WORLD IN LIVER / START
下園 悠莉
START
少年も、普通だ。
正常であり、それなりに好奇心もあり
これと言って、欠如も無く。
ただ、突然に
ただ、必然に
俺たちの前に訪れた。
「 :@;:.[@;];[;].[;[:]/];];^\^;\[l/: 」
「 うん・・・、うん・・・ 」
知ろうとすれば
分かるはずなのに
何故、知ろうともしないのか。
殴れば、全て解決するんだろうが
・・・まだ、早い。
まだ、やり残した事がある。
今、殴る事は
最善ではない。
きっと。
ただの、心のない暴力になってしまう。
( ・・・此処で、合ってるんだよな? )
目の前の住宅と
スマホのマップと位置を照らし合わせる。
間違っていたら、気まずいし
なんだか、ややこしい事になるのは目に見えてるし。
ややこしい事になったらなったで
対処はするけど。
まず、当初の目的を達成しないと。
自分の為にならない。
そして、他人の為にもなりはしない。
ピンポーン
外人数人が迎えに出て来る。
明るそうな表情とは裏腹に
室内は、どんよりとこもっているのが見て取れる。
・・・此処も、大層息が詰まりそうだ。
暫く経って
食卓を囲む事になった。
・・・全く、食卓を囲むと言える程
温かい雰囲気は無いが
外人の中で、一際重い空気を発しているものが居た。
これが、最初の問題なのかもしれない。
食事を終えて
風呂を適当に済ませ
寝床に着く。
暫く経って
深夜になると
すすり泣く、女性の声が聞こえた。
一階に降りて
其方の方へ向かってみる。
放ってもおけないし。
耳を澄ましてみた。
やっぱりだ。
やっぱり聞こえる。
扉を小さく開いて
中を覗いてみる。
女性が居た。
あれは・・・、確か
一際、どんよりとした雰囲気を纏っていた・・・。
確か、元軍人とか、言ってたっけ。
唇を、強く噛んでいる。
体を震わせて
ベッドの上で、縮こまって。
・・・調べてみた方がよさそうだ。
元々、テロ対策部隊に居た彼女。
それを一方的に目の敵にしようとしていた存在。
彼女の入隊理由。
家族。
過去。
上司。
仲間。
悲劇。
現在。
ふざけんなテメエ!
あーだこーだ、言い訳して
てめえの妹救う事から逃げてんじゃねえよ! 」
少年は、殴り飛ばした。
堪えられなかったのだ。
堪える訳には行かなかったのだ。
堪えれる訳が無かったのだ。
誰かを救うという本能を。
人としての本能を。
故に、少年は、住宅を飛び出した。
そして、一軒の当国
アメリカ軍事施設の前に辿り着く。
門を通ろうとすると、何者かが、それを止めた。
「 其処を退いて貰えますか? 」
「 人が 」
「 待っているんです。 」
「 此処を通す訳には 」
扉が開く。
多くの銃口が此方を向いていた。
だから、なんだ?
何だって言うんだ。
撃たせない。
撃てないだろうが
撃たせない。
出来るかどうかじゃねえ。
やるんだ。
もっと早く。
もっとだ!!。
前へと進んでいく。
僕は進まなければならない。
我が母国。
そして、母国を愛してくれたこの国と。
世界と。
目の前の者たちの為にも。
そして、僕の為にも。
全ての為に。
この男の身体は、壁に避けておこう。
念の為だ。
一発でも当てさせるつもりはないが
僕は痛いの嫌いだし
そっちの方が善い。
『 う、動くn 』
撃たせるかよ。
うるせえ。
うるせえぞ。
怪我しちまったらどうすんだ。
エリアAを突破されました!
あの
人というもの、そのものを
欲望だとか、そんなもので
檻なんて入れるべきじゃなかったんだ。
それこそが
その行動こそが、
奴らは、悲劇を決して許さない。
何がなんでも、救い。
その希望で、ありとあらゆるものを引き千切り。
踏み砕き。破壊する。
隠しても無駄だったんだ。
ドアを破る。
中へと入る。
正常って言うのは
常に、最善を
正しさを追い求める者の事を指す。
それが、ありきたりであるかどうかじゃねえんだよ。
「 待っ!、待って!
私は!、おんn 」
お前の何処が女なんだよ。
女は、人救いに来た奴に
銃口向けて着たりしねーよ。
急がなきゃ
一刻も、早く。
ーーーー
ビー!ビー!
「 侵入者! フロアBを突破しました! 」
「 もうすぐ、此処にやってきます 」
「 バカな!
相手は・・・、ガキ一人だぞ!!
何をやってる!! 」
「 ・・・ 」
「 おい、どうs 」
「 こ っ ち だ よ 」
「 a 」
ーーーーーーーーーー
『 ハヤクヌゲヨメアリーメイカー 』
『 ハヤクシロ 』
『 ッ!? 』
日の当たるグラウンドの中心。
一人の女性と、それを取り囲む様に並ぶ兵士。
目を逸らしたくなる光景。
苦しく。
悲しく。
それを砕く、大きな金属音。
鉄製の扉が、六角形状に歪んでいた。
それが、瞬きも許さず
幾つも幾つも増えていく。
数秒も刻む事を許さず
害壁は砕け散る。
細い体の少年の手には
大型のスレッジハンマーの柄が握られていた。
あ、居た。
「 メアリーさん! 」
少年は、女性の名を呼び駆け寄る。
「 探しましたよ?
全くもう・・・ 」
遅かった・・・
服も、こんなに痛んじゃってるし
髪だって・・・
もっと早くくれば
こんな砂まみれにならずに済んだのに・・・
でも・・・、戦ってくれてたんだな。
う・・・、なんか悔しい・・・
『 君は・・・ 』
「 立てますか? 」
『 バカな!、他の兵士は・・・!? 』
言葉ではなく、現実が物語っていた。
兵士は、扉の前で伸びていた。
視界の前で伸びていた。
その目には
光が灯っていた。
『 貴様・・・!
一体、何者 』
「 ただの人間だよ 」
ドガァ!!!!!
「 Dッ!!!・・・・ 」
「 あ・・・、大丈夫ですか? 」
「 ダレに鍛えてないからネ! 」
「 ・・・伊達に、じゃないですか? 」
「 OH!、それそれ! 」
「 んしょっと・・・! 」(肩貸しー)
「 ・・・ 」
「 ・・・ 」
う・・・、身長高い・・・
重たい・・・
「 ・・・ダイジョウブ? 」
「 あ、はい
大丈夫です・・・ 」
肩を貸し、歩く一人の少年。
兵士たちは、それを眺め。
立ち尽くしていた。
ある者は涙を流し。
ある者は、それを堪えながら
少年を見送った。
『 指令・・・! 』
『 上層部に伝えておけ 』
『 同志が来たと。 』
『 人間の、和を以て制す同志が来たと! 』
救急箱を抱きかかえ
一人の女性が震えながらも待ち続ける。
扉が開き
女性が姿を現す。
『 メアリー・・・! 』
『 姉さん・・・! 』
二人は力いっぱい抱き締めあった。
様々な事を感じ合う様に。
少年は、そんな二人を眺めていた。
特に表情が変わる事も無かった。
WORLD IN LIVER / START 下園 悠莉 @Yuri_Simozono_2017
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