猫のニャッホと井上涼

『猫のニャッホ』というパズルゲームアプリがある。私はこれが大好きなのだ。


↓猫のニャッホ公式サイト

https://niagho.com/


 基本的にスマホのゲームは数独か脱出ゲーム以外ほとんどやらず、パズルゲームはやったとしてあまり長続きしないのだが、この『猫のニャッホ』だけは別である。私はこのゲームをリリース直後から1年以上続けていて、現在クリア済みのステージは1650になる。すごい。1650ものステージをクリアした私もすごいが、1650ステージ用意している運営側もすごい。


 それで、『猫のニャッホ』のどこがそんなに面白いのか、という話だが、まずパズルゲームがメインのアプリなので、パズルが楽しい。しかし私が1650ものステージを、ときには課金すら辞さずにクリアしたのは、パズルが楽しいからというよりも、そのパズルをクリアすることによって手に入る、画像とストーリーが欲しかったからである。


 『猫のニャッホ』という名前から既にお気づきの方もいるかもしれないが、このゲームの主人公であるニャッホは、あの有名な画家フィンセント・ファン・ゴッホをモデルとした、画家の猫なのである。画家が飼っている猫ではなく、猫そのものが画家をやっているのだ。シナリオ中にはニャッホ以外にも、ピカソ、ゴーギャン、ダリ、モネ、葛飾北斎などなど、実在した画家をモデルとした猫のキャラクターがたくさん出てくる。パズルをクリアしてストーリーを進めたり、また時折開催されるイベントに参加したりすると、そういった有名画家たちの代表作に猫が描き込まれた、ゲームオリジナルの画像が手に入るのである。この画像が、とても良いのだ。普段は芸術などとんと分からぬ私であるが、このゲームの絵画は好きである。かわいくて、親しみやすい。ゲーム内で入手した絵画はスマホ本体にもダウンロードできるので、よく待ち受け画面に設定したりして楽しんでいる。


 せっかくなので、大まかなストーリーも説明しよう。


 まず、プレイヤーはニャッホの飼い主であり故人、という設定である。ゲームを開始してすぐ、何の説明もなしにプレイヤー名を入力した次の瞬間、ニャッホの「〇〇(プレイヤー名)さんは星になったニャ……」というセリフで物語が始まるのだ。青天の霹靂とは正にこのことである。


 そして主人公ニャッホは、飼い主が遺したボロ屋敷に住む駆け出しの画家猫である。飼い主が死んでからしばらくの間は自堕落で金にだらしない生活を送っていたのだが、あるとき「お屋敷を元通りキレイにすればご主人様が戻ってくるかもしれない!」と思い立ち(猫なので死の概念を理解していない)、荒れ放題のボロ屋敷を在りし日の状態に戻すために奮闘し始めるのだ。そしてたくさんの絵を描いて売ってを繰り返すうちに、他の色々な画家猫たちと出会い、ほっこり愉快なドタバタストーリーを展開していくのである。ストーリーは基本的には史実に沿ったものではないのものの、時折史実に沿った小ネタが織り交ぜられていたりして、そこがまた面白い。ちなみに現在私が進めている第26章のストーリーは、『政敵の卑劣な罠によって誤認逮捕された仲間の無実を証明するため、組織の代表である主人公自ら事実関係の調査に乗り出した』という感じである。妙に重い上に、話を追っていない人からしたらわけがわからないだろうが、面白いのでぜひやってみてほしい。








 もう1つ、私の好きなものを紹介しよう。井上涼である。好きなものというか人、というかアーティストであるが、私はこの井上涼という人が作ったアニメーション作品が大好きなのだ。私は基本的にグッズを集めない・イベントなどにも行かないという、地位が低い部類のオタクなのだが、井上涼関連作品のグッズやDVDだけはついつい集めてしまい、個展にも可能な限り行っている。それくらい好きなのだ。


 彼の代表作といえば……何だろうか。私からすると大体全部有名に思えるし、実際のところ井上涼という名前を聞いたことがなくても、その作品を見たことはあるという人は多いかもしれない。たとえばこの『赤ずきんと健康』は非常に有名であるはずだ。


↓赤ずきんと健康 英語字幕版 Little Red Riding Hood and Health

http://tanoshimida.com/works/19/




 でも、ここ数年で井上涼といったら、やはり『びじゅチューン!』だろう。


 『びじゅチューン!』とは、Eテレにて水曜夜7:50から放送されている、世界の有名美術作品を題材としたアニメ番組である。この『びじゅチューン!』で、井上涼は作詞・作曲・アニメ・歌すべてを一人で手がけているのだが、これが最高なのである。アニメーション自体も、面白くてかわいくて歌詞も良くて大好きなのだが、Youtubeの動画説明欄やDVD BOOKなどに書いてある制作秘話というか、井上涼がアニメーションの着想を得た経緯のような話も、読んでいてとても面白い。私はこれまで美術作品を前にしても、その作品の「見方」がわからずただただ目を滑らせるだけだったのだが、『びじゅチューン!』を観るようになってからは「これ、びじゅチューン!だったらどういうアニメになるだろう……」という見方で作品を楽しめるようになった。


 おすすめは、正直選べないので76作品すべて貼りたいのだが、そうすると恐らくこのページ自体が重すぎて開かなくなり、紹介もへったくれも無くなってしまうので、比較的新しく、かつ題材が有名なやつを貼っておく。


↓写楽式洗顔『びじゅチューン!』

https://www.nhk.or.jp/d-garage-mov/movie/33-50.html




 また、井上涼は奈良市の観光PR動画(バラバラルルル等)を作っていたり、UHA味覚糖とコラボ動画(サラ毛ぷっちょ)を作っていたり、個展でプロジェクションマッピングのアニメ(マチルダ先輩)を作っていたりするのだが、その中でも一番好きなのがこの『確信』である。私はLGBTでない20代で恋すらしていないので完全に動画のターゲット層から外れたところにいるのだが、それでも作中の「未来が見たかった」というフレーズが胸に食い込んで抜けなくなった。


↓[恋する10代LGBTへ]『確信』 井上涼:やる気あり美

http://tanoshimida.com/works/131/



 最後に、井上涼は時々友人の結婚式のために動画を作っているそうなのだが、その動画がまたハートフルで良いのだ。最近漫画を描きながら、こういう誰かへの「おめでとう」とか「ありがとう」といった気持ちを形にすることができたら素敵だなぁと思うようになったが、本当にできるようになるまで、まだまだ道のりは遠そうである。


↓ハヤシフサイ

http://tanoshimida.com/works/63/

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