第172話 レイノアールは見ていた5
とうとうあの3人の男たちが8階層についてしまった。6階層と7階層はやはり男達には簡単だったみたいだ。でも私には今足止めをする力が足りないのだからしかたがない。後はこのまま見守るしか…
男達が魔物を倒しながらあたりをうろつく。ボスがまだどれなのかがわからないみたいで見つかっていない。似たような大きな草も生えているので多少カモフラージュになっているのかもしれない。でも見つかるのは時間の問題だろう。魔物を倒しても倒してもボスに当たらないとなると今度は他へと目が自然と向くものだ。
「…っち」
「おいおいイラつくなよ…」
「なあここって10階層までだよな?」
「確かそうだが…」
「ならなんで中々見つからないんだよっ」
「んなこと言われたってしるわけねぇーだろうが」
「あー早く楽してぇ~」
「同意」
「いくら請求するよ」
「そうだな…取れるぎりぎりまで??」
「ぶっふぁ…っ おま、それで全然大切にされてなくて金取れなかったらどうするんだよ!」
「ん~じゃあいっそのこと先に始末しておくか??」
「…それもありだな」
ひどい会話が続いている。今までさんざんこの男たちの会話は聞かされてきたからわかるんだけど、どうやらあのファーナって子の親に理由を付けてお金を出させようってことみたい。しかも始末ってことは…あの人に危険が及ぶかもしれないってこと。絶対仲間の危険を放置はしないだろう。足止めが出来ないことにいら立ちを覚える。
「お、これボスじゃね?」
「どれどれ」
「あー綺麗に埋まってるな…」
「なんで埋まってるんだよっ」
「あーだる…」
「まあまあ、ちゃっちゃと片付けるよ」
「うぇ~~い」
ボスが見つかってしまった。まだどうやって倒すか決めてないみたいだけど…手段は限られてくる。まずは地面から出すこと。そして大きくて分厚いからだを貫けるほどの威力の攻撃かダメージを重ねてバラバラにしてしまえばいい。高威力の魔法が使えるのなら燃やすのも手だけども、この男たちは魔法系ではない。
「『パワーブースト』『パワーブースト』『パワーブースト』…っと」
「一気に行くぜ!!」
「おうよっ」
信じられない…力技で引き抜いてしまった…どうしよう。3人はあっという間にボスを倒してしまった。無造作に宝箱から中身を取り出しさっさとしまってついに9階層へと…まだあの人達は9階層に入って進み始めたばかりだというのにっ かち合ってしまうっ 足止めが出来ない! 助けられないっ
「見~つけた…」
にやにやと笑う男達の視線の先にはあの人たちがいた。まだ男たちが来たことに気が付いていない。お願い早く逃げて…!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます