仮グラム ★
@yami_menntaru
第1話 見知らぬ世界
「…それじゃお母さん学校に行ってくるね!」
ショートカットの女性が制服を着て、靴を履き玄関を出ていく。青空に天高くある太陽の光が町並みを照りつける中、青々生い茂る緑豊かな木々達が風に揺られ、葉のさざめきが聞こえてくる。
──────
…私、
「薫~部屋に入るわね、ちょっとお願いがあるんだけど」
薫が飴を舐めながら寝そべった状態で、スマートフォンをいじっていた時、ドアをノックをして母親が部屋に入ってきた。
「な~に~お母さん」
母親は薫の部屋に入って来た瞬間、部屋を見て呆れ始めた。
「あんたまた部屋ちらかして、休みの日くらい部屋の片づけちゃんとやりなさい! 高校生にもなって片づけも出来ないなんて、まったく!」
「なに? そんな事をわざわざ言いにきたのお母さん」
「あっ、そうそうお母さんこれからちょっと出かけてくるから蔵の整理を頼みたいんだけどいいかい?」
薫はその言葉を聞いてムスッとした表情をした。
「それおね~ちゃんに頼めないの?」
「今おね~ちゃんは仕事で忙しいから、薫に頼んでって言われてねぇ、だからあんたに頼みに来たのよ、今あんたどうせ暇でしょ?」
その言葉を聞いた薫はよりムスッとした表情をした後、ため息をつきながらも承諾した。
「はぁ~、暇ではないけど分かった、それで? 蔵ではどこを整理すればいいの?」
「蔵の中にある空の木箱とかを外に運んどいて欲しいのよ、今度まとめて投げようと思っていてね」
「それ整理って言うの? まっ…木箱を外に運んどけばいいのね、分かった」
「うん、それじゃあ頼んだわよ」
薫の母親は部屋から出て行った、そして薫も部屋を出て蔵に向かい蔵の中に入ったが、あまりのほこり臭さで咳こみ、手を
「ケホッ、ケホッ…ケホッ、ケホッ、うっわ~蔵の中結構汚いし…これは流石にちょっとな~……どうしよ…まあ空の木箱を外に出すだけだしいいか…」
そうして薫は蔵の中に置かれている空の木箱を外に出し始めた。そうしてしばらく片づけていると蔵の奥まで行けるようになり、薫がその奥の方に行くと鏡の様な物を見つけた。変わった装飾がしてあるのもあってか、手に取って薫は見始めた。
「う~んなんだろこれ? ちょっと
薫がその鏡らしき物に付いているほこりを布で
「う、うわぁ~~~~!? な、なにこれ~! 」
鏡に吸い込まれた薫の目に飛び込んできた光景は特殊な異次元だった、そのまま流されるかの様に薫の体は奥へと進んでいく。そして出口の様な光が見えたと思ったら、また光に吸い込まれるかの様に薫の全身が光に包まれた、その先に薫が見たものは今まで見た事も無い様な景色だった。神秘的な竹林が沢山見え、その景色に目を奪われていると、空間から出てしまったのか、着地に失敗し、お尻から落ちて着地した。
「う、うわぁ~~~~~! いっ! たたたた……いったいなにがあったの…と、とゆうかここはどこ…? 確か変な鏡を見つけた後急に鏡が光って…えっ!? ……ま、待って! …これどうゆう状況なの…、それよりなにここ……なんか神秘的な感じがすごくする…、あんまりいたらダメな所だよねきっと……鳥居みたいなのも複数あるし…、なんなんだろここって…」
しばらく薫は竹林の中を歩き回った、そうすると怒号な様な叫び声と地響きが聞こえてきた、気になった薫がその方へ歩いて行き竹林を抜け、下を覗いて見てみると異様な光景が目に飛び込んできた。
「な、なにこれ……人と化け物が戦っている……うっ! うぇ!」
その光景を目にした薫は血なまぐさい臭いあてられ、吐いてしまったが、落ち着きを取り戻し、徐々にその光景と臭いに慣れてきた。
「こ、これっていったい……戦争? で、でも戦っている人の相手は黒い変な化け物…これは戦争って言っていいのだろうか……」
