モンスターズ・インクとふしぎの国のアリスのどこがすごいの・
それじゃあ、映画の感想の続きを話そうか。
③モンスターズ・インク
これは、すごかった。どこがどうすごかったかというと、我々の住む人間世界とは全く別世界の常識や雰囲気など基本の設定を、短い時間でシンプルにわからせてくる構成がすごかったのだ。
あらすじを言うと、
モンスターの世界におけるエリート会社員とその相棒が、社長の悪の計画を打ち砕く。
という話になる。みんなも知っているであろうあの小さな女の子は、社長による悪の計画の、重要な鍵となる存在なのだ。
異世界を舞台にした物語を作るにあたって一番大変なのは、世界観を上手に説明することだと思う。
異世界転生系の物語のように、主人公が『読み手』と同じ感覚を持った人物であれば、世界観の説明は比較的容易になる。主人公が見聞きして感じたこと、学んだことを描写していけば、主人公と同じペースで『読み手』も世界観を把握することができるからだ。
しかしこのモンスターズ・インクのように、異世界に住むモンスターが主人公である場合はそうもいかない。彼らは我々にとっての奇想天外にいちいち驚いたり、説明を求めたりしてくれないので、物語を作る際は『観る人』がちゃんとついて来れるように、冒頭である程度世界観を説明しておく必要があるのだ。これを過不足なく行うことは、めちゃくちゃに難しい。
モンスターズ・インクにおける基本的な世界観は、以下の通りである。
・モンスターの世界では、電力の代わりに人間の子どもの『悲鳴エネルギー』が使われている。
・モンスターズ・インクは、その『悲鳴エネルギー』を世界に供給する会社である。
・『悲鳴エネルギー』は、モンスターズ・インクの社員が子どもを怖がらせることで集めている。
・モンスターも子どもを怖がっている(放射能汚染物質みたいな恐れ方をしている)。
という感じだ。
本編では、これらの設定がなんと3分30秒、モンスターズ・インクの新入社員研修という形で、アクションを交えつつ実にスマートに説明されるのだ。
世界観の説明を冗長にならずに、こんなに短い時間で済ませるのは本当にすごいことだ。舞台をモンスター世界の中でも『会社』という空間に限定することで情報を絞り、さらに『新入社員』という、観る人の立場に近いまっさらな存在を設定することで、このスマートさが実現されているのだと思う。
その後の物語中盤~終盤にかけても、キャラ同士の会話の中で伝えられるキャラの人物像や、伏線の回収の仕方など、すごいと思われる部分はたくさんあるのだが、如何せん私の経験と知識が少なすぎて、具体的にどうすごいのかが上手く説明できない。
諸君もよかったらこのモンスターズ・インクを観て、何がどうすごいのか私とディスカッションしてほしい。
④ヘラクレス
ギリシャ神話を元にした、セル画(CGじゃない、手書きの、ということ)のディズニー映画である。
冥界の王ハデスの陰謀によって人間界に堕とされた神の子ヘラクレスが、人々の信仰を集めて天界に復帰するために、人助けをして英雄を目指す、というのが大まかなストーリーになる。
この映画は確か、7歳くらいの頃に一度観たことがあった。内容はほとんど覚えていなかったのだが、クライマックスでヘラクレスが、死んだヒロインの魂を連れ戻すために冥界の『死の川』に飛び込むシーンがあって、魂の渦に巻き込まれながらどんどん生気を奪われ老いさらばえていくヘラクレスの姿だけは、19年間頭の片隅に残っていた。
顎が縦に巻くほどイケメンのヘラクレスも魅力的だが、この話はどっちかというと悪役のハデスの方が、親近感があって応援したくなるキャラをしてるような気もする。面白かった。
⑤リトルマーメイド・白雪姫・眠れる森の美女・不思議の国のアリス
言わずと知れた、ディズニー人気作のうちの4作である。あらすじの説明はもはや必要ないだろう。
リトルマーメイド・白雪姫・眠れる森の美女は、原作とそう変わらないストーリー展開をしていた。細かな違いや、絵本にまとまる内容を80分に引き延ばすための挿話などはあったが、大枠は変わらない。
一方アリスの話は、私は原作をちゃんと読んだことがなく、このディズニー映画で初めてアリスの物語に触れたのだが、一言で言うと、わけがわからなかった。
さっきのモンスターズ・インクの話で出した分類で言うと、この不思議の国のアリスは異世界転生系の物語になると思うのだが、異世界からやって来て右も左もわからないアリスに、誰もちゃんとした説明をしてくれないのだ。だから観る人も、不思議の国について何が何だかよくわからないまま、映画を見続けることになる。だからつまらない、という話でなく、そこが面白い、という話である。
不思議の国での出来事は全て幼いアリスの見た夢の物語であるため、『わけがわからない』のも道理のうちであるのだが、それにしたって普通、人は『わけがわからない』映画を80分も観ていられないはずなのだ。モンスターズ・インクのように開始数分である程度わからせてやらないと、観客は「なんかつまんねーな」と離れて行ってしまうはずなのである。
それなのに不思議の国のアリスは、物語の最後まで『わけがわからない』を貫き通し、その上で、1951年の公開から現在に至るまで、世界的に強い人気を誇っている。映画は70年、原作は150年も前の作品のはずなのに、未だに新しく、かつ珍しいのである。
何でだろうか?シーン分けが細かく、今の話のわけがわからないうちに新しいわけのわからない話が飛んでくるのが良いのだろうか?これに関しても、具体的に何がどうすごいのか、私では上手く掴むことが出来ない。ディスカッション相手求む、という感じである。
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