呪髪のレンラ

空川 新

プロローグ

プロローグ


 赤色の水たまり。

 散らばる臓物。

 なまぐさい匂い。

 その光景は、今でも脳裏に焼き付いている。


 昨日まで生きていた人。昨日まで話していた人。

 それがただの『もの』になったことに、強い衝撃を受けた。

 もう笑うことも、泣くことも、怒ることもない。

 皆、記憶の中の存在になってしまったのだ。

 同じ時を過ごすことは、もうできない。


 どうして、あんなことになったのだろう。

 傷つくのは、俺一人でよかったのに。


 世界は、残酷だ。

 誰かの不幸の上にしか、幸せは成り立たないのだから。

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