「チートって何ですか?」――独断と偏見で考えてみた――

烏川 ハル

はじめに

   

 転生チートもの。あなたは好きですか? 嫌いですか?



 ……これが、このエッセイを投稿した時点でのキャッチコピーです。後々変更するかもしれませんが。

 読者の皆様に、問いかける形です。しかし、このエッセイを始めるにあたって、まずは「私はどちらなのか」を示しておきたいと思います。



 どちらかといえば、私は後者です。

 転生チートは、好きではありません。


 ですが。

 私も「転生チートを好む人がたくさんいる」ということは、よくよく理解できます。納得も出来ます。

 しかも。

 私が「好きではない」というのは、あくまでも『チート』の方です。

 異世界転生は嫌いではない。というより、むしろ好きです。

 では、どういう作品が好きで、どういう作品が好きではないのか。もう少し説明させてください。


 元の世界の様々な知識を用いて、無双する……。そんな作品は好きではありません。

 例えば、次から次へと異世界に新しい概念を持ち込んで、その度に異世界人から「わあ、すごい!」と賞賛される……。

 こういう作品を読むと「それは不自然だ」と感じてしまいます。そんなに『次から次へと新しい概念を持ち込む』くらい物知りだったなら、生前も凄い人物であったはずです。

 でも、読んでいて、そうは思えない。そんな雰囲気が伝わってこない。だから『不自然だ』となってしまう。要するに、私個人の感じ方として、納得できなくて楽しめないパターンですね。それに、あまりに成功ばかり続くのも、展開の起伏に乏しく感じてしまいます。


 逆に。

 元の世界のごく一部の知識を用いて、活躍する……。そんな作品は好きです。

 例えば、ミリオタだった人が、その軍事知識を異世界で活かす……。

 この場合の『ミリオタ』というのは、その人の個性ですよね。どんな平凡な人間でも、趣味や特技の一つくらい、あるはずです。そんな人生経験が反映されています。だから「おかしい」とは思いません。納得できます。素直に楽しめます。主人公を応援したくもなります。

 私自身は軍事知識には疎いのですが、でも作品としては好きです。自分が詳しくない分野でも、作品の中でうまく解説してもらえたら「へえ。勉強になるなあ」と思ってしまいます。


 こんなふうに、私の中では「転生チートもの」と「非チートの転生もの」と、線引きがされていたのですが……。

 最近ふと、

「私が好きなタイプ――元の世界のごく一部の知識を用いて活躍する――も、人によっては『転生チートもの』に含めて扱っているのかも……」

 と、考える機会がありました。

 特に、別のサイトで書いている異世界ファンタジー――近々こちらでも投稿開始しようと思っている作品――のキャッチコピーに『チート反対!』という言葉を入れようと思ったところで、

「ちょっと待って!」

 心の中で何かが邪魔をするというか、違う私がストップをかけるというか、とにかく引っ掛かるものがあったのです。

「この作品だって、投稿したら『チートだ! キャッチコピーに偽りあり!』って言われるよ?」


 私の「転生チートもの」「非チートの転生もの」という区別は、あくまでも私個人の見解であって、世間一般の認識とはズレているのかもしれない。

 チート反対派のつもりだった私も、世間から見たら「転生チート大好き」派だったのかもしれない……。


 そんなことを考え始めたら、夜も眠れなくなっちゃいました。地下鉄漫才じゃありませんが。

   

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