第十五話『焔龍皇と衰弱の真実』

この扉全員でやってやっと開いたよ…


初めに裏側っぽい方からやって見たけど動く気配すらなかった。


次は表側っぽい方をやってギリギリ開いたところに急いで中に入って今に至るわけだけど…


「これはなかなかしんどいね…」


「そうだねー…多分だけど竜が通るための門だろうからそれに合わせてあるんじゃないかな?人用の重さだと壊れちゃいそうだしー」


ん?竜が開ける門って言った…?


それを私達6人で開けちゃったって事?


それもそれでどうかと思うんだけど…


それはそうとここから先はまた一段とすごそうだよ…


一本道の通路があって通路の両端にはマグマ垂れ流れてるし、通路の方のちょくちょく何か噴き出してるし。


これはリアルじゃ確実には入れない場所だね、まあこの祠そのものも入れるかどうか怪しいけど…


「そろそろ進むっすか?」


「あぁ、早く終わらせてとっとと出ちまおうぜ…」


「そうね、フウ達は準備いいかしら?」


「大丈夫だよー」


「ライムもー!」


「うちもいつでもー」


………


「おい、これいつまで続くんだよ…」


「ジュっくん、それすっごいデジャブ…」


「だらしないわよ!ほら!」


「いや、そうでもないっぽいよー。ほらー!」


「いや、おい…」


「えっと、溶岩海…?」


「これは流石に…」


「手詰まりっすね…」


「…うん…うん。…はーい!」


「ライムどうしたの?」


「えっとね、龍皇さん?がちょっとの間加護を与えるから降りていいよーって言ってるよ?」


「えっ?ライム何か聞こえたの?」


「うん、いまお話ししてたよ?」


「とりあえず飛び降りてみるー?」


「じ、自分高い所ダメなんすよ…飛び降りるだなんて、そんな…」


「ほら、行くわよ!」


「ちょっ!姉さん!?うぎゃぁーーーー!!」


「先輩!俺まで巻き込まないでくださいよーーー!!!」


レイナ、今落としたよね…


(うわ〜レイナもよくやるなー…)


「楽しそー!フウもいこー?」


「うん、そうだね。じゃあ一緒にせーの!!」


「あー、まさかのうちが最後かー。最初に飛ぼうと思ってたのになー…えいっ!!」


………


「……あ、姉さん…死ぬかと思ったっすよ…」


「ファイス、安心しろ俺もだ…」


「あっちの楽しそうな3人と違ってこっちの男性陣2人は情けないわね…」


「そう言われてもな…」


「苦手なものは苦手っすからね…」


『よくぞここまで来てくれた…人の子らよ…』


「どこから喋っているのかしら?」


「溶岩の中とかー?」


『姿を現せずにすまないな…今はそれすら難しいのじゃ…』


「それで、どうしてそんなんになってるんだ?」


「そうっすね、危険な状態ならなおさら時間が惜しいっすよ?」


『簡単なことよ…火竜種の一部がとある龍に寝返た…そして裏切られたのじゃ…』


「そいつら消しちゃえばよかったんじゃないっすか?」


『いや…そう思わせてしまった環境を作った儂…そして裏切ってしまうまで気付いてやれなかった儂…結果的に儂の責任じゃ…』


「そうだな、恨むより気付けなかったと後悔する方が断然いいと思うぜ」


「そうだね〜。それで、どうしたら元に戻れるの?」


『復活にはいくつかやらねばならぬことがある…まずは…この火山の活性化じゃ…これには此処より下にある焔龍皇の神殿…まあ儂の家なのじゃが…そこの最下層…といっても三階層しかない…のじゃが…そこから一本道で…マグマ溜まりのような場所に繋がる…道がある…そこで火山活動を停止させている…原因を突き止めてほしい…』


「なるほど。でも何かしらの方法で塞き止められてるなら一気に爆発して噴火しそうじゃない?」


「それは確かにあるわね。でもここの近辺街とか無いから大丈夫じゃ無いかしら?」


「うん、周りの生き物のこと考えてたけど、人為的とはいえ本来の流れに戻すだけだもんね」


『そうじゃ…それに…噴火は確かに…甚大な被害をもたらすとはいえ…その後の恵にもなるのじゃ…それで二つ目…じゃがな…龍皇の秘焔玉…というものがあってな…ここへ持ってきて欲しいのじゃよ…いわば魔力の塊なのじゃが…儂の封印されてしまった力の回復に必要なのじゃ…』


「それでその龍皇の秘焔玉っていうのはどこにあるっすか?」


『そ…それがな…お…覚えてないのじゃよ…二つあるのじゃがな…』


「んなっ…!?おいおい、そう来たか…」


「なんと無くもわからないのー?」


『す…すまない…それでじゃな…三つ目なのじゃが…』


あ、話逸らした…


(逸らしたわね…)


(こいつ…)


『三つ目は…儂の復活の時の…護衛を頼みたい…生まれたばかりの赤子の様に…無防備に…なる…でな…すまぬ…喋り…す…ぎたせい…か…そろそろ…限界…の…ようじゃ…頼んだ…ぞ…』


………あ、大雑把に言うだけ言って本当に寝ちゃったの!?


「しょうがないわね…元々弱ってたみたいだし…」


「あぁ、でもどうすんだ?」


「どうするって探索するしか無いでしょう」


「そ…そうだが…」


「まあ探すものは多いけどマグマ溜まりと龍皇の秘焔玉探すしかなさそうだね〜」


「とりあえず出てきたこの階段降りちゃう?」


龍皇が寝ちゃった後、上の方にある飛び降りて来た穴とちょうど反対あたりに下る階段の穴出来てたの。


まあ、ライムが教えてくれたんだけどね!


「…えっと、フウ?階段なんてどこにあるの…?」


「え…?そこにあるじゃん?」


「ごめんなさい、私も何も無いと思うわ…」


「あるもーん!!ね!フウ?」


「うん」


「二人で降りちゃおー?」


「え、でも…っちょ、ライム!引っ張らないでー」


「みんなも来てー!」


「お、おう…」


「二人も行くっすよ、目の前壁っすけどね…」


私とライム以外は階段が見えてないから壁に向かってダイブする羽目になったの。


まあちゃんとみんな階段にたどり着けたんだけどね。


階段を一番下まで降りたらそこには地下なのに誰が見ても神殿と思えるすごく…凄く立派な?建造物が建ってたの。


「これが龍皇さんのおうちー?」


「そ、そうみたいだね…」


「なんというかすげー人間サイズじゃねーか?」


「ま、まあダンジョンにイレギュラーは定番っすからね!」


ここまではまだよかったよ?問題だったのはこの先。


「ダンジョンって言うよりこれは豪邸ね」


「うん、ただの家だよこれ」


「いや〜これには流石に不意打ちだったねー…」


確か三階建てって言ってたもんね。


「危険はなさそうだしみんなで散らばって散策でもする?」


「そうね」


………


「みんなは何か見つかった〜?うちはなんも見つからなかったよー」


「私も収穫なしだわ」


「俺はゴミ箱っぽい所に抜け殻が入ってたぞ」


「自分ベットの下に赤い宝玉見つけたっすよ!」


「あら、自分がエロ本隠してる所だから見つけられたのかしらね?」


「ちょっと姉さん…!」


「「ファイスも男の子だね〜」」


私とアヤカが口を揃えてそう言うとファイスは顔を真っ赤にして伏せちゃった。


「ほら、照れてんじゃないわよ!」


「姉さん、鬼っすか!?」


(おいおい、それって先輩があいつの家に入ったって事じゃねーか!どういう事だ!?)


「アヤカ、ジュっくんもジュっくんでわかりやすいねー」


「そうだね〜」


「まあ気付いてないレイナもレイナだけどねー」


「女性側が鈍感ってのも珍しいからね〜」


「それで話戻すがフウ達は何か見つけたのか?」


今のジュっくんの切り替えは考えたくなかったのかな?


「私はファイスが見つけたやつが二つ置けそうな燭台みたいなの見つけたよー」


「二つありゃなんか起きそうだな」


「そうね、そのためにももう一つ見つけなくちゃいけないわね」


「ライムは何か見つけたのー?」


「ライムはね、階段を見つけたのー!」


ライム…そんなぴょんぴょんしながら褒めてみたいな顔でこっちを見ないで!…可愛すぎるから…


(あれはもう反則ね)


(うちも従魔術師取ればよかったかなー。まあフウが例外なのは間違いないんだけどさー)


「ライムは探索の天才だねー!」


そんなことを言いながらライムの頭をわしゃわしゃしながら褒める私を眺める四人。


この構成すっごいデジャブなんだよなー。


まあそんな緩い会話をしながら次の地下一階?もともと地下だからそう呼んでいいのかわからないけどそのエリアも探索したけどやっぱり普通の家。


それでもって階段を見つけるのはやっぱりライム。


なんかの能力なのかな?それとも幸運値の問題とか?


