第141話 罠

 7階層タッチパネルの前で俺と健太は珍しく3人より早く来ていた。健太が朝早くから俺の家に来ることはいつものことなんだが、今日は俺もいつもより早く行動し、ダンジョンへこられるようにしていたのだ。昨夜レイノアールが言った言葉が気になっているわけなんだが、ダンジョンマスターが急げって言うくらいなんだから多分攻略のことであっていると思う。俺としては攻略を急ぐ必要はあまり感じていないのだが…まあ本人が言うのならそのほうがいいってことなんだろう。


「おおっ珍しく早いね!」

「雨が、降る?」


 ミネとリノがやってきた。早いことは認めるが雨は降らないだろうリノ。見上げたってダンジョンの洞窟内に降るわけがない。


「わっ私が最後か~ ケンタ~」


 最後にやってきたファーナさんがすぐに健太に走りよってった。早速おやつを貰うつもりなのだろう。それを横目で見つつ俺はリノにこの階層の攻略について相談することにした。


「洞窟タイプだからわき道くらいを気をつければ後は大丈夫だと思うか?」

「多分、ね。でも…罠とか、無いとは、言い切れない、かな?」


 言われてみれば今までマップ内の移動で罠を見たとこがないかもしれない。こんな洞窟タイプだとあってもおかしくないかもしれないな。


「たとえばどんな罠があると思う?」

「そうね…見るからに、怪しいもの、とか…スイッチを、押すことで、発動する、とか…かしら。種類は、落とし穴、壁から槍、噴出す毒、パーティ分断…」

「うへぃ…色々あるな」

「これは、軽いほう。落とし穴(針山)とか、落とし穴(マグマ)とか…後は魔物部屋、それに…転移罠とか、最悪」

「ふむ…とりあえずダンジョンも終盤だから罠がある可能性も考えたほうが良いってことか」


 怪しいところはむやみに触らないほうが良いってことだな。ちらりと健太のほうをみるとファーナさんとおやつについて話し込んでいて、多分今の聞いてなかったみたいなんだが、大丈夫なんんだろうか…まあ余程馬鹿じゃなければ変なものには触らないよな。


 ファーナさんのおやつが落ちついたようなので俺達はダンジョンの探索を始めることにした。とりあえず洞窟が真っ直ぐ前にある様なのでミネに一発魔法をかましてもらう。


「『エレメンタルストーム』」


 レーザー状に魔法が前方に伸びていった。これで壁にぶつかったところまでは魔物が一掃出来たことだろう。まあ魔物はいつのまにかまた現れるので途中に多少はいるかもしれないが、これで罠を気をつけながら進めるはずだ。

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