倉庫

神納木 ミナミ

第1話 設定・構想・殴り書き保存

 華やかな観光地でもあり、ITベンチャー始まりの地でもあり、(

   )でもある、サンエスペランサの町並みとは打って変わって、世紀末を思わせる寂しい通りの一角に、エスメラルダとマークは佇んでいた。


 車を停めて二人は、指定された路地へと足を踏み込んだ。

 薄汚れたシャッター、派手な色のラッカースプレーで描かれた巨大なアルファベットなどが地区の寂れた様子を強調していた。


 マークは不安な様子を隠しきれない様子だが、エスメラルダは周囲の退廃に心を飲まれるような事はなかった。予想外の形で、親友を止めるチャンスができたのだ。マークはエスメラルダの先に立ってゆっくりと歩き始めた。彼の踏みしめる一歩に恐怖と使命感がせめぎ合い、その歩みを遅めているのがわかる。エスメラルダはそれを焦れったく思った。


 テューダは人の恨みに憑かれている。不信がより、深い不信を呼び、彼女を死地へと追い込んでゆく。彼女の魔法の前には拳銃を持った大人達が立ちはだかる。これでは、死ぬまで殺し合いが続くだけだ。


 幼い頃からのつきあいで、同じ悩み(魔法)も共有している親友は自分を置き去りにして、暗黒の中へと走り去ってしまった。二人で協力すれば、解決できる事もあるだろうに。


(やっぱり、あの時の行動がまずかったんだ)


 養父の命を奪おうとするテューダに向けて、生まれて始めて撃った銃弾が彼女の肩を撃ち抜いた。肩越しに振り返った彼女の両目は桃色に充血し、(    )の形相でエスメラルダを射抜いた。銃弾が信頼をも撃ち抜いてしまった瞬間だった。


(私のせいだ。だが、あの時はああするしかなかった、どうすれば信頼を取り戻せるのだろう?)


「怖いのか?」


 考えに没頭しきっていたらしい。遅々とした歩みであるはずのマークが五メートル先で振り返って声をかけてきた。エスメラルダは早足で彼に駆け寄った。


「いえ、少し考え事を」


「のんびりしていたら、撃たれるぞ」


「心配ありませんよ、私が先を行きましょうか?」


 マークはあまりに落ち着いた対応を怪訝に思っているらしい。エスメラルダにとってはFBIの協力を得られなかった事に比べれば大した事はない。ここで信頼を得られれば、FBIや警察の中から魔法使いに対する不信を取り除ける。魔法の力のおかげもあるが、持ち前の負けん気がエスメラルダの恐怖心を抑えている。


「肝が据わっているんだな」

「魔法のおかげです。じゃなければ、恐怖で竦んで動けない」

「羨ましいな、私は怖いよ。自分のこともそうだが、相棒の命もかかっている。これからの判断一つで取り返しのつかない事になりえる」

「打ち合わせをしておきましょう。



「君はシルヴィアの事は知らないだろう?」

「変装が得意なブロンド髪の彼女でしょう? ハリウッド女優、若い頃のグィネスパルトローをさらに綺麗にした感じの」

「変装が得意って・・・・・・・」

「歩き方、しゃべり方、他にもちょっとした癖、突飛な質問に対して目を左右に素早く動かした後、話をするとか。胸が大きいので走りづらそうにしているのも特徴ですかね。後は長身なので変装できる種類も限られる。外見は違うけど、同じ人だってわかります」


 マークは舌を巻いた。シルヴィアは標的に接近して、気づかれなかったと喜んでいたが、エスメラルダには見抜かれていたのだ。FBIにも彼女の変装について甘い点がいくつか指摘されていたが、彼女が口にした内容とほとんど違わなかった。素人相手だからと、シルヴィアをエスメラルダの元へ送った支部長やマークの考えは甘かったと思った。



「まぁ、銃を持った人間が五人ならなんとかなりそうです」



「君を観察していたが、銃は持たない方がいい」


「何故です?」




















 二人の前方に聳える廃ビルから、ピンク色の煙が立ち上るのを見た。

 銃声と、人の悲鳴が冷えた闇の中をあちこちに飛んでいた。


 エスメラルダとマークは駆け足で、廃ビルへと向かった。


 舞台:サンフランシスコ



 物語の冒頭を変更する。異常な事が起こっている最中の描写に変え、FBIの職員が数名死ぬ。それを遠くから眺めるシルヴィアかマークに変える。(この時点で、テューダが読んだ殺人鬼は街の中へととけ込んでいる)



 主人公エスメラルダがFBIと接触し、助力を得る(自然な流れに)


 もう一人の主人公格のテューダは物語の核となる部分をある程度は掴んでいる状態。目的達成のためにあらゆる汚い仕事に手を染める。彼女はとある人物と取引をするためにサンフランシスコの某所を訪れている。


 テューダは魔法に関する情報を集めているが、核心を得るために接触すべき人物は既に死んでいた。自分と同じ魔法使いである男は死人と話をすることができるという。すがる思いで取引を持ちかけ、成功するが、情報源は逃げだし、サンフランシスコの街に消えた。(前日譚にするか、進行形にするか)