しばらく薫は歩き抜けた竹林の崖の上からその光景を眺めていた。
「伝令!! 第一陣の神兵がクドゥグアの強化兵と思われるフサッグァにより壊滅との事」
「くっ! クドゥグアめ! なぜこの高天原の世界に攻め入ってきた! 多世界への干渉は古き掟で守られていたはず! なのになぜ戦争などけしかけてきた、アザトースは何をしているのだ!」
長い髪を束ねたポニーテイルの女性が怖い表情をして怒っている。すると、そこに小さな子供の様な女の子の
「やあ~ヨシノちゃん、きっと苦戦していると思って遊びにやって来たよ~」
「苦戦しているようだな、ヨシノ……」
「桜花様に十六夜様……ここへ何をしに来たのですか? 特に桜花様は」
ヨシノは、桜花の姿を見ると同時に毛嫌いするかの様な言葉使いで言った。
「そんなつれない事言わないでよヨシノちゃんってば」
その言葉にヨシノは呆れ、ため息をつき困り始めた。
「はぁ~、十六夜様はともかく、貴女が来ると私の邪魔をしに来たとしか思えませんからね。それで何をしに来たのですか? 見て分かるとお思いですが、私は今戦で忙しい状態です、用があるなら手短にお願いします」
「随分嫌がられているな桜花、ヨシノに何かしたのか?」
「いや~私は特に何もしてないんだけどね~、まあ~あえて言うなら度々修行の邪魔をしたぐらいかな……えへへへ」
それを聞いた十六夜は、腰に差している刀を鞘ごと取り出し桜花の頭を叩いた。
「いた!」
「充分嫌われる事をやっている、嫌がられて当然だな……うん」
「だってヨシノちゃんは性格が固すぎるんだよ!」
「逆に桜花は楽観過ぎなんだ、少しヨシノを見習え!」
「え~~」
それのやり取りを見ていたヨシノは呆れていたが、
「う、うぅん! もう一度伺いますが、ここへ何をしにきたのですか? お二人は?」
「あっそうそう、それはね! ちょっ、ちょっと十六夜ちゃん何するのさ」
桜花が話そうとしたが、十六夜に止められ、代わりに十六夜が話し始めた。
「今のお前が話すと話がややこしくなるから私が話すんだ、さっそくだが、お前の姉、染井サクラの居場所が分かった。これによりお前もサクラの討伐の任に当たれ、お前の力なら長達が認めている。お前も我々と同様今は
その話を聞いたヨシノは顔をうつむき悲しげな表情を浮かべていたが、少しした後決意のある凛とした表情に変わり、十六夜と桜花の前で左膝を地に付け手を胸に当てその話に答えた。
「……分かりました、その任、承らせていただきます。ですが一つお聞きしますが、その任務を任された方は私の他にどなたがいるのですか? それと今は戦をしています、この戦が終わりしだい、任に付かせていただきます」
その姿を見た十六夜と桜花はお互いの目を見つめ合い安堵していた、そして十六夜はヨシノの問いに答えた。
「分かった、他の任務の者だが、今決まっているのは私と私の式神二人、桜花とその式神二人、そしてヨシノ、お前を入れた七人だ。しかしこれから私達は
「あぁ、あのヴァルキリーですか、確かに…あの者は姉様と戦うなら必要な存在ですね、忘却……、人の身であった全ての時を忘れた哀れな女でしたね」
「そうだ、人であった記憶全てを捨てた女…
「そうですか……分かりました」
そこへヨシノの神兵が走り込んできた来た。
「伝令! 第二陣もう間もなく壊滅との事! ここへ来るのも時間の問題かと!」
「…分かった」
ヨシノの表情が次第に怒りに満ちていく。
「では桜花様、十六夜様、私はまずここの戦を終わらせなくてはいけませんので、失礼します…」
「あっヨシノちゃん、ついでに私達もこの戦に参加するからねぇ~」
その言葉にヨシノは驚きを隠せなかった。
「なっ!?お二人がですか……」
