エピローグ
君の想いは知っていた。でも、弟みたいに接するしかなかった。
「星ノ華、いいのか?」
「いいの。けじめはいずれつけようと思っていたもの」
「あいつ、多分、来ないな」
「そうだね」
煌也との式は東京のホテルで挙げることにした。弟にも祝ってほしいけれど、無理強いはしたくない。それは偽善で、傷つける行為なのは百も承知だけれど、わたしなりのけじめ。
「ねえ、煌也」
「ん?」
可愛い弟のような昴は、黒いスーツに変装した兄貴分の煌也に、どのタイミングで気づいただろう。
「いい曲だね」
いつの間にか声も低くなって、背も伸びて。遠くからだけれど、少年の面影はなくなった。弟は、男になった。
「ばーか」
「何よ」
「無理して笑うな。幸せになるんだろう?いいんだよ。幸せに、誰かの不幸はつきものだ。あいつを男にしたのは、お前だよ。星ノ華」
ごめんね、昴。君のことは大好きだけど、やっぱり煌也の隣は心地がいい。
「なら、いいね。幸せにしてもらお!何年も会えなかった、煌也に。坂本姓を名乗る煌也に」
「言ったな?」
「言ったよ?」
君の姉を退いた、新しい日々が始まる。
Fin.
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