数万人はいる。


「何事だ?」

「アール様、僕達のギルドに編入しませんか?」

「えっ? 俺のギルドは決まってる」


「私ぃ~、キャバ嬢なのぉ~。だからぁ~、私達のギルド入らないぃ~?」

「入らない」


アールはコイツには、カチンときた。ウザい喋り方だ。


数万人のプレーヤーは、アール争奪戦を繰り広げる。アールが初の母船撃破者となったからだ。誰しもが、早くログアウトしたい。その他大勢は、アールを自分達のギルドに編入させ、事を有利に進めたい。


アールはソイツらを無視して、バイオレット達を探す。


「アールの旦那、アリガトポイントが入ってやすぜ」

「何アリガトだ?」

「5万5000アリガトでさあ」

「儲けたな」


すぐ近くに、見慣れたチャイナドレスが居た。


「アール君!」

「バイオレット。生きて戻ってきたよ。あっ! ライガーのことをすっかり忘れてた」

「ここじゃマトモに会話出来ないからワープするよ」

「わ、ワープ?」

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