「うんそうだよ! ヨシノちゃんもこの戦争早く終わらせたいでしょう?」
「それは…そうですが……しかしあなた方がいては、私の神兵達の身が危険に晒されてしまいます、私の神兵達は今も戦っておりますゆえ」
「それはヨシノ、お前も直接戦に交われば、我々と同じはずだが?」
その言葉にヨシノは
「私はまだあなた方程の域に達していませんので、それは大丈夫かと思いますが…」
「いーや、それは違うかな、ヨシノちゃんは充分私達に近い存在だよ」
「それは少し買いかぶり過ぎですよ桜花様、私は……まだ貴女方と肩を並べるほど強くはありませんので…強ければ姉様を止めれていたはずですので……」
ヨシノは悲しみに満ちた表情をしながら言った。その表情を見た桜花と十六夜はお互いの目を見つめ、困惑した表情を浮かべた。やがて桜花が言葉を返した。
「あれは…仕方のない事だよ、500年前の多世界との大戦争、五つの世界がぶつかりあった
桜花が話していると、十六夜もその事について話に入ってきた。
「あの後のサクラは自身の制御が出来ないくらい爆発的な力を使っていた…。正直あの時のサクラを止める事はハッキリ言って誰も出来なかった…|長達でさえ手が付けられない状態だった……、当然近くにいた私達も手は出せなかった……、神格化でありながら異質な神格化、それも長達の持つ最高位の神格化、至上神格さえ凌ぐ突然変異の神格化……その神格になった者を私は今まで見た事がない。まさに神の中でも伝説として歴史に書き示されている神格、
しばらくヨシノは桜花達の話を聞いていたが、
「しかしそれでも!……それでもあの時私もいればもしかしたら姉様をどうにかできたかもしれません、父も母も私がいたら違っていたかもしれません!」
ヨシノと桜花が話している間にヨシノの率いる神兵達が守る最終防衛ライン
「すいませんが、もう話している余裕はなさそうです。お二人が戦うと言うのであれば、なるべく私の神兵達に被害がでない様にして下さい、お願いします」
ヨシノは桜花と十六夜に頭を下げ、そう言うと自ら総大将として戦地へ
「しかしなんかおかしいね、十六夜ちゃん」
ふいに桜花が言い始めた。
「なにがだ? 戦と言うのどれもおかしいものだ、争う必要も本来無いはずなのにそれでも戦をしたがるバカはごまんといる」
「違うよ、私が言っているのはそうではなくて、フサッグァ程度の魔物に
十六夜はその言葉にまだ納得がいかない状態だった。
「桜花が言いたい事が私にはよく分からないな、今の
「う~んそうかな~なんか私は納得いかないかな~」
(なにかが納得いかない、フサッグァがいくら強化されているとはいえ普通ならこんなに苦戦しないんだけどな~、フサッグァはただ獣の様に突っ込んでくるおバカな存在なんだけど、誰か裏で操っている者がいる様な気がする)
「まあ、戦うのであればそろそろ私達も参入しないと、ヨシノの神兵達がどんどん死んでいくぞ、悪いが私は先に行くからな」
「あ~私も行くし!」
その頃最終防衛ラインは激戦の
「はぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ギシャァァァァァ」
ヨシノは次々来るフサッグァ達に苦戦を強いられていた。
「 ハァ、ハァ、ハァ……くっ! 次から次へと! 切りが無い!」
(…それにしてもいつものフサッグァと動きが違う、強化されているのは分かるが、戦い方がまるで違う、誰かの指示で動いているかの様な感じだ……、やはり神格化し、私の持つ型の技を使って一気に倒した方がいいか……、しかしそれでは私の神兵達に被害がでる恐れが……どうするべきか…)
そこに遅れて桜花が来た。
