第五話 鋭意戦力増強中?
その1 友人が暴走しました
皆さん好き嫌いなく、かつ大食いであった模様だ。
ちょっと多すぎたかなと思う量が確実に減っていく。
「うん、確かにシェラの言う通り、こっちの方が食べ物が美味しい。叔父さん、ひょっとして元料理人?」
「いいや、元は只の事務系公務員。それにこのメニューはレトルトとかインスタントを駆使した感じだぞ」
「この世界の保存食はこんなに美味しいのか」
「癖がないって感じだよね。食べやすい」
「アミュも美味しいと思う」
まあそんな感じだ。
「あと叔父さん、黙ってやって申し訳ありませんが、あのパソコン内に入っていたFX、微妙に注文をかけさせていただきました」
食べながらマリエラちゃんがとんでもない事を言う。
「何だって!」
「限定予知魔法が使えるようになりましたので、半日かからない位で20万円ほど儲かる売買注文をかけさせていただきました。もうすぐどこぞの大統領がツイッターでとんでもない発言をして、一気に新興国通貨が下がる予定です。それを利用して私とジーナの服代を含め、一気に儲けようと思いまして」
なんという事だ。
というか知識を得てすぐそんな事をするとは、何という奴だ。
確かに言っている事はわかるし、きっと言っている通りに儲かるだろうと思うのだけれども。
「マリエラは親に商人根性を叩き込まれていて、儲かる話があると動かずに居られない性格なんです」
「マリエラ、せめてお父さんに一言断ってからやらないと」
「ごめんなさーい。でも反省はしているけれど後悔はしていません、キリッ!」
おいおい。
「まあ損しないんなら別にいいだろう」
「うん、叔父さん、話せる!」
「こら、マリエラ!」
でも確かにある程度未来予知が出来るのならそれを使って稼ぐことも可能だな。
特に生活に苦労していないからその辺は考えなかったけれども。
そうしたら今度はジーナが私の方を向く。
「実は叔父さん、私も折り入って頼みがあります。マリエラが儲けたお金で私にネットが使えるパソコンを買って欲しいんです。これがあるとこの世界の研究が一段と捗る筈です。出来れば安物でいいからプリンタも」
おっと、こっちも暴走するタイプか。
シェラが今まで見た事のない表情で、はあっとため息をついた。
「マリエラもジーナも悪い人では無いんです。むしろ同期の中では信頼出来るし、頭もかなりいい方だと思っています。他の人が複雑な立場の私を敬遠する中でも全く気にせず付き合ってくれましたし、アミュの面倒もよく見てくれますし。
ただそれぞれやや変わっているというか、欲望に忠実というか……」
うんうん、何となくだけれどよくわかった。
こういうタイプの奴、結構いるよな。
「大丈夫だ。別に害はないだろ、なら問題ない」
「いい人見つけたな、シェラ」
ジーナちゃんがそう言うとマリエラちゃんがにやりとする。
「何ならシェラ、お父さんを私に譲って! お父さん、生活費は私がFXの上がりで稼ぎますので、どうぞ宜しくお願い致します」
「出来れば私めも面倒を見て下さいませ」
ジーナが更に悪ノリしてそんな事を。
アミュがひしっ、と私の左腕に抱きついた。
「駄目、これはアミュのお父さん!」
「そうか、アミュちゃんからじゃ奪えないなあ」
何だそりゃ。
それにしてもジーナちゃんもマリエラちゃんも最初から私に遠慮がないな。
言葉遣いは一応気をつけているみたいだけれど。
まあ私もそういった細かい事は気にしないタイプだけれどさ。
皆見ていて可愛いし。
「食べ終わったら取り敢えず国王以下の救出計画を立てて、それからその辺の要望事項に応えよう。それでいいか?」
「そうですね。楽しい未来はそれからという事で」
「おいマリエラ! それは思っても今は言わない!」
「すみません、こんな感じの友人で」
でもシェラも少し楽しそうだしまあいいか。
アミュもマリエラちゃん達と仲が良さそうな感じだし。
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