第170話 9階層攻略開始

 9階層入り口。目の前には火で出来た壁がある。次の日まだ解決策がないままみんなここに集まっていた。地図を確認するとこの先に道があることが少しだけ表示されていることからこの火の壁を何とかしないといけないことだけははっきりしている。


「水で消してもすぐ復帰しちゃうんだよな~」

「じゃあこの火が出ているところを凍らせて見る?」


 そういえばミネが魔法『フローズン』を覚えたんだっけ。


「試すだけやってみよう」

「わかったわ」


 ミネが魔法の詠唱を始めると周辺の気温が下がってきたのか気持ち寒く感じる。目の前の火で感じていた熱さがわからなくなった程度だ。


「…フローズン!」


 詠唱を終えたミネの魔法が火が出ている箇所へとぶつかる。その火が出ていたと思われる穴を塞ぐかのように周辺が固まり凍り付いていく。


「お…」


 …がそれも長く続かず、氷にヒビが入りあっという間にまた火が吹き出してしまった。水より少しだけ長く火を止められただけに終わった。その様子を覗き込んでいた健太の前髪が少し焦げ、髪の毛が燃える匂いが漂ってきて少し臭い。


「ぎゃあーーー前髪が~~っ」

「あほだな」

「バカね」

「凍らせてもだめだね~」

「うーん…ちょっといい??」


 そんな健太の様子をからかっているとファーナさんがおずおずと手を挙げてきた。何か気になったことでもあるんだろうか?


「これ罠だよ…だから解除しないと簡単に先へいけないみたい」

「罠…?」


 罠の存在をすっかり忘れていた。


「あーそっかファーナさんのスキルか~」

「そう『罠発見』。罠があるかどうかくらいしかわからないスキルだけどね」


 つまりそのスキルがこれが罠だと言っているわけだ。じゃあ同じくファーナさんのスキル『罠解除』で突破できるってことじゃないか。


「解除は出来る?」

「出来ないことはないと思うけど、100%解除は出来ないみたい」

「なんで!? 意味ないじゃんっ」

「えーと成功率ってのがあって、1回で解除出来るかわからないってくらいかな」


 なるほど…時間かければ解除は出来るってことだな。スキルだから消費は体力。減った体力を回復してあげればいいってことだろう。


「私が、回復する、ね?」

「うん、リノお願い」

「…『罠解除』」


 ファーナさんの『罠解除』が始まった。連続してスキルを使い体力がなくなるたびミネが回復をする。すでに2回目の回復を行ったがまだ解除されずファーナさんのスキル使用が続いていた。


「『罠解除』…あっ」


 3回目の回復が必要になるかと思われたところで目の前の火が消えた。どうやら罠が解除されたみたいだ。


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