自殺少女

@hikari-book

第1話

「はぁ…死にたい…」

 それが私の口癖です。別にいじめられているとか、DVがあるとかそうゆう訳ではありません。学校では普通に授業を受けて、普通に友達と喋る、普通の女子高校生です。まあ、成績が良いとはいえませんが…それに彼氏もいませんし… でも、そんなことは口癖とは関係ないのです。

 厨二臭いですが…自分に絶望しているのです。やらなければいけないことも欲望に負けてしまう、そのうえ三大欲求だけはきちんと備えている、それが私です。こうしてみると欲望の塊ですね。それにこんな悩み誰でも抱えていそうですが、当時の私にとってはとても、それはとても重要な悩みだったのです。


 高3の夏、惰性で続けていた部活動のテニスも県大会2回戦負けと微妙な結果に終わりました。元々進学する気はなかったので、いよいよ自分は何がしたいのかわかりません。いっその事、学校を辞めて旅でもしようかとしょうもないことを考えては、自分の妄想のあまりに現実性の無さに悲しくなる日々です。そこで私は私の口癖を思い出したんです。死んでみたら面白いんじゃないかって。どうせ私一人が死んでも世界は変わりません。最初はこんな私のために悲しんでくださる人がいるかもしれませんが、75日経てば私のことなんてみんな忘れるのです。所詮そんな人間です、私は。

 そう思うと死ぬことへの抵抗はどんどんとなくなって行きました。季節は夏、みんな大好き夏休みが待っています。このタイミングしかない!と、当時の馬鹿な私は思ってしまったのです。今更後悔しようもないんですけどね。夏休みは色々はっちゃけたくなる季節なのです。


 やりたかったことは沢山やりました。トイレ以外ではベッドから出ない日もあれば、1日中遊んで持っていったお金を全部使い果たして朝帰りする日もありました。欲しかった服も買いました。ずっとやりたかったゲームもしました。でもどうしても出来ないことがひとつだけありました。いっぱいパパを作って、お小遣いを貰いたかったのです。でも姿見で自分の身体を見て諦めました。なんですかあの貧相な身体は。ちょっとだけ悲しくなりました。


 夏休みも終盤に入った8月の中旬、私は自殺をしようと、投身自殺で有名な自殺スポットへ来ました。ちょっと高くて怖かったけど、飛んでしまったらもう怖くありません。投身自殺は地面に着く前に気を失うと聞いていましたが、そんなことは無く、自分が自殺するまでの経緯をスラスラと思い出します。やり残したことはないと思っていましたが、せめて彼氏ぐらいはつくりたか









 -終-


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