犬乙女

柳 和久

第1話 目覚め

霞む・・・視界の先・・・


いつものベットからの眺め。

燭台とダイニングテーブル。

それから石の壁。


「ワン!」


灰色がかった白い犬。私の寝顔を覗き込んでいたようだ。

湿ったピンク色が視界と顔を濡らす。

「うーん・・・レヤ・・・やめてぇ・・・」

寝起きで働かない頭で、消え入るように拒絶する。

しかし、そんな私にめげずに耳を舐めてくる。

くすぐったさと冷たさで不快になり、仕方なく身を起こした。

「もぅ・・・わかったよ。」

ベットに乗ってきた両頬をくしゃくしゃに撫でる。

「おはよう、レヤ」

『おはよう、イサヤ』



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