寝起き一発ダンブルドア

 最近、目覚めたときに大きく伸びをしながら「ダンブルドアー!」と叫んで起きている。このところの仙台はかなり寒いので、こうでもして弾みをつけてやらないといつまでも布団の中でうだうだしてしまうのだ。「ダンブルドア」は濁音が多いので、こういうときにうってつけなのである。


 それにしても、寒い。まだ10月も半ばであるというのに、朝夜は10℃を下回る。夏は大して涼しくなかったくせに、こんなときだけ東北ぶりやがる仙台…とてもファッキンだ。しかし、空気の感じはまだまだ秋である。湿度はそれほど低くないということだろうか?早朝にチラッと出歩いたりすると、爽やかな気分になって気持ちが良い。


 


 そういえば近頃、スーパーに食料品の買い出しに行く度に、やたら大学生らしき若者たちのグループが散見されるな、と思っていた。このあたりは学生がたくさん住んでいるため、若者が1人で買い物している風景は全く珍しくないのだが、このところは3~5人くらいのグループで和気藹々と、鍋の具的なものを買い漁っているところをよく見かけるのだ。


 まさか…まさかなぁ、と思って気付かぬふりをしていたのだが、楽しそうな会話が聞こえてきてしまったり、スーパー前でデカい鍋を持って歩く学生を見かけてしまったりして、そろそろ認めざるを得なくなってきた。恐らく彼らは、芋煮の準備をしているのだ。


 芋煮とは、青森県を除く東北地方各地で行われる季節行事で、秋に河川敷などの野外にグループで集まり、サトイモを使った鍋料理などを作って食べる行事である(By Wikipedia)。


 この行事自体は前々から知っていたが、田舎の地域交流みたいな、青年会のおっちゃんおばちゃんが主に参加するような、食うものもメンバーも茶色っぽいイベントだと思っていたのだ。まさか他地方で言うところのBBQに相当するメジャーイベントだったとは…。夏、バーベキューに関しては完全にスルーだった近所のスーパーが、9月に入った途端に鍋の貸出を始めたり、店頭で薪を売り始めたりしていたので、怪しいとは思っていた。


 しかしそうなると、東北の人たちはこの時期イベントが目白押しで、とても楽しそうである。夏はバーベキュー、秋の初めは芋煮、そして深まってきた頃にはもはや全国おなじみのイベント、ハロウィンが待ち構えている。


 


 長い学生生活においてあまりパリピる機会のなかったこの私であるが、ハロウィンは好きである。仮装とかパーティーが好きなのではない。ハロウィンの時期になるとたくさん売られるようになる、カボチャのお菓子が好きなのだ。


 私はサツマイモと栗とカボチャが苦手という秋生まれの面汚しみたいな味覚をしているのだが、同時に↑これらのペーストを使用したお菓子は大好きという面倒くさい味覚の持ち主でもある。それ故に、他シーズンにはあまり見ないカボチャのプリンとか、パイとか、アイスとか、そういうのがたくさん出回るハロウィンは結構好きなのだ。


 でもなんだかんだ言って市販品の中に、この私の面倒くさい嗜好についてこられるものは少ない。カボチャのパイだー!と喜んでかじったら、なめらかなカボチャ餡の中にカボチャの角切りが入っていたり(角切り食べられない)、カボチャのプリンだー!とウキウキしながらスプーンを入れたら、上のトッピングのクリームの中にカボチャの角切りが入っている上プリンの中にスポンジが埋まっていたり(なんか好きじゃない)と、何かと波瀾万丈だ。


 だから私は毎年この時期、カボチャとサツマイモのお菓子をちょくちょく自作するようにしていた。タルトとか、パイとか、名前のよく分からないケーキとかだ(カボチャやサツマイモのプリンは乳化剤を使わないと餡部分とプリン液部分で分離してしまうのであまり作らない)。自分で作れば、餡のかたさも甘さもペーストの細かさも私の思い通りになる。


 そこで今年も例年通り、いっちょカボチャのタルトでも作ったるか!と思っていたのだが、材料の買い出しメモを作る段になって1つの問題に気がついた。


カボチャのタルトに限った話ではないのだが、お菓子って基本、一度に大量にできるのだ。私がいつも作っているレシピだと、タルトなら8人分、パイとケーキなら6人分はできる。これまでの人生では、余った分は級友や部活仲間、寮のご近所さんに配れば済んだのだが、今現在私は異郷の地に一人暮らしである。職場にも近所にも友達はいない。


 思いも寄らなかった。友人がいない人間には、お菓子を作ることすら許されないのか。


 まぁ涼しい季節なので、冷蔵庫に入れておいてちょっとずつ食べることもできるのだが、やはりお菓子は作って1,2日までがおいしさの限度だと思うし、あと私は今ダイエット中なので、高エネルギー食品を連続で摂取することはあまり好ましくない(私は無理せずゆっくりと減量するスタイルであるので、ダイエット中にお菓子を作って食べようとすることは何らおかしなことではない)。やはりしばらくはお菓子を作らず、ストイックな食生活を心がけるしかないのか…非常に残念だ。


 


 前回と今回と、かなりソファの上で行うに相応しい、どうでも良い話を繰り広げることができた。次回は先日行われた、会社の新人研修での話をしたいと思う。

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