私なんかはライムの恩恵受けてるだけだしね。


それで問題だったのは次の部屋だったんだよ。


「なんなんっすかこれ…」


「これは完全にダンジョンって感じだな…」


「それにこれはただのダンジョンじゃないねー。この黒くて赤い線の入った鼓動してる変なやつが壁を覆っちゃってるって感じだしね〜」


「なにこれ気持ちわるっ!」


「ここ凄く嫌な感じがするよ?」


アヤカの言ったように黒いのが木の根っこみたいに壁を覆っててその黒いのに赤い血管みたいなのが巡ってて鼓動してるの、気持ち悪いの。


「でも逆に言えばこれを辿っていけば黒幕を突き止められるって訳よね?」


「まあそういう事っすね」


「とりあえず進んでくしかねーって訳だな」


「そうだね〜。明らかにこの黒いのが衰弱の原因で間違いなさそうだし」


………


それからしばらく探索してたんだけど、なんの部屋かわからないけど扉を開けた途端そこで事態が急展開しちゃって。


この黒い塊が千切れていろんな形したモンスターになって私たちに抵抗し始めたの。


黒い塊は剣や弓、魔法なんかも使って多彩な攻撃を仕掛けてくる厄介な敵だったのだが…


「アヤカ!ジュっくんのサポート任せた!ジュっくんはそのまま敵の気を引きつけてて!」


「「りょうかい!」」」


「レイナとライムは後ろからじゃんじゃん攻撃しちゃって!ファイスは抜けてきた敵の牽制お願い!」


「はーい!」


「了解っす!」


「任せて!フウはそろそろバフが切れ…ってさすがね!」


「フウもバフが切れる前に更新が出来るようになったか〜」


「ありがと!でも次くるよ!!」


………


「ひとまずは落ち着いたみたいだな…」


「フウは完璧な采配だったわ。ありがと」


「あれはマジ助かったっす!」


二人がが言ってるのは第二波が来た少し後の話。


三分の一くらい倒した時に第三波が来てみんなの態勢が崩れちゃったから戦力を分担して二人一組にして采配したの。


ジュっくんとレイナは引きつけ役とバックアタック、アヤカとファイスは二人で暴れてもらって、私とライムはいつも通り。


この作戦がうまくいったみたいで形勢逆転出来てそのまま勝つことができた時の事。


「そう言ってもらえると嬉しいな。少しでも役に立てならよかったよ!私攻撃できないしね」


「ライム、楽しかったのー!」


それから明らかにここから黒い塊が出て来てるだろうって階段を降りて行ったの。


一番下まで降りた所は下が一面マグマの部屋の天井だったんだよね…


「これは…マグマ溜まりなのでしょうけど…」


「あぁ、こっからどうしろってんだよ」


「でもさ焔龍皇の話から変だと思ってたんだけど、普通マグマ溜まりって空洞あるのかな?」


「あー、確かに言われてみればそうだね〜」


そんな話をしてた時にね、ライムが教えてくれたんだ。


「ねー、フウ。下の赤いの無くなっちゃったよー?」


「えっ!?」


当然驚くよね、他のみんなも驚いてたし。


「こりゃ相当妙っすね…」


「いや〜、真下の穴からこの黒いの出てるっぽいね?」


「なあ、もしかしてまた飛び降りたりしないよな…?」


「さぁ?どうかしらね?」


「あ、姉さん!?顔が怖いっすよ!?イデッ!」


そりゃそんな事言ったファイスが悪いよ、うん。


「でも飛び降りるにしても着地はどうするの?」


「そ、そうだよな!」


「ねえ、フウ?物理耐性の付与、出来るかしら?」


あー、レイナさんの目が本気です。


私も少し怖いです。


「出来るけどそれで飛び降りた時の衝撃って緩和されるものなの?」


「まあ一か八かやってみるしかないんじゃないかな〜。ファイスの竜化も使用制限で使えないし」


「ま、マジっすか…?」


「《広域スキル付与 物理態勢(中)》!ライム、いこっか!」


「はーい!せーのっ」


「うちも行くよーっと!」


「ほら、女の子達が飛んだんだからあなた達も早くいきなさい!」


「ちょっ、姉さん!またっすかあぁ〜〜〜…」


「先輩!?うぎゃーーーーー…」


「私もそれっ!」


こうして二人の叫び声は黒い塊が出て来ている深い穴へと消えていったのだった。ってね!

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