「ヨシノちゃん! 無事かい?ここへ来るまでの間にフサッグァ達と戦っていたけど、やっぱりいつもと何か違うんだよね、だから私が神格化してここ一帯にいるフサッグァ達を倒すから、ヨシノちゃんは神兵達を後ろに後退させて!」
「桜花様! 分かりました」
(やはり、神格化の型技で一気に倒すしか手が無いと言う事か、桜花様が神格化するなら後ろに結界を張っておかねば…私の神兵達が危ない)
ヨシノはすぐさま神兵達を後ろに後退させた、そして自身の力で広範囲に結界を張った。
「桜花様、私の力で広範囲に結界を張りましたが、私の結界を壊す様な大技は控えて下さい、貴女の技はどれも威力がありすぎて私の結界では持ちませんので」
ヨシノは心配そうな面立ちで話した。
「大丈夫、大丈夫、私に任せなさい! 十六夜ちゃんからも言われているからさ、あまり大技を使うなってさ」
その言葉を聞いたヨシノはあまり信用していなかったが、今は致し方ないと自分に言い聞かせていた、いざという時は自分の力で桜花の放つ型技から自身の神兵に被害が出ないよう守らねばと心の中で思っていた時、桜花は神格化し始めていた、その時の桜花はいつも楽観的な感じとはまるで違っていた、桜花は静かに目を閉じ右手の人差し指と中指を立て、
「…
桜花がそう
「これは冥王神格!!」
(な、なぜフサッグァ程度に冥王神格を! それにこれは不死型! 桜花様が持つ神格の中でも冥王神格は至上神格の一つ手前の強力な神格! こんな所で使うものではないはずなんだが、それにしても……うッ! くッ! 霊気の風が荒れて前が向けない、桜花様から霊気の力が異常なほど溢れ出ている……こうも力の差を見せつけられると、自分がどれだけ小さい存在であるかとゆうのが身に
「ちょっと、ヨシノちゃんも下がっていてね、ここ一帯のフサッグァ達を黄泉に送るから」
それを聞いたヨシノは
「黄泉送りの導き手……冥道」
桜花がそう言い放つと紫色の無数の手が空間から現れ逃げ惑うフサッグァ達を次々と掴み引きずり込んでいく、周囲一帯にいたフサッグァ達が全て黄泉へ送られ、
「ふぅ~疲れた、やっぱり冥王神格は結構疲れるね~」
ヨシノはまだ
「あっ、相変わらず無茶をしますね桜花様、フサッグァ程度に冥王神格など」
「まあ~フサッグァだけなら、ここまでしなかったんだけど……近くに嫌な気配がしたから冥王神格までして様子を見たけど、どれだけその周囲に探りを入れてみても、途中から気配が完全に消えたみたいでね、どうやら取り逃がしてしまったみたいだよ」
(あの冥王神格した桜花様から!? 流石にあの神格から逃れるなんて万に一つもないと思うんだが…そんな存在がいたら、今の
「ところで、十六夜様はどこへ?」
「あぁ、十六夜ちゃんなら他の所に行ってるよ、竹林の奥にある
「
「うん、そうだよ、もしかしたら誰かが
「そうなんですか、流石桜花様ですね」
「ヨシノちゃん! 褒めてもなにもでないよ~えへへ」
ヨシノは、手を上げて喜びのアピールをしてくる桜花見て猛烈にイライラし始めた。楽観過ぎる桜花に対し一瞬殺意が芽生えたが、その思いを押し殺し我慢をした。
(桜花様がこんな性格でなければ私も慕う気持ちはあっただろうに……、しかし…
いまだに、アピールしてくる桜花にヨシノはイライラを隠せなかった、その右手は拳を強く握りしめ表情もまた怒りに満ちていた。
(くっ! 現
その頃、
(……! これは桜花の冥王神格の霊気……、いったい桜花は何を考えている! フサッグァ程度に使う神格化ではないぞあれは! ……あるいは冥王神格を使わざるを得ないの状況だったのか……どちらにしろ、何を考えているんだ桜花は)
時同じくして、桜花が取り逃がした者は竹林の奥にある
その者の姿は長い黒髪をした美女であった、
「…すいませんイワナガ姉様、桜花様の神格化が想像以上に強力だったもので、フサッグァ達と傀儡を冥界へ送られてしまいました…」