 情報源は過去の迷宮入りの猟奇事件の犯人とされている。

 頭が良く、事件そのものの目的や手口は明らかにされないまま、主犯の遺体だけが発見される。事件は解決したが、はっきりとした目的の解明は成されなかった。テューダは蘇らせたこの情報源(男)を見つけだし、情報を聞き出さなければならない。FBI捜査官のシルヴィアは情報源の男に拉致された経験があり、運よく助かった過去がある。テューダは彼女から情報源の手口や彼に関して知っている限りの事を聞き出そうとするが、失敗に終わる。テューダは不摂生がたたり、体が不調である。少女に面倒をみられている状態だが・・・・・・。


 エスメラルダはテューダに逃げられ、シルヴィアを救出する事もできなかった。形跡も完全に見失い、FBIに入る事も拒否され、途方に暮れていた所、FBI捜査官マークの協力者にならないかと誘いを受ける。街には四年前を彷彿とさせる猟奇事件が起きていて、現場にテューダが身につけていたアクセサリーが残されていた事から彼女のしわざだという事になっている。事件を追えばテューダにたどり着けると信じ、行動する。


(プロットポイント1)

 事件の核心にたどり着いた時、主人公二人は相対する事になる。

 エスメラルダは事件を解決に導くが、テューダには敗北し、逃げられる。彼女を追って故郷へ帰る事になる。テューダは自分の養父の命を奪おうとしているらしい事を知る。次は負けるわけにはいかないが、親友と親とを天秤にかけつつ、どちらにも未練がある。


part2 終わり


part3


 帰郷したエスメラルダは変わり果てた故郷に愕然とする。自身と故郷に訪れるべくして訪れた悲劇を知る。



-----------------------------------------------------

 構成:エスメラルダは何も知らず、友人の暴挙を止める事が目的。友人を追っていく内に、魔法の事や、故郷に訪れる悲劇の事、自身の過去と向き合う事になる。テューダには明確な目的があり、それを手にするために行動する。それが何なのかははっきりさせない。エスメラルダの視点を通して内容を記述する。


 ストーリー:呪いにかけられた(魔法使い)二人の女性に関する物語で、それ以上の何でもない。この二人を軸にストーリーを展開させる。一人は希望をもって行動しているが、もう一人はある程度の事実を把握していてどうにもならない事を自覚している。主人公エスメラルダの葛藤、壁は無知ゆえの希望が揺らいでしまうぐらいの現実で、テューダを追えば追うほどその現実は覆し難いものである事を知るが、持ち前の粘り強さと負けん気の強さで乗り越えていく。最後に、どうしようもならない現実を前に前進するためのニ択を迫られる。親友を救い、共に逃れるか、彼女を敵に回し世間にとけ込むのか。


 


-----書くために、意識すべきポイント


 魔法に関して、持っている能力差が激しく、主人公二人の自身の能力に対する認識が違う。


 前回と違って、武器や所属組織に関して素人のエスメラルダは他人の力を借りて難局を乗り切る事が多くなる。


 強い力を持ってはいるが、他人や武器の力を借りないと戦えない。でも、おいしい所で活躍させるための底力はある。


 後半になると武器の扱いにも手慣れ、魔法の力にも馴染んでくる。前回は強い力と組織力を制限するための状況設定が必要だったが、現在の話にはそういう配慮は必要ない(未熟な状態であるため)。日本でもないため、銃器を使用するための制限も特にはないはずだが、よく調べておく。


 海外で現実に近い話ではあるが、もとより荒唐無稽な設定なのでファンタジー色を強める。常識は現実に依存する。


 作中での「魂」の概念をはっきりとさせる。物語の中では「死後の世界」が存在する事を描写できないと、ご都合主義になってしまう。


 ※コンプライアンスに関してはカクヨム、小説家になろう「R15指定」に沿ってそれを守る。銃撃や人体欠損、出血や薬の表現はクリアしていた。(学生は登場させず、主人公は二十歳以上、登場人物の扱いにも気をつける)


 ジャンルも「ホラー」にして残酷描写をクリアする。


---------------


2019年 修正案


 サンフランシスコ → サンエスペランサ


 どのフィクションものを見ても実名を挙げている作品もあるにはあるが、例えばGTAのような刺激の強い作品、表現に賛否両論あるようなものは意図的に地名を変えている(恐らくトラブルを避けるため、日本、米、英国に限らず)


 構成 一部、二部  それぞれ三幕構成


一部 サンエスペランサの殺人事件に片がつくまで


 ① 登場人物のバックボーンと邂逅


   ギャングの話し合いの場に踏み込む

   そこから主要人物散る


 ○エスメラルダ

  マーク(途中離脱) → ルーパート(ネクロマンサー)


 ○テューダ

  シルヴィア



 殺人鬼を中心に話を回す。

 魔法の概念、役割、効果(副作用込み)

 ルーパートは全てを知っているので魔法に関するメンター的役割。未熟 なエスメラルダを魔法以外もサポートするが、彼自身にも欠陥はあり、エスメラルダとのコンビを通して課題になる。


