その2 計画立案&準備中
食後は国王以下救出計画の立案だ。
砦の図面をシェラが描いたので、それを元に検討を開始する。
「配置が以前と同じなら、まず控え室の魔道士を一気に全員で片付けて、あとは各個撃破だね」
「どっちにしろ向こうには気づかれるけれどな。でも現場付近にいる空間系魔道士は全員気絶させる必要がある。そうすれば敵が行動を起こす前にこっちが国王以下を魔法移動出来るだろう」
「国王陛下以下の方々は、どちらで匿えばいいでしょうか」
これを用意しなかったのは前回の反省点だ。
「アトラスティア国内で安心出来る処が無い以上、この世界だな。宿泊施設を借りて、大人しくして貰うしかないだろう」
「あとは議会を招集して、そこで告発させるだけだね。シェラ、国王による議長への議会招集で、急ぎの場合何日かかる?」
「最速で3日です。移動魔法を使える魔道士を酷使する事になりますけれど」
「なら中3日をおいて5日身柄を預かれれば大丈夫だな。でも念の為一週間くらい部屋は押さえて置いた方がいいか」
「救出は何時にしましょうか」
「敵がもしシェラとアミュを再捜索に来るなら、その時がベストだ。魔法移動可能な魔道士が出来るだけ少ない時がいい」
「マリエラ、確か予知魔法が使えるようになったと言っていたな」
「ごめんなさい。私の予知魔法は金銭関係以外には働かないようなの」
「おそらく2日後です。危険予知魔法でここにいた場合の反応がありますから」
そんな感じで話し合った結果、決行は2日後と決定。
「さて、そうと決まればお買い物だよね。服とか食品とか」
「マリエラ、買い物に行く時の服はどうする?」
「空間を少しずらして、他の人に見えないようにすればいいと思うよ。服を買ったら着替えて、そこから普通に動けば」
「なるほど。確かにそうだ」
うーん、知識があるせいかもしれないけれど、シェラ達と比べてアクティブだな。
「わかった。買い物に行こう。でもその前にちょっと時間をくれ。国王以下を匿う場所を予約しておく」
何せ2日後から最低5日、国王以下9人とこっちの5人が泊まるのだ。
ぎりぎりだといざという時困るから、出来れば一週間くらい部屋を押さえたい。
そんな団体さんの予約が果たして取れるだろうか。
私はノートの方のパソコンに向かい、宿泊予約サイトを調べ始める。
「なら私達はその間魔法の訓練をしようかな。叔父さんが使っているらしいアイテムボックス魔法、使えると便利だしね」
「そう言えばシェラも完全なアイテムボックス魔法は使えないって言っていた。叔父さんはどうやってイメージしているんだろう」
そんな台詞が聞こえたので自分なりの魔法のイメージを確かめる。
手はマウスとキーボードを操作したままだ。
「自分のいる空間のすぐ横に閉じた別空間を作って、そこに物を入れている感じだな。その空間内は無限で閉じた時間の無い空間だから、多少の大物も気にせず入るし物も腐らない。空間内の4軸目を少しずつ替えて物を入れれば個別に取り出すのも簡単だ」
2人はうーん、という顔をして考え込んでいる様子。
魔法を起動させるイメージを練っているようだ。
「……難しいね。ジーナはイメージ出来る」
「ちょっと待ってくれ。うーん、多分出来ると思うけれど、ちょっと別空間の形を確認してから。素直に広がっていないようだからさ」
「私だと時間停止無しで、何でも運べるけれど整理整頓出来ない物置みたいなものになるの。それはそれで使えるけれど」
「それは私も同じです」
「まあこのままでも便利だしいっか」
シェラ達だけの時に比べて賑やかになったな。
それにシェラが今までより大分明るくなった気もする。
しかし自分の家だと思えないな、何か。
下手すれば孫世代の女の子が家に居るなんて想像もしなかった。
まあ若い女の子と言っても孫世代、中学生とそれ以下だから変な気は起こさない。
本当に厳密に全く変な気をおこさないか、そう言われると微妙に弱いけれど。
取り敢えずはシェラ達が落ち着いて、幸せな生活が出来ればいい。
その為にも色々片付けなければならないのだろうけれど。
1時間と15分経過後。
予約サイトやら電話直接やら駆使して、何とか宿の目安がついたのが午後4時。
「よし、やっと買い物ですね!」
「楽しみだ」
「アミュも!」
皆さん目をキラキラさせている。
「ただ私の車は本来4人乗りだから、後席ちょい狭いけれど我慢してくれ」
「魔法移動を使いまくれば?」
「この世界を監視している敵がいるとまずい」
「あ、そうか」
マリエラとジーナの2人で自己解決した模様だ。
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