そこへ、暗闇の洞窟の奥から静かに出てくる者がいた、同じく長い黒髪をした美女であった。その姿は先ほどの者と同じ顔立ちをしていた、この者も
「……サクヤか。いや上出来だ、お前のおかげで時間を大分稼いでもらった、桜花があっち側に行ってくれたのは好都合だった、後はこの先にある
その話を言われたサクヤは困惑した表情をし始めた。
「あ、あの申し訳ありません……イワナガ姉様…実話あの刀を取りに行く最中運悪く十六夜様に鉢合わせてしまい、奪う事が出来ませんでした…本当に申し訳ありません! し、しかし十六夜様は私の顔を知らなかったようで、私の正体がバレる事はありませんでした」
サクヤはイワナガに深く頭を下げ謝った、それを見たイワナガは持っていた
(…運悪く…か……確か十六夜もフサッグァと戦っていたと思うのだが……なぜ竹林の所にいた? …どうゆう事だ? こちらの気配はほぼ消して分からないはず…、桜花だけ戦地に残り十六夜をこちらに向かわせたとなると、まずいな…サクヤが言うように顔を知らなかったのは不幸中の幸いか…しかし竹林にいたとなるといずれこの
イワナガが考え込んでいると不意に空間から上下左右にくっついた
「サクラ様…なぜこちらに…?」
「これからゼウス達のいる天空城を攻める、お前達もついて来い…」
ゼウスの治める天空城を攻めると言う言葉にイワナガとサクヤは驚きを隠せなかったが、二人はすぐに返事をした。
「はい、仰せのままに…」
「しかしこの先にある
そうイワナガが言うとサクラは何も言わず洞窟の奥にある
「うっ! なぜサクラお前がここにいる!? 私はお前が破壊したグノシスの世界にいたと思っていたのだが…」
(まずい! まさか十六夜がここまで来ていたなんて! 今はぶつかりたくなかったが致し方ない、こうなってしまっては戦うしか……)
イワナガとサクヤは目を合わせると、すぐさま攻撃体勢をとったが、それをサクラは止めた。
「…お前達は下がれ…」
「し、しかしサクラ様…」
「…イワナガ、私は下がれと言ったはずだ…」
その言葉を言った直後、サクラの周りに少し霊気の風が吹いていた、サクラの長い髪が少し逆立ち浮いた姿を見たイワナガとサクヤは寒気を感じ、すぐに攻撃体勢を解いた。
「わ、分かりました…サクラ様」
「は、はい…分かりました…サクラ様」
「お前は確か竹林で会った者、まさかサクラの新たな式神だったとは、まあ…それはいい、問題は目の前にいる染井サクラなんだからな。……刀を抜いたらどうだサクラ、私一人倒せないようでは最強とは言えんぞ…」
するとサクラが十六夜の方に向いたが、刀を抜く様子はなかった。
「……お前程度に刀を使う必要もなければ私が神格化する値もない…お前は私の
そう言いサクラが右手を広げ、自身の霊気から扇子を作り手に取った。それを聞いた十六夜は怒り、右手の人差し指と中指を立て、
十六夜がそう
「……
「そう、サクラ…あんたも知っている通り私の神格化の中でも最も強力な神格…
「相変わらず、その神格化をしたら性格が変わるようだな、私と同じような厳格な言葉使いではなくなる所を考えると、星の力を身に
「それは私にも分からない、でも私には星の声が聞こえる、おそらく星達の思いが私の中に取り込まれているからなのかもしれえない…しかし今はそんな事は関係ない、目の前にいる敵…染井サクラと言う敵を私は倒せればそれでいい」
その話を聞いたサクラはまた少し鼻で笑った、そしてふと思い出したかの様に、桜花の事を聞いてきた。
「……桜花は相変わらず至上神格した時本来の姿に戻っているのか?」
「桜花は本来の姿に戻るのがあまり好きじゃないようなのは変わらないと思う、私もあまり好きではないしね、
「……そうか…」
「変わったのはサクラあんただけよ、本来この
