第161話 8階層探索開始
今日から8階層の探索に入る。俺たちは8階層で合流するとまずは慎重に行動を開始した。
8階層はどうやらまた森林のようなダンジョンで、草木が生えまくっている。3階層のときのように木々で通路が仕切られていることはないみたいなんだが、逆にこのほうが難しく感じる。
地図を確認しながら移動した箇所を眺めると作りとしては2階層見たいな感じだろうか。特に目印のようなものが地図には表示されていない。
「よっすー そろそろマントつけていいか?」
リュックからちらちらと茶色いマントを出したり引っ込めたりしている。確かこの階層のマンドラゴラを呼ぶマントなんだが…
「なあ健太、マンドラゴラってあのマンドラゴラだと思うか?」
「あのも何も俺はそれ以外は知らんが…他にもいるのか?」
俺と健太は顔を見合わせ首を傾げる。俺たちが言っているのはよくゲームやファンタジーなどで聞いたことがあるマンドラゴラのことで、引っこ抜くと悲鳴を上げその声を聞いたものを死に至らしめるというやつのことだ。
「マンドラゴラっていうとあれですね。普通に薬の材料などに使う植物です。ここはダンジョンの中なので材料として採取できるかどうかわかりませんけど。それほど危険な魔物でもないですよ」
「え、私は、嫌い…」
「あーちょっとうるさいからねっ」
ファーナさんの説明にリノとミネはあまりいい顔はしなかった。危険ではないというファーナさん、うるさいというミネ…俺と健太が知っているマンドラゴラはどちらかというと危険でうるさいものだ。半分だけ当たっているあたりなかなか謎な魔物である。
「試しにマントつけて引き付けてみればいいよ。ファーナも言った通り危険ではないから。というかすでにそこにいるけどねっ」
おもむろにミネがしゃがみ込むとその目の前にある草を引っこ抜いた。するとその草の根の部分に顔のようなものがありその口だと思われる個所から大きな音が響き始めた。
「アアアアアアアアアアア~~モ~~~~~!!! ドウセワタシナンテマホウクライシカトリエガナイワヨ!! ドジデシッパイバッカリスルシ、コノアイダダッテマトモニリョウリガツクレナクテオコラレタバカリ! ソレニトクイナマホウダッテ、マリョクノカンリガアマクテヨクマリョクキレオコシテヤッパリオコ……」
聞こえていた音というか声が途中で止まった。見るとミネがマンドラゴラの口のあたりから切り離していた。
「ね…危険は、ナイヨ?? 少しうるさいけどこう口を切り落とせば静かになるし…ネ?」
視線を若干そらしながらミネはそういうけれど、これってある意味危険な魔物なんじゃないだろうか。健太はマントをつけたがったがつけないほうがいいかもしれないな。
マントをつけないように健太に言おうとしたがすでに遅かった…リュックから取り出したマントを今まさに健太は背中に装備したところだった。装備したとたんあたりから土がぼこぼこと盛り上がる音がし始める。マンドラゴラ達が健太のマントに引き寄せられて自力で土の中から出てこようとしている音だった。
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