 登場人物は全員、何らかのトラウマや人格上の欠陥、人生の課題を抱えている。唯一、エスメラルダのみが何も自覚していない段階。物語が進むごとにその課題が浮き彫りになり、彼女にとっての乗り越えるべき壁となって立ちはだかる。


 エスメラルダは基本スペックは高いが、魔法の力に振り回され、周囲の環境とのズレがある。負けん気の強さと諦め嫌いの人間性で粘り強く課題にあたる。ルーパートが嫌い。行動が裏目に出る。


 殺人鬼も現世に戻り、限られた命で達成しなければならない課題がある。それはエスメラルダ達にとっての驚異になる。


 エスメラルダはテューダを止めるのが大目標だが、彼女を追うには殺人鬼を追う必要がある。

 テューダは殺人鬼が持つ情報に用がある。彼女は強すぎるので、作中で弱っていく描写が必要。シルヴィアがそれの介護役をしつつ、テューダの中の善性を見いだしていく。


 主役二人を通して、客観的にお互いへの尊敬の念を描く事ができる。

 心理学的にも他人から聞く他人の評価は大きな影響を持つ。演出効果は大きい。



 殺人鬼は主要人物二グループを出し抜けるだけの力が必要。



 殺人鬼絡みのサンエスペランサの話を収束させるまでを目標にする。

 二部でルーパートは死亡する(確定)。過程は未定。

 テューダは殺人鬼の影響を受けている。


 ルーパートの魔法で霊魂なるものの存在は周知の事実となっているので、悲しくないような気もするが、エスメラルダの心情吐露でカバーする。


ー駄目

(側にいるのは間違いないが、いや、彼は呪縛が解けてどこかで自由を満喫しているのかもしれない。本当の所はわからない。声をかけても声も温もりも感情も返って来ないのでは例え霊魂なるものが存在する事がわかっていても寂しい。何を思っても一人で踊っているに過ぎないのだと思った。彼を理解していると信じるには、共有する時間が短すぎた。『何もかもが中途で、それが悔しく、寂しかった。』(蛇足か? 全体を短くまとめる)



エスメラルダは彼女の中にいる幻影に向けて願望を放っているにすぎない。彼女の中で思い出が一巡した後、彼の痕跡が途中で消えた。それから何度も思い出の中をベストな解答を必死に探しまわり、痕跡の続きを期待したが、何も現れなかった。



ー使う

 部屋の中で暖炉の火だけが赤く強く燃えていた。人の形をした影が二つ、寄り添っていた。一つの影が沈んだ後、部屋の中には女の泣き声だけが満ちた。再び小さな人影が立ち上がるまでに炎はその力をほぼ失いかけていた。)

 



 ※ 一部だけで膨大なテキスト量になるかもしれない。気にせず、書く。どっかに出すなら大幅なカットは後にすればいい。推敲はもちろんやる。



---------------------------------------------

二〇一九年1/7(月)


 ○懸念点であった同じ主人公の話なんか二度書いてもいいものか? といった問題は、海外文学ならシリーズものが二一作以上あったり、ラノベでもシリーズものはあるので気にしないでいい。(そんなものはあまりに多すぎて例をあげればキリがないぐらいだ)

 むしろ、失敗したので、なかった事にして全て洗練し直してもいい。変な設定も修正するが、基本的なパーソナリティ、能力は踏襲する。


 締め切りはガガガ文庫募集終了まで

 他に妙な設定の話でも受け入れてくれそうな所を探す。

 いろんな所に出す。(違う話を)


 ○結果待ちまで一年後になる。

  そんな頃まで無職やるわけにはいかないので、一月中に就活を始める。一、二度東京へ行く。駅メモがあるので、遠征モチベーションは上がる。帰りは青春18切符で鈍行行脚。恐らく決まらないので、後は大阪か香川県で探す。


 ○英語


 ○文体、表現を簡略化する訓練。

(手本にすべき著者を探す、数名心当たりあり。独自のものを目指す)


 ○女性が主人公だが、あまり知らない部分で背伸びは避ける。例えば生理的な問題(トイレや化粧、その他身の回り)はわからないので、友達に聞いてもいいけど、聞きづらいのでそこらは避ける。純文学じゃないのでそんなところにわざわざ触れる必要もない。


「エスメラルダは本当に、僕の事が嫌いなんだな」

「私の嫌いなものが、あんたに集約されてるって感じ。幽霊とか苦手だし、あんたそういうの使うし」

「それは・・・・・・どうも」


「私、そういう目する男の人が嫌」

「・・・・・・世の中を舐めているから?」

「諦めたような目、何もかもを。何考えて生きているのか分からないところも」

「死んだ友達が、そんな感じの目してた。辛かった、頭にも来るし」

「相手の感情に流されてほったらかしにしてたら、私の知らない所で変な事になってて、気付いたら手遅れになっていて・・・・・・」

「僕は大丈夫」

「友達も同じ事言ってた。私、諦めるの嫌い。諦める人を見るのも嫌い」

「仕方ない事もあるよ」

「私と一緒に行動する間は、そーいう顔はさせない

 後のことは知らないけど。」


「君といると疲れる」



※シルヴィアはFBI→CIA 変更


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る