第8話(怪しい男)
「8番フィールドだ!」
アールはピンと来て叫ぶ。アールのスタートフィールドにライガーは居た。
「アールの旦那、ライガーの居場所が判るんで?」
「スマートモンキーはプレーヤーの位置が判らないのか? ルクソール・オンラインの差し金だろ」
「あっしは、あくまで、アールの旦那の案内AIでさあ。他プレーヤー個人の居場所までは把握できねえでさあ」
「使えねえな。……皆、8番フィールドに急ごう。俺はライガーと8番フィールドで会ってる」
ギルドメンバーは案内AIのスマートモンキーを先頭にエリアを移動して、8番フィールドへワープした。すると、スマートモンキーが立ち止まる。
「ギルドの皆さん、アリガトポイントが入ってやすぜ」
「何だ、アリガトポイントって」
「ゲームを観戦したプレーヤーから攻略の手本になる戦いをすると貰えるポイントでさあ。メニューページを開けば、何アリガト貯まってるか判るでさあ。アールの旦那が250アリガト。キノコさんが100アリガト。バイオレットさんが80アリガトでさあ」
「そのポイントを貯めると何か良いことあるのか?」
「1アリガト、100コインでさあ」
アールは後悔した。初回11連ガシャをアリガトポイントでやればよかったと。しかし、アールは凹んでる場合じゃない。8番フィールドの模様が違うからだ。スタートした時は近未来の廃墟だったのに、森林公園のような所に変わっている。アールはスマートモンキーに聞く。
「ここは本当に8番フィールドか?」
「メニューページの頭に現在のフィールド、エリア、プレー中のゲームが表示されまっせ」
アールはメニューページを見る。確かに8番フィールド1エリアと表示されていた。
「バグか? ここは特に酷いな」
「まあ、手分けして、ライガーを探しやしょう」
「皆、二人一組になって、8番フィールドを隈無く探そう。私はワープエリアで待機している」
キノコの提案だ。皆は納得してペアを組む。アールは自然とバイオレットと組んだ。ギルドメンバーは散り散りにエリアの捜索に出発する。アールとバイオレットはエリアの北へ向かう。
「なあ、バイオレット」
「なぁに?」
「バイオレットはエリア全体の声が聞こえるんだよな。ライガーは何か発してないか?」
「そうか! それだよ、アール君。ちょっと待ってて、エリア全体のボイスチャットを聞いてみる」
「おう」
その頃、アールと同じギルドメンバーの〝エロビパトロール〟と〝武者願仏〟はエリアの西側の捜索に当たっていた。武者願仏はスーパーサッカーで活躍した屈強な男のアバターだ。
「何だよ、俺がたったの3アリガトかよ。ゴールに迫ったのに」
「僕なんてキーパーやってたのに7アリガトだよ」
「ゴリラのシュートはヤバかったな。ありゃチートだぜ」
「武者願仏、待った!」
「どした?」
足下に3体の死体が転がっていた。
「ライガーじゃなさそうだね」
「アールって奴、ゲームはデキるが、ガセネタで俺達を振り回してないだろうな」
「記憶喪失みたいだけど。ギルドを組んだんだし、信じようよ」
「ふん! あの案内AIも怪しいな」
エロビパトロールと武者願仏は更に奥へ進む。すると、一人の生きてるプレーヤーと出くわす。男で戦闘スーツのアバターだ。
「君達、こんな所に居ても過疎地帯だから、プレーヤーが集まらないよ」
「あんた、ハンネは? オープンスコアにしろ」
「嫌だね」
フワッと、男はゲーム内に消えた。すぐに、エロビパトロールと武者願仏はギルド専用ボイスチャットで皆に伝える。
「ライガーらしき、男と会った。何かのゲームに逃げ込みやがった」
「オープンスコアを求めたところ、拒否された。怪しいよ」
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