第78話 水着、どうしよう?

「お兄ちゃんどうしたの? ようやく、降りてきたと思ったら難しい顔して……ご飯、美味しくなかったの?」


「いや、美味しいよ。目玉焼きもハムもちょっと冷えてるけど、美味しいよ」


「じゃあ……なんで、難しい顔してるの?」


「いや、ちょっと……僕って水着持ってたかな~って思って……」


「水着!? もしかして、お兄ちゃん私とプールに行きたいの!?」


「ううん、そういう意味じゃなくて」


「もう、お兄ちゃんの変態さんなんだから。いくら、毎日、暇だからって妹の水着姿を見たいがためにプールに行きたいだなんて~」


(あ、聞いてないな……もう、放っておこう)


「ご馳走さまー」


「まぁ、でも、お兄ちゃんがどうしてもって言うなら私は別に~」



「ふぅ、とりあえず探してみるか……この部屋から探す……荷が重いけど……やるしかないな」


(洗い物も済ませたばっかりで疲れてるけど……高嶺さんと楽しむために……うわぁ、汚なっ!

 自分でも分かってたけど予想以上に汚いな……)


「とりあえず、フィギュアとぬいぐるみを退けてっと……ふぅ、これで、タンスが開けられる」


(……と言って、服なんて全然ないんだけど……普段もジャージで過ごしてるし誰かと出掛けることもないし……そもそも、服に興味自体ないし!

 でも、流石に高嶺さんとこれから出掛けることを考えたら何着かは買っておいた方がいいかな……)


「う~ん、やっぱり、水着なんてどこにも……あ、あった。あったけど……中学校の時に使ってためっちゃ大きいスク水ってのは流石にないよね。オシャレ音痴の僕でも分かる。何より、痩せた僕にはサイズが合わな過ぎる」


(明日買いに行こう。でも、怖いなぁ。店員さんがスッゴく絡んでくる人だったらどうしよう……。

 そうだ……!)



「珠、明日出掛けようと思うんだけどついてくる?」


「えっ、どこ行くの?」


「アリオヤの中にあるモニクロ」


「あの、お兄ちゃんがモニクロ……!?」


「そんな、世界が終わるみたいな顔しなくても……。まぁ、服と水着さえ買えればどこでもいいんだ。でも、人気ショップと言えばモニクロなんでしょ?」


「ま、まぁ、そうだけど……」


「明後日、高嶺さんと出掛けるから服と水着が欲しいんだよ」


「えっ、私とプール行くんじゃなくて高嶺お姉さんと行くの!? 私とじゃないの!?」


「誰も、珠と行くとは言ってないでしょ」


「ぐぬぬぬ……」


「それに、珠はまだ夏休みの宿題残ってるでしょ? もう、夏休みも終わり近くまで過ぎてるんだし、そんなに遊んでたら先生に怒られるでしょ?」


「ぐぬぬぬぬ~……じゃあ、明日もついて行かない! 家に残って宿題してるよ!」


「えっ、そっか……珠、来ないか……」


「宿題してないとダメなんでしょ?」


「うん……」


「なんで、そんなにガッカリしてるの?」


「いや、明日は珠と出掛けたいなって思ってたから……」


「……ズルいよ、そんなに悲しい表情されると断れないじゃん……」


「じゃあ――」


「いいよ。お兄ちゃんとプールに行けないのは残念だけど……明日は二人っきりでデート出来るんだしね! 私がお兄ちゃんに似合うファッション選んであげる!」


「珠ぁ……ありがとう。やっぱり、珠は良い妹だね。大好きだよ」


「私もお兄ちゃんが大好きだよ! むぅぅぅ……」


「抱きつくのは禁止ね」


「……まぁ、良いよ。結果的に撫でてもらえたんだし。それで、明日は何時から行くの?」


「う~ん、昼前でいい?」


「いいよ」


「じゃ、そういうことで」


(よっし……! これで、明日は勝ったぜ!

 明日は――『妹が服を買うのについてきた』っていう程で物色しよう。店員は珠に相手をさせておけばいいし簡単な任務だぜ!)


「お兄ちゃん……なんで、ガッツポーズしてるの?」

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