第116話 和解?
「うわあああああああっ」
健太の叫び声が聞こえた気がした。水の中なのに聞こえるなんてとうとう俺はこんなところで死んでしまったんだろうか。
閉じていた目をそっと開くと俺は今空にほうりだされていた。足元を見ると5階層のダンジョンの海が見えていた。それに気がつき慌てて飛ぶイメージを働かせる。『フライト』を使っていても飛ぼうと思わなければ効果がなく落ちてしまうからだ。
健太ナイスだ!その叫び声によってみんな気がついたのか無事に『フライト』で飛んでいる。
「そ、外だわ…」
嬉しそうなファーナさんの声が聞こえた。
「ボスを倒した、から、追い出された…ってこと、かしら?」
リノが不思議そうに首を傾げている。
「うわあああああーーーん。生きてる…生きてるよ~~~!!」
よっぽど怖かったのかミネが泣きながら叫んでいる。
健太は…叫んだ後気絶でもしたのかそのまま海へと落ちていった。仕方ないので俺は健太を追って再び海に潜るとすぐに引き上げてきた。
「治癒」
健太を地面に降ろしすぐに回復してやる。相変わらず治癒の杖は俺のリュックに縛られているからな。それに触れるだけで使えるからちょっと便利だ。
「グェッホッゴハァッ…ガホッ…ゼハァ…」
むせている健太を眺めているとファーナさん達が降りてきた。みんな無事で何よりだ。
「うーん…ボスは…倒せた。でも、6階層はどこから??」
「そうだよね…パネルって結局ここの入口のヤツしか見てないし」
リノとファーナさんが6階層について考えているようだ。まあわからんでもないな。ボスを倒して生き残ったのなら次のことを考えるのは。
「ちょーーーっ少しは俺のことも心配してくれよ!」
健太の情けない姿にリノとファーナさんが視線を交わし何故か微笑みあった。
「ファーナ、あんたが何者でも、もういいわ…目的は一緒、それでいい?」
「ええ、目的は一緒よ。別にもとからどうこうしようとなんてしてないもの。ただ…ちょっと戦力として利用させてもらっただけ」
なんだか知らんが二人が納得しあっている。
「目的ってなんだ?」
「決まってるでしょう。私はちょっと理由があってここを攻略したいの。というかダンジョン来てて攻略しない人はいないわよ?」
「同意。こっちは、ダンジョンの調査。でも、ここは危険。だから攻略して、消すわ」
…消す?消すって何をだ。リノの言葉に俺は思考が働かない。気にしないようにしていたことだ。
「ああ…そういえば前もそんな事言ってたよな?」
「そうよ、私達は、消せればそれで、いい。で、ファーナは自分で攻略、したい。だから聞いておきたい。」
リノがファーナさんに向き合った。
「あの3人、ファーナの関係者?」
その言葉にファーナさんの顔が歪んだ。
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