コメントとクラン

「……ふおお」


 目覚めて、いきなり目に飛び込んでくるメロン2つに軽くビビる。シオンのパジャマ、ネグリジェはちょっと思春期の男の子の目に毒だと思う。

 これは、すごいですね。

 これだけの物をお持ちで、しっかりと腰はくびれている。ううむ。


 もそもそと背中のウヅキが起きる気配がしたので、ボクも起きることにする。


「おはよ」

「ん」


 何故かボクの腕にグリグリと頭をこすりつけているウヅキに挨拶しつつ、伸びを一つ。

 パジャマからいつもの装備に戻し、これまたいつものようにローブに入り込んでしまったウィッグを出す。


「はいおはよう」

「ワフ」


 オオカミちゃんにも挨拶ついでにワシワシ。

 君はほんとうに良い子だね。

 

 ソファの方を見るも、モミジはいない。

 どこかに出かけているのか。

 こういう事もあるだろうと思い、ソファに座ってお茶を出しつつウィンドウを操作する。


 昨日はあのあと、結局ボクは惰眠を貪った。

 ひたすらベッドの上でだらけていた。

 ウヅキとかモミジは、じっとしていられない性分なので外に出ていき、シオンも生産組に挨拶にいくと言って出ていった。

 シオンについてはちょっと意外だったかが、皆、それぞれやることがあるのは素晴らしい。


 おかげでボクはなんとかリフレッシュする事ができた。

 なんだかずっと昔の出来事だったように感じるよ。


 ふと、ウィンドウに透けた向こうの景色に気づき、ウィンドウを一旦避ける。


 窓から差した光が、ベッドで寝るシオンを照らしている。

 今のセカンディアの気候はおだやかで、とても過ごしやすい。

 四季とかあるのだろうか? 少なくとも、まだ雨には出会ったことがない。今度誰かに聞いてみようと思う。


 乱れたネグリジェから伸びる、投げ出された手、柔らかく形の変えた胸。

 腰から下を隠しつつも、そのボディラインを濃く浮き上がらせる薄いふとん。

 そこから観察できる、スラリとした長い足は、つま先まで美しい。


 ボクは美術にそこまで詳しくはないけれど、今のシオンはいつまでも見ていられるね。

 はっはっは。


 なんて、お茶を飲みつつひとしきり鑑賞して、ウィンドウを戻す。

 昨日の動画の反応はどうかな――、なんて。


 おお。

 かなり好評みたいだね。

 モミジの筋肉耐久動画にしても、結構高評価が多い。まあ、知ってて見る人ばかりだろうから、当然といえば当然かな?

 色々な言語のコメントもある。


 ナイスアブ? アメイジングバルク? ……あんまり眺めてると気が狂いそうだ。


 有料会員動画も、まあまあ人が入ってくれたみたい。ありがたいことです。


 次いで、軽く届いていたメッセージチェック。


――イージー攻略部分だけを抜き取って単体動画にして欲しいです。これから始める人の参考になると思います。


 なるほど。結構需要あるみたいだね?

