第9話 土曜日の朝
私は気だるい気持ちのまま、支度を始める。
顔をわざと冷たい水でバシャバシャ洗ったら、ばっちり目が覚めて気持ちがスッキリした。……はず。
前日の派遣先では執拗に社員に攻撃を受けたが、今日は休みだ。
落ち込んだが、もう終わったことだ。
『おいあの派遣、手が遅えぞ。使えねえなあ』
昨日の現場は文房具の箱詰めをしたりする会社だった。
私は仕事先で言われたことを思い出して、ずっとへこんでた。
……まだ正直引きずってる。
(月曜日も休みになってしまったし)
派遣先の都合で急に仕事がなくなるのはたまにあることだった。だけど、月給で収入が保証をされている訳ではないから、私は休みになるとすごく困るんだ。
多すぎる休みは嬉しくない。
生活を
でも、
気分を切り替えなくちゃ!
せっかくの休み。
わくわくする。
大好きな喫茶店で朝食を食べよう。
喫茶「MOON」に行こう。
人にはそれだけ? と思われるかもしれない。
私の至福の時間だ。
双子のマスターのこだわりの珈琲を、ゆっくりじっくり味わう。
喫茶「MOON」に行くのが楽しみだ。
私はお気に入りのブラウスとジーパン生地のスカートを合わせて、薄い黄緑色のカーディガンを羽織った。
すこぉしだけ瑠衣に言われたことを取り入れて、マルさんに見られても恥ずかしくない程度に自分なりにお洒落をしたつもり。
スニーカーもそろそろ新しいのを買いたいなあ。
正社員を目指して、頑張ろう。
とにもかくにも腹ごしらえだ。
私は、はやる気持ちを抑えきれずにいた。
今日もマルさんに会えるかなあ? と、顔が自然にニヤけて来るのを我慢しながら家を出た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。