そう十六夜が言った瞬間サクラに攻撃を仕掛け切り付け始めた。しかしサクラは手に持っている
「はぁぁぁぁ! くっ!」
「……格の違いというのを教えてやろう…」
サクラは持っていた
「
「……火を
十六夜が自分の周りに回っている赤い
「
十六夜が刀で切り付けたが、サクラはその攻撃を避けた。しかしそれと同時に違う意思を持つ大きな
(…
サクラは少し自身の霊力を上げた。そして刀を両手に持つと、
「……!!」
青色に光る広範囲の衝撃波が、真正面に渦を巻くように十六夜達へ向かって飛んでいく。十六夜はとっさに回避をしたが、無数の
「……! この霊気…サクラちゃんの霊気だ!? 絶対にそう! それに近くに十六夜ちゃんの神格の霊気も感じる。この感じ……間違いなく十六夜ちゃんの最強神格、
「た、確かに、姉様の霊気と十六夜様の
「…私にも分からない…私達が得た情報では、サクラちゃんは壊れたグノシスの世界にいるはずだったから、それに私達の
「桜花様! 十六夜様一人では確実に姉様に殺されてしまいます! 私達も一刻も早く十六夜様の所へ行きましょう!」
「うん! 十六夜ちゃん一人だけでは流石にサクラちゃんの相手は命に係わる、早く助けに行かないと!」
(うぅぅぅ! こんな時に限って私の式神ちゃん、ミコトちゃんとエンキ君に
「……!! この霊気は!? イズナ! 早くその三色団子を食べて十六夜様の所に行くよ!」
「わあってるって、ほの霊気は間違ひふぁくサクラ様の霊気だ」
「分かってるならのんびり団子食べてんじゃねぇ! それと、口に含んだまま喋るんじゃね! 近くにいるのが私達の主、十六夜様なんだぞ!」
「わぁはってるって」
「て、テメー……だから口に食べ物含んだまましゃべるんじゃねぇ!!」
「あぁぁぁぁぁぁぁ!!」
気楽でマイペースなイズナに対し、イライラをつのらせたナユタは
「お、お連れさん…大丈夫で…?」
「問題ない! 釣りはいらない、美味しかったぞ
「へ、へい、どうもで…」
丁度お茶屋にナユタとイズナと言う十六夜の式神がいた、男勝りの女性ナユタはセミロングの髪をし 、くノ一が着る
──────
その頃、
「う、うぁぁぁぁっ!! も、も~なんなのよ~この世界は! 戦争みたいなのが終わったと思ったら次は地響きどころか凄い風に大きな爆発音…しまいには
薫は愚痴をこぼしながらも
──────
「…くッ!! サクラめ!!」
「……あれは
(それにあの技、霊気の力を大分抑えながら放っていた…サクラ様が手加減をした…とゆう事か…珍しいな……普段なら手加減などしないお方なのに…)
イワナガが尊敬の眼差しでサクラを見ている中、サクヤの目は輝きに満ちていた、サクラに対する思いが強すぎるのか、少しはしゃぎ始めた。
「い、今の見ましたかイワナガ姉様!! 流石私のサクラ様! いつ見てもカッコ良すぎてサクヤ失神しそうになってしまいました!」
それを聞いたイワナガは少しイラだった。
「私のではなく、私達のであろう、……それに私達はサクラ様の式神の存在だ、そもそも私達はサクラ様の霊気と
「そんな事はどうでもいいじゃないですか! イワナガ姉様! 今が大切なんですよ! 今が! サクラ様の戦うお姿を見れるとゆう事が大切なんです!」
その姿を見たイワナガは呆れていた。
「……はぁ…まったくこの子ったら…」
持っている
(サクラ様が戦う度にこのテンションになるのは流石に姉として嫌気がさす…)
「……これで分かったか十六夜? …私とお前ではそもそも格が違い過ぎる」
(…相変わらずバカみたいな霊気の質量、神格化無しであれ程の力…これでもかなり修行したと思っていたのだけど…サクラとこんなにも力の差があるなんて…! しかしそんな事言ってられない、ここから更に攻める!)