 要望に答えてさくっと該当部分を抜き出し、「攻略情報」というチャンネル内ジャンルをつけて投稿。

 なんか一部を切り取ってGIF動画にしてもいいですか? というかした!! とモミジの筋肉GIFが数個送られてきたりした。

 反応に困るが、まあ、許可。ご自由にどうぞ。


――次はシオン or ウヅキ or オオカミちゃんのシーンを最後に使って下さい。


 ボクが投げキスしたりモミジの筋肉シーンを使った部分だね。

 それぞれ同数ずつ程度ある。次もボク、またはモミジなんてのも結構あった。

 それぞれ需要があるってことなんだろう。なにより。


 次もボクっていうのは、そんなに皆ボクを笑いたいのか、それとも本当にボクの女装姿がみたいのか……いまいち判断できないね。

 流石に単純にボクを見たいってのは無いと思う。そこまで特別な容姿をしている自覚はない。

 深く考えすぎだろうか。これが自意識過剰やナルシストというやつか。

 ……この思考は、ドツボに嵌りそうだ。

 とりあえずボクがボク自身に下す評価は「ギャグ要員」ということにしておこう。

 皆、盛り上がってくれるし。



――オオカミちゃん単体の動画をお願いします。


 これは結構多かった。やはり動物は強し。

 今度、オオカミちゃんとセカンディアを散歩する動画でも作ることにしよう。



――ハード最後にそれぞれが使った大技について教えてください。


 ヒ・ミ・ツ☆

 教えたところで出来るとは思えないし、出来る人は教えなくてもやってると思うので、答える必要はないだろう。

 やっぱりこういうのは、秘密にしてこそ楽しいものだと思うのだ。

 うんうん。



――有料で情報を隠すのではなく、無料で公開するべき。


 これ、結構多い。「べき」ってなんだろう。割と本気で理解に苦しむ。

 誰基準での「べき」なのか。

 そもそも許可は運営さんから得ているし。

 運営さんのさらに上がいるのかと思い、軽くメッセージ相手のプロフィールを確認したが、皆、動画サイトに登録したばかりらしくて何も設定されていない。

 ラチがあかないので、得られる少ない情報から各種情報を手繰ると、何人かの個人情報にヒット。結果、特になにも無いことがわかる。

 大学生が多いかな?

 政治的に重要な立ち位置に居る人物はなし。

 家族関係や友好関係も軽く洗うが、これも特に問題なし。

 スカイリア内での名前もわかったので、見つけたら直接聞くことにしよう。

 

 ひどいのは、有料の動画データを別に無料公開しているのがあった。簡単にではあるが、プロテクトがかかっているんだけれどね?

 というか、今の御時世、有料動画でお金を稼ぐ人は沢山いる。有料動画のコピーだけならまだしも、それを無料で公開するのは普通に犯罪だ。さくっと個人情報をまとめて、いつもの所に通報。多額の寄付・・ありがとうございます。


 警告文をチャンネルトップに出そうかとも思ったけれど、楽しみにしてくれている人の気分を害すかもしれない。

 それは本位ではないし、常識的な考えでいれば、そもそも動画をコピーしようなんて思わない。

 多額の寄付はとてもありがたいので、都度通報していくことにしよう。

 はっはっは。


 ……処理終わりっと。現状はこのままで問題ないと思う。

 うん。

 無駄に40個くらいに膨れ上がったウィンドウを一旦整理。

 手伝ってくれた外部AIさんありがとう。あとでをあげよう。

 次のコメントに行こう。


 

――よくも僕をォ! だましたなァ!


 筋肉耐久動画より。

 一体何を騙したというのか。タイトル通り、モミジが筋肉をみせつけて、肉や土を食うだけのエッチな動画なのだが。

 あ、もしかして。


 ……うん。

 モミジ以外の映像も、特には映ってない。

 確実に筋肉オンリーだ。たまに画面端で、オオカミちゃんの尻尾が映ったりする程度な事が、シークで確認できた。

 これまた首を傾げつつも、特に問題は見当たらないので良しとする。


 こんなものかな?


「ん……」


 丁度シオンも起きたようなので、壊れたままの武器を修理しにいくとしよう。

 モミジにメッセージを送ると、「食堂にいる」と即返事が。

 ずっと飯食ってたのか?


 続いてドッさん他、何人か居る生産職に修理依頼を送信。

 広場に面した共同生産施設に全員いるらしい。仲良しさんめ。



 周りを観察しつつ、セカンディアを歩く。

 町並みはファスティアとそこまで変わらない。

 ただ、規模はさらに大きい。人口も多いようだね。


 セカンディアの入り口は3つ。北、西、南だ。それ以外はこれまた街壁に囲まれている。

 南がファスティアへ。

 北が商業都市ミルドナー、西が城塞都市ガルヘキナだ。

 てっきり、次の街の名前はサーディアとかフォースティアとかって名前だと思っていたけれど、きちんと名前がある。何か意味があるのだろうか。暇ができたら調べようと思う。


 プレイヤーの数は、第一陣がそのまま移ったイメージ。

 露店も見知った顔をよく見る。

 ボクたちは街を出歩くことが多いので、一方的に知っているプレイヤーさんが多いのだ。

 まあ、ボクたちは目立つので、逆もまた然りだろう。

 今も結構注目されている。

 特にオオカミちゃんへの視線が熱い。

 人気者だね?


