素敵な誕生日
勝利だギューちゃん
第1話
夜
俺は公園の掃除をしている。
誰にも頼まれていない。
自分で勝手にやっている。
季節は春。
この公園は、桜で満開になる。
当然、花見客でごったがえす。
それはいい。
お祭り好きなのは、日本人の特権。
まあ、日本人に限らんが・・・
でも、ゴミを持を持ちかえらない人が多い。
「ゴミを片づけるのを仕事としている人がいるからいい」
得てしてこう言う考えの人間が、幸せになるものだ・・・
別にいいこぶるわけではないが、俺は我慢ならない。
なので、こうしてゴミを片づけている。
なるべく分別はしているが、やはり限界はあるので、そこは勘弁・・・
「完全に偽善者だな」
心の中でそう思う。
「誰も思わないよ」
「えっ」
どこからか声がする。
「誰も君を偽善者だなんて、思わない」
えっ、どこ?
「探しても無駄よ。君には見えない」
「えっ?」
「君たちの言葉でいうテレパシーで、話している」
何者だ?
「君の周りにたくさにるわよ」
えっ、もしかして、桜の木?
「ピンポーン」
「桜がしゃべれるの?」
「知らないの?植物には心があるんだよ」
それは、聞いたことがあるが・・・
「私たちだけは知っているから、君の事を」
「でも、僕のしたことは、誰かの手柄になる。
まあ、手柄がほしくてやっていないからいいんだけどね」
「なら、どうしてやるの?」
僕は、桜の木を見上げる。
「君たちが好きだから」
「ありがとう。じゃあ、君だけに特別サービス」
「サービス?」
何をする気だ?
体が浮上する。
えっ、何?
あるところで、体が止まる。
「さあ、みんな彼のために唄うよ」
桜の花が風になびく。
「はい」という、返事のようだ。
すると、桜の木の歌声が聴こえた。
僕は、「さくら、さくら」かと思っていたが・・・
流れてきた曲、これは確か・・・
「ハッピーバースデー」
「今日は、君の誕生日でしょ?」
「どうしてそれを?」
「言わなかった?私たちには心があるんだよ」
とても、温かい心がした。
「君は、お祝いしてくれる友達がいないでしょ?」
「うるさい」
前言撤回。
かなり冷たい。
「ごめんごめん。でも、私たちは君が大好きだよ」
「そりゃ、どうも」
あれっちょっと待て・・・
この声は確か?
「隠れてないで、出てこい。そこにいるんだろ?」
すると、木の陰から、クラスの女の子が出てきた。
「やはり、わかった?」
「わかるわい」
この女子は、クラスの女の子で、佐久良真彩という。
エスパーの女の子だ。
植物とも会話出来る。
「君の事見てたよ」
「ストーカーか?」
「違うよ。この子たちに聞いたんだ」
「そうですか・・・」
不思議な子だ。
「ところで、そろそろ下に下ろしてくないか?」
「だめ。まだ歌は続いているわ」
「いつまで歌う気だ」
「朝まで」
「殺す気か?」
真彩は、笑っているだけだった。
でも、悪い気がしない。
「今日の事は。秘密だよ」
言っても信じないので、話す気はない。
でも、素敵な誕生日だ。
みんな、ありがとう。
素敵な誕生日 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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