マイ フィロソフィ 2 アタタカイヤミ

サマエル3151

第1話 1−1

アタタカイヤミ 


                              サマエル



1章 初めての友達。




 冬が終わりつつある。僕は校庭の中庭を佇みながらそう思う。少しずつ冬の寒さが和らいできた。しかし、僕の中の冬は終わる気配は見せない。

 僕の名は笹原一樹。高一の普通の男子学生だ。もっとも、あと一ヶ月で高2になる。だけど、僕は将来に対して何も期待を持っていなかった。

 僕は中学の時、不登校を経験したことがある。そのときは東京にいた。そこでドロップアウトして、叔父のいる岡山に来たのだ。

そのときは少しは期待していた。友達ができるのではないかと、しかし、そんなことはなかった。何も、できなかった。

 今、僕は高2になろうとしている。今度こそは友達を作らなければならないが、どうやって作るのかがわからない。とりあえず、声をかけるしか思いつかない。

 そんなことを考えながら僕は立ち尽くした。春の陽気にはなじめない自分を残して。




 キーンコーンカーンコーン。

 お昼のチャイムが鳴った。授業が終了すると、クラスは蟻のように混雑そうに見えて、実際には目的に沿った動きで塊を作った。

「金田、一緒に食べようぜ」

「玲奈ちゃ〜ん、一緒に食べよう」

「お、額田、今日は唐揚げか!いいな、うらやましい」

「美春はきんぴらゴボウか〜。栄養がとれそうな料理だね」

「いや〜。これは昨日の夕食の残りだよ〜」

 蟻達は楽しそうに談笑している。そんな蟻達に比べて僕破壊だった。回は一人で海底の底に沈むしかない。僕は海の孤独を感じながら海の底に沈殿した。




 放課後。授業が終わってマーガレットの花を咲かせていた。僕自身はそんな花を咲かせられない。咲かせる相手がいない。だから、僕は一人で帰り支度をしているときに、一つの大きな笑い声が聞こえた。

「ええー!ウソだー!そんなことないよぉ〜。加々美ちゃん。あの櫛枝先輩が彼と付き合っていたなんてー!!」

 大きな声を発している、少女がいた。彼女は口を大きく開け、好奇心の瞳をきらきらさせながら同級生と話していた。

 彼女の名は寺島美春。大きな瞳とふっくらした頬。美人だけど、きれい系と言うよりどこか親しみやすそうな美人。瀬野校の女子高生だ。彼女についてわかってることはそのすごく明るい性格で学園のみんなから愛されていることと、成績がいつも上位にいること、そして、すごくきれいな女の子であることだ。

 もう、ここまで行けば、ライトノベルやゲームとかでよく言われている、学園のアイドルというものが彼女にぴったり合ってくる。

 僕はその子を見つめていた。いつも隅っこで陰気な表情をしている僕にとってみれば彼女はまぶしかった。

 日の当たる若木が萌える場所と梅雨のような暗くしめった場所は交わることはない。

 僕は寺島さんを見たあと、その場を離れた。




「ただいま」

 僕は家に帰ってきた。といっても今はまだ誰も帰っていないが。

 僕がおじさんのところに来たといったのは前に言ったとおりだ。おじさんの名は小城和也さん。その妻が小城康子さんだ。

 僕はその夫妻にお世話になっている。それで、今家にいるのは僕一人だ。おじさんは勤め先に行っているし、康子さんはパートをしているため今家に人はいないのだ。

 僕は自分の部屋に行って、aikoの音楽をいくらか聴いたあと、勉強を始めた。勉強は去年の春にちょっといざこざがあったし、僕自身今の成績だと赤点をとるぎりぎりなラインをいつも渡っているので、家にいるときほとんど勉強をしている。

 しかし、どれだけやってもいつも赤点をとるぎりぎりなラインを通ってる。その理由は僕自身、授業についていけてないからだ。

 だから、家に帰ったら勉強をしているのだ。ただ、それでもついていけれないことが多いのだが…………。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る