 あとワンピースを着て、髪を一房編んだシオンにも中々注目が。

 戦闘服とは別に、きちんと洋服は作っていたらしい。


 歩いていて間もなく、広場へと到着する。

 広場は円形状で、中央の床が黒い石になっていて、魔法陣のようなものが彫り込まれている。これの上に乗ると、今まで行った街や、フィールド内にあるセーフエリアにひとっ飛びとのこと。

 距離が遠くなるほど、お金がかかるらしい。


 セーフエリアは、これより先のフィールドに見られるみたい。大体、徒歩4時間程度の距離間隔で存在する。

 ここから次の街まで、ゲーム内で数日は歩いた先にあったりする。自分の足で歩くのだから、当然だ。

 ボクたちプレイヤーは休息やログアウトをしなくてはならないから、その対策に、途中で中断できるポイントが儲けられているというわけだ。

 つまり、スカイリアの本格的なゲームは、ここ、セカンディアから始まる。

 結構ワクワクするね?

 

 とはいえ、今のところは共同生産所だろう。

 ハンマーやら針やら弓やら色々な絵が踊った看板を掲げているので、すごくわかりやすい。

 シオンに先導してもらい、中へと入る。

 受付へ軽く挨拶して、そのまま二階へ。


「よーう」

「おはようございます」


 ホールにはドッさん他、トップ生産組の皆さん。

 挨拶ついでに、武器を渡す。


「見事にぶっ壊しやがったな。ま、しゃーねーわな」

「はっはっは」


 軽く口笛を吹いてみせるドッさん。さくっと修理して戻してくれる。

 工具とか要らないんだね。


「この前の戦い、見せてもらったぜ。良い戦いだったな。俺たちも勝手に盛り上がっていたぜ」

「それはよかった」

「やっぱり自分たちの装備が映ると嬉しいよネ」

「そうそうー!」


 それぞれの武器や装備の製作者がうんうんと頷く。


「そんでだ。坊主たちは今後も色々配信とかしていくわけだろ?」

「ええ、まあ」

「お前らは注目されている。動画も見たぜ。あの編集、見事だった。そんな奴らが俺らの装備を使ってくれる!! こんな嬉しいことはねえ」

「はあ、まあ、えっと、どうも?」

「やっぱ装備は使われてこそだろ!! しかもそれが誰も倒したことない敵を倒したとなりゃあ、なあ?」


 うんうん、と生産者たちがうなずく。

 ようは、ボクたちに今後も装備を作って提供したい、という話をドッさんたちがしてくれる。


「そこで、俺らトップ生産組、もとい偏屈生産組はクランを作ることにした!」


 偏屈な自覚があるだけ、この人達はやっかいなんだよな。


「クランマスターはジャンケンで負けた俺だ!! 糞が!」


 ジャンケンで、しかも負けて決まるクランマスター……。

「やーい」と囃し立てる周りの職人さんたち。

 やめたげてよお!!


「……ごほん。クランは、ゲームシステムとして生産・戦闘・総合と3つある」


 まず、生産クラン。

 メインは生産職になる。戦闘職の人も入れるが、あくまでメインは生産。

 お店を構えたり、他クランの生産を請け負ったりといった事ができる、商業向けのクラン。

 生産系に様々なボーナスがあり、ギルドからも依頼があったりする。


 次に、戦闘クラン。

 メインはもちろん戦闘職。生産職も入れるが、恩恵は少ない。

 戦闘をしてモンスターを討伐していくと、ギルドからクエストとは別にお金を貰える。

 また、賞金首などについての情報がいち早く届いたり、優先してもらえる。

 傭兵業務などといった、面白いゲームシステムが開放されるのがこれ。


 最後に、総合クラン。

 上2つのハイブリッド。他ゲームでいう所の通常クラン。

 ボーナスなどは特に無いが、上2つの要素を一通りまんべんなく楽しめる。


「へー。なんだか面白そうですね」

「だろ? 作るってなると結構ワクワクしてよ。で、俺らがやるのは勿論生産クランだ。これには1つ、おもしれえ機能がある」

「ほうほう」

「それが【クラン専属】っつー、クランが持つアーツみたいなものだ。ようは、そいつらの装備は俺らが専属で作るっていう契約みたいなものだ」


 詳しく聞けば、【専属】アーツ自体は生産職二次スキルのアーツで存在していて、個人相手と契約するものらしい。それをパーティーやクラン単位でやるのが【クラン専属】アーツ。

