第162話 マンドラゴラ

「アアアアアアアアアアアア~~~~~~~ネムイッ」

「スライムスライムスライムスライムスライムスライム!!!」

「ダンジョントカファンタジートカマモノニマホウ…ヤベェ、オレイキテル!!!」

「ファーナサンッテオヤツタベテルトキシアワセソウデカワイイヨナッ」

「オヲヲヲヲオヲヲヲヲヲヲヲオヲヲヲヲヲオヲヲヲヲーーー!! サケビタカッタダケトカイッタラオコラレル!!!」


 一斉に土から出たマンドラゴラ達が好き放題叫び始めた。たくさんの言葉を大音量で聞くとすごい頭が痛くなってくる。


「ギャアアアアアアアアアアアアアアアーー!! パタリ…シンダフリ!」

「ヤベーーーカダイオワッテネェーーーーーーーー!!!」


 マントの効果やばいだろう。さすがにうるさくてかなわん。俺たちは耳を塞ぎその場でうずくまる。


「健太…マントをっ」


 もちろん俺の声が聞こえるはずもなく健太も耳を塞いでうずくまっている。これでは他の魔物が来てしまったらただではすまないだろう。

 そんなうるさい状態が突然ふっと静かになった。恐る恐る俺は手を耳から離してマンドラゴラの方を見ると水分が抜けてしおしおにしぼんだマンドラゴラが倒れていた。もしかすると叫び終えて水分で抜けてしまったのかもしれない。まだ生きているようでぴくぴくと動いている。

 声が聞こえなくなったことに気が付いた俺たちは倒れていたマンドラゴラを倒した。あまり倒したという気はしない。


「……」

「うう…」

「はぁ…」


 むしろさっきので疲れてすらいる。


「危険はない…ね」

「うん…疲れるのよね」

「なんであいつらしゃべるの…しかも抜いた相手の言葉に聞こえるんだけど?」

「知らないわよっ とりあえずマント外してよ!」


 ここまでマントでマンドラゴラが叫ぶと思っていなかったミネは健太に詰め寄りマントをしまわせている。


「これはマンドラゴラ無視した方がいいかな」

「無理、だと思う。だって、ほら…」


 リノが指をさした方を見ると別の魔物がまさに今マンドラゴラへとかぶりついた。


「クサウメエエエエエエエエエエエエエエエエエエ~~~!!」


 引き抜かれたマンドラゴラが叫ぶとそのまますぐに食べられてしまう。どうやらマンドラゴラを主食としている別の魔物もいたいみたいだ。その魔物はネズミのように鋭い歯を持ち、毛でおおわれた丸い体で白黒のブチ模様をしており、大きさはバスケットボールくらいだろうか…形はネズミみたいなのに牛みたいな模様な体でなんだか変な魔物だ。まあ魔物に変も何もないか。


「あの変なのは倒さないとまずいな」


 俺たちはうなずきあいあの変な魔物へ向かって走り出すのだった。

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