第3話 瑠衣からのメール
私は喫茶「MOON」で東雲のおばあちゃんとおしゃべりして、エスプレッソの苦味を楽しみながらマルさんを眺め、心地よい空間に浸っていた。
不意にマナーモードにしている携帯電話がブルッと白のデニムジャケットのポケットで震えた。
「東雲のおばあちゃん。携帯電話を見ても良いですか?」
「はいはい。どうぞ」
おしゃべり相手のおばあちゃんに断りを入れると、私は携帯電話を素早く確認してメールの返信をぱぱっと打ってまたポケットに戻した。
「友達が来ても良いですか?」
「あら? 私がご一緒しても良いのかねえ」
「あっ。良かったら。私の友達も前に話したら『喫茶MOON』とおばあちゃんに興味津々で、是非会いたいって言うんです」
「まあそれは楽しみね」
私の申し出に東雲のおばあちゃんが上品で優しい微笑みで私を見てくれたので、ホッとしていた。
この間うっかり友達の
喫茶「MOON」の美味しい珈琲や料理や双子のマスターたちと東雲のおばあちゃんと仲良くなったことや気になる人が出来たことが、嬉しくて喋りたくなって
私たちはお菓子の問屋のルート配送をしながら、配送が早く終わった日はお菓子の詰め合わせのラッピング包装をしている。
正直言うと私も
私と
甘かった。
再就職先がなかなか決まらないなんて思わなかった。
東雲のおばあちゃんが卵サンドを食べ終え、ブルーマウンテンの珈琲を優雅に飲んでいた。
喫茶「MOON」のドアベルが鳴る。
「いらっしゃいませ」
双子のマスターの
ちょっと
私の格好はいつもの普段着である。『気になる人に会うのにラフ過ぎ!』って
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