僕の寂しさを拭ってくれる2つのもの。

@kamometarou

1.

 僕は、今主に2つのものに寂しさを拭ってもらっている。一つが、つい最近飼い始めたファンシーラットという種類の非常に頭のよいネズミの一種。もう一つが、3度目の高校1年生の生活を送ることにばかばかしくなって春から通い始めた、しっかりと個別で学習指導をしてくれるという、今時まれなフリースクールだ。

 

 もうそこに通い始めて2週間がたつが、不思議と学校に通っていた時よりもよっぽど忙しく、加えて結構たのしいと感じる。また、2週間目にして早速成績に変化が出始めた。最も苦手でアレルギーを起こしていた国語が、一番得意になっている。これは2週間国語付けで国語ばかりやっていたからだろうが、自信にはなったし、モチベーションにもつながった。


 さて、もう一方のファンシーラットについてだが、こちらはめちゃくちゃ可愛くてほとんど虜になっている。アダルトでは白と黒の個体がいて、黒いほうにはカイトとユウトという名前を付けた。黒色の2匹は僕が特にかわいがっている。

 だが、我が家には一人ネズミを毛嫌いする厄介な構成人が存在した。それが、「ネズミ」と聞いただけで身震いをさせて嫌悪感を示す世代に生まれた、祖母だ。祖母は、はじめは同じ部屋にいるのも嫌だというほど彼らを避けたが、今となっては白のアダルトと、赤ちゃんであればどちらもかわいがっている。

 しかし、相変わらずアダルトの黒の個体だけはどうしても「不気味」な感じがして見るのも無理だという。


 そこで、僕はある朝策を講じることにした。奥の間の仏壇のまえで、

「黒いラットがピンク色に変わりますように。」

と、願い事をした。


 その日はそのまま早稲田にあるフリースクールまで行き、そこでのルーティーンを済ませた。

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