 生産クランのみの特別なアーツだ。

 生産クランは、この【クラン専属】を組んだ相手の為に装備を作れる。そうすると特別な効果が付与されたりするらしい。

 【クラン専属】を組まれた方は、収入の一部、お金やアイテムが自動で生産クランへと送られる。

 生産クランは装備を提供する代わりに、パーティーや相手クランから、定期的に収入を得られる契約を結ぶというわけだ。


「軽く説明するとこんなもんだ。互いに頑張るほど、いい思いができるっておもしれーシステムだ」

「ふむふむ、たしかに面白いですね。で、これをボクたちに使いたいと」

「その通りよ」

「はい」

「お、なんだいシオン嬢ちゃん」


 シオンが手を上げる。

 彼女が喋るとは思わなかっただろう、ドッさんが軽く驚いてそちらに視線を向ける。


「私、その【専属】をルイに使いたいんですが」

「ああ、問題ねえ。クランアーツの【クラン専属】と、個人の【専属】は別枠だ。嬢ちゃんのルーン付与は魔法使いが有利な特殊な生産と言えるしな、要求生産スキルの幅も広い。特化型の俺らが苦手とする部分だし、そのほうがいいだろう。モミジやウヅキの分はどうするんだ? それも嬢ちゃんが【専属】になるのか?」

「各々で決めると良いのでは」

「そ、そうか」


 シオンは質問を終える。

 ごめんねドッさん、こういう奴なんです。

 見た目、朗らかなお姉さんなんだけれどね。


「まぁ、モミジもウヅキもルーン使わないしね。【専属】ってのは一人だけがなれるんですか?」

「クランアーツとして1枠、個人アーツとしては武器枠と装備枠の2枠がある。ルイの場合の個人枠は両方シオン嬢ちゃんになるだろう。ウヅキ嬢ちゃんとモミジの兄ちゃんにはそれぞれ、相性いい生産職が担当する形になると思う」

「ふむ、ふむ」


 特に悩む必要もないと思う。

 受けて良いのでは?

 彼らの装備はピーキーで極端だけれど、ボクたちパーティーと相性が良い。

 なにより、今後装備の心配をしなくても済むというのも良い。


 お金の管理なども、勝手に収入から引かれるというので考えなくても良い。ある程度たまったら、ドッさんたちがこれまた勝手に提供してくれるだろう。


「ボクは受けていいと思うけれど、皆は?」


 皆も特に不満がないように頷くので、この話を受けることになった。


「じゃ、【クラン専属】アーツを使うぜ」

「はい」


 ウィンドウが出る、「偏屈倶楽部」、収入の2割を収める……承認。

 まあ、他のクランの名前に、口出しはすまい。5秒位で考えてそうだ、なんて思ったとしてもだ。

 クラン員の誰もが、自分たちのクラン自体に愛着もっていなさそうなのが、名前からにじみ出ている気がする。


 収入2割は、多分通常レートを考えると高め。

 けれども、装備全てを賄ってくれるならむしろ安いとボクは判断する。


「おしっと。このアーツは契約時間が長いほど効果が増す。早いうちにやっとくのに、越したこたあねえぜ」

「へぇ。色々考えられてるんですね」

「そうな。面白いシステムだと思うぜ。これがクラン同士だったらもっと効果が上がるんだがな。どうせだったらお前ら、クランも作ったらどうだ? どうせ固定パーティーなんだろ? クラン作っても問題ないはずだ」

「そうですねえ」


 今までクランの事を特に考えなかったのは、クランにメリットを感じなかったからだ。

 しかし、話を聞くと、中々面白そうだと感じる。


「やるなら戦闘クランかな?」

「ほう。意外だな」

「まあ、ボクはそこまで戦闘を自分からしませんしね。けど賞金首とか、ウヅキとモミジがそういうの好きそうですし」

「あー」

 