攻めの構えを見せた十六夜は、
「
「…今度は水の天道か…」
十六夜が二つ目の
(追尾型の水の龍か……
「これだけじゃないよサクラ!」
十六夜は、更に
「
十六夜は自分の持っている
「サクラ様!!」
「くッ! サクヤ! 馬鹿者! 今サクラ様の所に行くのはやめろ!! お前まで巻き添えをくらう!」
十六夜のすさまじい攻撃に思わずサクヤはサクラの所へ行こうとしたが、イワナガに止められた。しばらくそこ一帯は爆発の影響で土煙が立ち込めていた、その威力は
イワナガでさえも目に余るものであった。
(この攻撃なら流石のサクラも……)
しばらくの間、
「なッ!! あれ程の大爆発で無傷!! はっ! うぅっ!!」
無傷のサクラを見て十六夜が困惑していた時、不意に飛んできた斬撃が十六夜の体に当たり、傷を負った十六夜から多量に血が
「よかったサクラ様!本当によかった!」
「はぁ…流石の私もあの攻撃には冷えを覚えたぞ」
土煙が無くなった後、サクラは静かに十六夜の元へ歩いて行く。
「なぜあれだけの爆発の中…!?」
納得のいかない十六夜はサクラに問いただした。
「…簡単な事だ……あの攻撃によって爆発が起きる直前に、結界を張った…とゆうだけだ」
「なっ!? 結界で防がれる程私の攻撃は──!!」
そこへ十六夜の言葉に被せて答えるサクラ。
「元々私とお前では霊気の質そのものが違い過ぎる…お前程度の霊気では私の結界を破る事はそもそも出来ない…」
「くッ!!」
しかしサクラはさっきの攻撃を軽んじる事はしなかった。
「…しかし随分面白い攻撃を覚えたものだな十六夜……久しぶりに私は楽しめた……が、そろそろ時間切れのようだ……何人かここへ向かってくる者達がいるようだ、悪いがこれ以上お前に構っているほど私は暇ではない、この一撃で終わらせる」
サクラはそう言うと、手に持っていた刀を収め、腕を真横に伸ばし霊気を集中させた。すると小さな空間が出来上がった。サクラはその空間に手を伸ばし赤く燃える様な刀を取り出した。それを見たイワナガとサクヤは驚き始めた。
「イワナガ姉様! あれは!」
「…
サクラが
「…最後に私に言う事はあるか…? 神格化していない私は
「……私が死んでも、私の代わりにいつかあんたを倒す者が必ず現れる、私は先にあの世に行かせてもらうけど…いつの日かあんたが来るのをずっと待っている、でも
そう言った十六夜は、持っている刀の刀身に自身の霊気全てと
(…私の最後の型技……これで決める…)
十六夜は目をゆっくり閉じ、静かに息を吸った後にその息を吐いた。そして目を閉じたまま
「…
すると十六夜の持つ刀から
「
それと同じくサクラも刀を両手に持ち、思いっきり刀を振った、二つのすさまじい霊気の斬撃がぶつかり合う、十六夜は最後の力を振り絞るように霊気を出し放っている。しかし無情にも十六夜の放った斬撃がサクラの斬撃に消し飛ばされ、そのまま飛んでくる斬撃の光が十六夜を包み込み十六夜は消えた。それと同時にすさまじい爆発音が辺りに響いた。土煙が舞う中サクラは十六夜の元へ歩いて行く。そこに血だらけで倒れ込む十六夜を見つけたサクラは生死を見極めていた。
未だ十六夜のいる
(……!!十六夜ちゃん……)
かろうじて息のある十六夜が桜花の名前を呼ぶ。
「……桜……花……」
「……まだ息があるか…しかし私が手を下す必要はもうなさそうだな…」
サクラは十六夜の生死を確認すると、
「イワナガ、サクヤ、行くぞ……」
「はっ、はいサクラ様」
「わ、分かりましたサクラ様」
サクラ達はその場を後にし、
「サクラ様、あれは…いったい…?」
「……
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