第128話 お菓子な話

 この日は健太が泊まっていたのでそのまま一緒にダンジョンの入口へと向かう。昨日決めていた通り先ずは盾の防御力を上げるのだ。今まで使っていた盾はぼろぼろなので新しい盾を買いそれに合成を使用し、防御力がプラスされた盾を作り上げる。それともう1人分の鱗があるのでこれもすぐ合成に使えるようにだけは準備しておく。


 それが終わると俺達は6階層へと移動をした。5階層の合流でもいいのだがあの男達がいつ追いついてくるかわからないから、念のため攻略階層で直接合流することになっているのだ。


 合成をやっていたのでどうやら俺と健太が最後だったみたいで、ファーナさんも双子もすでに来ていた。最近のファーナさんは吹っ切れたのか視線が怖い。健太を見る目が獲物を狙うかのような視線なのだ。まあ今日も健太は忘れずファーナさんにおやつを渡していたが、それを不思議そうにリノとミネが眺めていた。

 

 それもそのはずで、昨日は約束だからわかるが今日のがなんなのか2人にはわからないからだ。


「ふむ…ファーナとケンタは、そういう、関係、なのか」


 1人で納得したかのようにリノが顎に手を当てて頷いている。どうやら何か勘違いをしていそうだ。


「えっ そういうって…そういう??」

「「??」」


 ファーナさんと健太が激しく首を傾げている。うん…君達は全然わかっていないよね。仕方ないから俺がフォローしておこうか。


「ああ、健太がファーナさんにプレゼントを貢いで猛烈アタック中だ」

「…は?」

「ふぇっ」


 驚いた顔をした健太とお菓子を口にほおばりながら意味がわからないと言う顔をしたファーナさん。


「ちょっ よっすー! 違うだろうが、これはファーナさんについてきてもらうお礼だろうがっ」

「何言ってるんだ健太…それを言ったらこっちの2人にもあげないといけないだろう? でもファーナさんにだけあげている。貢いでいるのは間違っていないだろう?」

「ぐ…っ いやでも…あれ? もしかしてもうファーナさんにおやつっていらなかったのか??」


 どうやらやっと健太はおかしなことをしていることにやっと気がついたみたいだ。


「リノとミネがパーティに入ったからそんなの無効だろうが…それなのにいつまでも続けているからこんなことになるんだぞ」


 そういって俺はファーナさんのほうを指す。ほんのりと頬を染めうるうるとした目で健太を眺めている。もちろんおやつはくわえたままだ。多分自分の都合のいいように受け取ったに違いない。


「えーと…どうすれば?」

「2人にもおやつあげるか、ファーナさんにあげるのをやめるかだな」

「うーんそっか…流石に毎回3人分はつらいな」

「んっく…え、嘘無しになるのっ?」


 ファーナさんがこの世の終わりかのような顔をして健太を見つめた。今にも泣き出しそうだ。


「あーそうだな~…」


 ぼそぼそと俺に声を潜め相談してくる健太。まあわからんでもないわ。おやつあげないとファーナさんはこのままだと使い物にならなくなるだろうからな。俺は1つの案を健太に提案した。それに頷きながら健太は実行するのだった。

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