 ドッさんは納得、といった顔をする。

 ボクとシオンは、どちらかといえば生産向けな性格をしている自分たちでは思う。だからといって、生産クランを立ち上げるほど、生産に入れ込んでもいない。

 自分たちの分を作れれば満足だ。

 それなら戦闘クランにして、モミジとウヅキが好きなように動ける環境を整える方が良いと思ったわけだ。


「けれど、クランを作ったら、入れてって人が来ませんかね」

「まあ来るだろうがなー。制限なし、本気状態のモミジの兄ちゃんと戦って、満足させれば面接してやる、で良いんじゃないか?」

「うわあ」

「それに、クランにはブラックリスト機能があるし、しつこいのはハラスメント報告すれば収まんだろ」


 ガハハ、と笑ってくれちゃう。

 まず制限なしのモミジと戦って満足させるというのは、ウヅキにも難しいだろう。まあ、彼女の場合相性が悪い。1ヶ月かけて森の中で戦う、とかって条件ならウヅキの方に分があったりするかな?

 それでモミジを満足させたとしても、貰える権利は面接の席につけるだけ。

 

 ここで、皆の、特にシオンの許可が出るのか?


 ……出ないとボクは思うね。


 えげつない条件だと言えるだろう。入れる気、サラサラなしだ。


「まあ。それでいいか。どうやってクラン作るんです?」

「メニューからクランって項目で作れる。簡単だろ? クランを抜けたり解散すると、ちょっとしたペナルティがあるが、まあ、坊主たちにゃ関係ないわな」

「ですね。名前なんにしようか?」


 皆を見ると、少し考えてから、口を開く。


「ルイとシオンと下僕たち」

「ルイのクラン」

「ステーキ」


 知ってた。

「じゃあ『ハンバーグ』」じゃない。

 黙れ。ステイ。


「シンプルに『コフィン』にしようかな」

「ああー」

「ん」

「良いのでは?」


 さくっと名前が決まったので、それで申請。問題なく承認されて、ボクたちの名前の後ろに(Coffin)とタグがついた。


「棺桶、か。ちと皮肉がすぎる気がするが」

「まあ、でしょうね」


 はっはっは。


 ドッさんが少し顔をしかめるが、まあ、ボクたちはこういう性分ですので。


「ま、戦闘ギルドとしてはこれ以上ない名前だろうよ。【クラン専属】は再発動しなくても、対象が切り替わったようだぜ。次の装備から、いい感じに付与がつくだろう」

「ありがとうございます」

「とりあえず、クランとして上納金を収入の何割にするかを設定しておいて、それをクラン用の金にするといいぜ。ギルドではクラン倉庫が使えるようになる」

「わかりました」


 さくっと設定。とりあえず、よくわからないから5割くらいを上納金に設定しておく。

 これでボクたちの収入の、なんと7割が差っ引かれる形になった。

 まあ、問題があれば割合を下げると良いだろう。


 装備は「偏屈倶楽部」が作ってくれるっていうし、消耗アイテムにしても、ボクたちで作れる。

 実際、ボクはお金をあまり使っていなくて結構持ってる。

 とはいえ、割のいいクエストをやっているわけでもないので、まぁまぁ多いって感じ? よくわからないや。


「戦闘クランに関しては、冒険者ギルドで詳しく聞けるだろうぜ」

「ありがとうございます」


 その後は、それぞれで軽く雑談。

 ハード素材については代表としてドッさんに渡しておく。

 興奮した様子で、もっと用意できるか? と聞かれた。

 新しいスキルも貰ったし、スキル訓練ついでに日課にするのも良いかもしれない、とちょっと考えたりする。


 とりあえずこの事は保留にして、街についての情報を教えてもらう。

 この街には、それぞれギルドがある。なんと料理ギルドも。

 シオンは変わらずここの人たちと生産するらしい。

 ボク、ウヅキ、モミジはそれぞれ目当てのギルドに顔を出すことになるだろう。


 訓練場はなし。ただ、傭兵さんが訓練する広場はあるので、そこの場所をある程度、借りられるだろう。

 ここでも変わらず、日課ができそうだと確認できたのはとても良い。


 後は大量の洋服を押し付けられたり、ほどほどにおしゃべりを楽しんだ。

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