神様がくれた第七戦
麻野栄五郎
プロローグ:Starting member
今年の日本シリーズは第七戦目まで回ってきた。昨日の試合で決まったかと思ってたが、おかげで徹夜をするはめになった。
これは名誉なことだし仕事の上でもステップアップになるとは思うけれど今回の仕事は少し厄介だ。
「小野さん、明日の先発誰だと思う?」
「角道で決まりだろうよ。ここまで見越して駒場監督が温存してたんだろうし」
「いや、そっちじゃないって」
コマンドーの先発は角道が来るのは関係者じゃなくてもわかるさ、この人も多分わかってて言ってるだろうけど。エースの四喜を使った後だし、順当に行けば第二戦で投げた河底だけど南場監督の場合だと王道で来るかは怪しい。監督の性格と第二戦を見れば河底をここで登板させるとは考えにくい。
「難しすぎる質問だぜコウちゃん。普通に考えれば第二戦で投げた河底……じゃ無いと思うんだよなぁ」
「同じことを考えてるようですね。河底は左ですから、あえて右投手いやそう読ませて左も」
「おいおい、深みにハマっちまうぜそれじゃあ。南場監督のこったから中継ぎに3回ずつ投げさせ……」
中継ぎ戦法は一種の博打だが、コマンドーと比べて選手層の薄いパイレーツならばそれもあり得る。待てよ、第二戦の勝利投手は……
「小野さん、第二戦の勝利投手の東風」
「あぁ? いや、流石に無いだろ。なんでメンバーに入ったのかもわからんのだぞ。確かに球はすごかったが」
「もともと彼は先発投手ですしあり得るんじゃないですか?」
シーズンはじめ頃からの長期入院のベテランか……たしか今季は5登板で3勝1敗という成績だったはずだけど、シーズンにほとんどいなかった彼がなぜシリーズ登録選手となったのか疑問の声も大きいのだが、妙に気になる。
「時間はあんまりねぇが、先発しそうな中継ぎ陣含めてデータを洗うか?どうせ一人増えたところでだ」
「そうですね、どうせ中継ぎ投手のデータも洗っておく必要がありますし」
「だな、これで河底が来たら泣くけどな」
―――――
「大当たりだったなコウちゃん」
「まさか本当にこうなるなんて思いもしませんでしたよ」
「いいじゃないの。オーダー表交換した後のほかの連中の慌てぶりを見られただけで満足さ」
『CMあけまーす。3・2・1』
昨晩から今朝方まで降った雨もあがり、ここパイレーツスタジアムは秋晴れの快晴で迎えました日本シリーズ第7戦2連勝からの3連敗そして、昨日逆王手をかけ両者3勝3敗で迎えた最終戦はまもなくプレーボールです。LBCスーパーナイター実況は私
「よろしくお願いします」
最終戦までもつれ込みました今年の日本シリーズですがお互いホームで星を取り合う形となりました。ここまで6戦をご覧いただいていかがですか?
「お互いホームゲームをしっかりと取り合う形での最終戦ですからね。そこを見ればややパイレーツ有利ではありますが、昨日の試合をどうしても落とせないとパイレーツはエースの三元を昨日に持ってきましたからね。対するコマンドーはそれを見越して今日角道をずらしてもってきましたので、それがどう影響するかが見所だと思います」
そうですね、左の角道が来る事を予想していたパイレーツも右打者をずらりと並べてきました。では、ここでラインナップを紹介いたしましょう。まずは先攻コマンドーです。1番にセンターの飛騨、2番がショート桂、3番がサード昨日ホームランを打ちました横井、4番指名打者、本塁打・打点王のボゥシルバーが入ります。
5番にこのシリーズあたりにあたっているキングスマン、ファーストです。6番ライトに投手の穴熊を入れて来ました羽生監督。7番レフト香田、8番にルーキーの矢倉がセカンド、9番に玉城が入りピッチャーはエースの角道がマウンドに上がります。
「シーズン通して活躍している選手がこのシリーズでも活躍していますから、駒形監督もあまり大胆なオーダーを組んできませんね。やはり、先ほども言いましたがエースを今日に温存しているのが大きいですね」
変わりまして、後攻のパイレーツ今日は大きくオーダーを変えてきました。1番に盗塁王を獲得しましたショートの一色緑、2番ライト
6番にセカンド一色清、7番サード
「左の角道に対して7人右バッターを並べてきましたからね、これがどう出るかが見物ですが、先発東 風選手ですね。レギュラーシーズンの先発は確か2回でしたっけ? 確かに2戦目と3戦目にリリーフで出てきて好投しましたがこの強力打線を相手にするとなると、南場監督も賭けに出てきましたね」
さて、まもなくプレイボールです。
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