犠牲 第四章
〈城田孝助ともうします。
これはぼくの遺書です。
もう時間がのこされていません。なので乱ぴつになろうかとおもいますが御容しゃください。まずこの手紙をうけとったかたにもうしあげたいのですがぼくの死体をみつけたら
皆川さんへ。
こんなぼくをともだちにしてくれてありがとうございました。皆川さんは忘れてしまったかもしれませんがぼくは一度皆川さんにたすけてもらってるんです。幼稚えんのころでした。もともと不細工なぼくは幼稚えんのころからみんなにきらわれていてなかんずくおんなのこたちからはだかつしされていました。幼稚えんのころなので記憶が曖昧もことしているのですが多分年中組のころにおんなのこたちのいじめがはじまったのです。せんせいのいないところでなぐるけるの乱ぼうをされていました。ほかのおともだちは気付いても気付かないふりをしていたのです。そこで皆川さんがぼくをかばってまんしんそういになってくれました。ぼくは恋をしたのです。それからおんなのこたちは皆川さんをいじめるようになりました。ぼくはけっ起したのです。〈死ぬまで皆川さんをしあわせにしよう〉という決意です。今度はせんせいのいないところでぼくがおんなのこたちと対寺〔原文ママ〕して皆川さんへのいじめをくいとめました。ここからぼくの〈皆川さんをまもるためだけ〉の人生がはじまったのでした。
事実を書きたいとおもいます。
幼稚えん時代に皆川さんが道路にとびだして車にひかれようとしたことがありましたね。あのとき皆川さんの制服をひっぱってたすけたのはぼくです。といえども皆川さんは宮内くんに感しゃして〈結婚する〉といっていたのでぼくは宮内くんにしっとするようになります。幼稚えんを卒えんして皆川さんと宮内くんがけつ別したのちぼくは小学校中学校高校大学と皆川さんをおいかけておなじ学校に進学しました。小学生時代にはおなじクラスになったこともあり窓から転落しそうになった皆川さんの背中をひっぱってたすけたこともあります。中学時代には真夜中に皆川さんがでかけるのでじゅってきそくいんして金属バッドをもってついてゆくと
すみませんでした。
〔
みながわさんへ
しろたこうすけより〉
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます