第109話 水中探索開始

 昨日と同じ木にロープを結びリノに反対側を縛ろうかと思ったのだが、あまりにもロープが長すぎて流石に無理だった。なので別のロープでリノの体を縛り、おなかの辺りから余らせたロープの先を木に結び付けて伸ばしているロープに輪が通ったように結び付ける。これでこっち側から少しづつロープを伸ばしていけば一気に落ちることもないだろう。


 リノの準備が終わると今度はミネがリノに魔法をかける。これで水中で息が出来て浮力に邪魔されて動きが鈍ったりすることも内装だから不思議だ。


「危なかったら、『フライト』で、すぐ海から出る、ね?」

「…水の中でも『フライト』で飛べるならロープいらないんじゃね?」

「「えっ!」」

「たしかにそうだよな、一度試してみれば?」


 言い出した本人であるリノも少しだけ首を傾げている。多分無意識に言ったのだろう。とりあえず試すべく数メートル潜ってもらって魔法を使ってもらった。


「……」

「……」

「…うわぁ」


 俺達4人は海面の上の空を眺めた。そこにリノが浮いていた。どうやら水中でも『フライト』が使えたようだ。と言うことはそのスキルがあれば泳げない人でも大丈夫ってことじゃないだろうか?


「よっすー…俺のロープの存在意義を教えてくれっ」

「ないな…」

「どうすんだよこんな長いロープ…」


 健太には悪いがロープはもういらないので片付けてもらい、ミネの魔法と各自『フライト』で海中探索を進めることにする。

 ロープを片付けた健太が戻ってくるとミネに全員に魔法をかけてもらい俺達はそのまま水中へと入っていった。


 この海には砂浜と言うものがないのでもう入ってすぐに深くなっていた。そのまままずは一番底まで落ち続ける。深さを知りたいのとついでにミネの魔法の水中を歩くってやつを体験して見たいからだ。

 5分ほどかけてやっと地に足がついた。『フライト』を使えばすぐに底までいけるのだろうが、これは脱出用に使わずに置くことになった。全員が魔力多いわけじゃないので、使い続けることが出来ないからなんだが、緊急時にすぐ使えないとやばそうではある。


 海の底は思ったよりも深く薄暗かった。ミネが続けて周辺を照らす魔法を使ってくれ何とか見えている。健太が懐中電灯を使おうとしたが流石にそれは止めた。明るさが足りない上に水の中で使える仕様にはなっていないものだからな。


 さて、いよいよこの海中の探索に入るわけだが…ぱっと見た感じまだなにも魔物は見えず、俺達はそのまま歩いて先に進むことになった。

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